片山和也の生産財マーケティングの視点【デフレ・不況下におけるマーケティング】
現在は基本的に不況下におけるデフレの経済です。不況下のデフレになると、
1)必需品
2)定価レス商品
が売れるようになります。例えば最近はリフォーム関連産業が堅調で
す。かねてから“リモデル”というリフォーム需要を狙ってきたTO
TOがここにきて好業績だということですが、リフォームなども典型
的な「必需品」「定価レス商品」であるといえます。
先般、新聞発表がありましたが船井総研も今期12月決算は増収とな
る見込みです。船井総研の場合は数年前から「会員組織」に力を入れ
ており、今は業種ごとに100を越える経営研究会が存在します。か
つてリーマン・ショック前の好況期は大企業向けの大規模プロジェク
トに力を入れていました。中小企業のオーナー経営者を主な対象とす
る経営研究会は、コンサルティング商品の中でも必需品的商品であり
ます。これも当社なりの不況対策であります。
これを生産財業界に置き換えると、必需品で定価レスのデフレ・不況
対応型商品は、
・メンテナンス
・レトロフィット
・部品加工
ということになります。これらは必需品的であると同時に定価があり
ません。こうした必需品かつ定価レスの商品を「入口商品」として持
っておき、そこから自社の「主力商品」「収益商品」につなげる流れ
をつくることが必要です。
また差別化の為の事業戦略は大きく3つに分けることができます。
それは、
1)価格競争戦略
2)高付加価値戦略
3)利便性追求戦略
の3つです。この中で、1)の価格競争戦略は中小企業が選択しては
ならない戦略です。選択するのであれば 2)高付加価値戦略 ある
いは 3)利便性追求戦略 を選択しなければなりません。
例えば「24時間対応します」「3時間以内にかけつけます」「1時
間以内に見積もります」といったサービスは、利便性追及戦略です。
仮に自社で差別化されるような技術が見当たらなければ、利便性追求
戦略を選択する必要があるのです。
またさらに、ビジネスとして自社の「ファン客」「信者客」をつかむ
ためには、自社が手がける業界における「方向性」「あるべき姿」を
常に示す必要があります。
現在は先行き不透明な時代です。そして人間は、特にサラリーマン的
人間は先が見えないと不安になります。サルトルの戯曲で「出口な
し」という作品がありますが、「出口が無いから努力しよう」という
オーナー精神的な人は少数派で、世の中の大多数の人は出口が見えな
いとモチベーションを落としてしまうのです。例えば若手社員が会社
を辞める最大の理由は「先が見えない」ということです。
そう考えれば経営者はビジネスを通して、社員・顧客に対して明確な
方向性を示すと同時に「夢を売る」ビジネスが求められます。
私が今回、来年4月にドイツ・ハノーバーメッセ視察セミナーを企画
したのも、各生産財業界における「将来の姿」「あるべき姿」を改め
てこの目で確認することにあります。ハノーバーメッセはJIMTO
Fの8倍の規模で開催される、世界最大の生産財見本市です。今年の
ハノーバーメッセは NEW TECHNOLOGY FIRST
をメインタイトルとして、New markets、New Cus
otmers、New Networks というコンセプトで開催
されます。対象分野もFA・省力化・自動車・エネルギー・環境・新
技術 他8テーマにわたります。詳細は後述のご案内をご参照いただ
ければと思います。
いずれにせよ、足元のデフレ・不況下対応のマーケティングを強化す
ることが重要です。さらに先が見えない時代だからこそ、先を見通す
こと、自社の将来・業界の将来、あるべき姿を語れることがリーダー
の仕事だと思います。
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