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片山和也の生産財マーケティングの視点【震災が生産財業界に与える影響について】

今回の震災は生産財業界にも大きな影響を与えています。被災地の工
場はもとより、被災地以外のメーカーにおいても、部品が調達できな
いことから稼動停止に追い込まれている会社が少なからずあります。
トヨタ、日産、ホンダ、スズキといった完成車メーカーはもとより、
電子部品や鋳物が調達できないということで、ヤマハやヤンマーなど
の稼動停止となっています。

海外においても動きが出てきているようです。例えば中国の大連では、
放射能汚染への懸念から、日本からの荷物に対して税関審査の中止を
行っているとの話です。貨物船は沖合で待機、あるいは日本に引き返
している状態とのことで、この影響で現地のキャノン、東芝、トステ
ム等の大手企業が休業に入るとのことです。
こうした中国当局の動きは、この機に乗じて日系企業の活力をそぐよ
うな動きにも見えてしまいます。

また中国現地のアルパインやアルプス電気など、今回の被災地に拠点
を持つ現地工場は資材が入ってこない関係で来週から休業。また特殊
な樹脂材料などは全て日本製で中国では入手困難、多くの大手企業と
その下請けが生産縮小、または休業という動きになっています。

こうした生産縮小に関わるニュースが目立ちますが、その一方で大手
クレーンメーカーには既に注文が殺到、デンヨーなどの発電機の流通
在庫は政府の指導で被災地優先の出荷となるなど、復興への需要も聞
こえてきます。
大手自動車メーカーに切削工具を供給している私の関係先は、刃物の
在庫量を普段の3倍にしました。7月以降に見込まれるフル生産に対
応するためです。
非常時というのは「守り」だけではだめで、やはり「攻め」の要素が
求められます。フル生産を見込んで今のうちに在庫を積むのも「攻
め」ですし、例えば助成金をとることも「攻め」の一つでしょう。

私の関係先で、リーマン・ショックで売上を半減させながら、経常利
益ベースでは一度も赤字を計上していない会社があります。ここの社
長はバブル崩壊時の売上激減を経験されているので、リーマン・ショ
ックが起きた際、すぐに雇用調整助成金を申請、結果的に赤字の回避
に成功しました。
営業利益ベースでは約1年近くも月次収支で赤字でしたが、助成金の
おかげで最終は黒字を維持できたのです。リーマン・ショックの際は、
この助成金への対応が早いか遅いかでその後の決算を左右しました。
補助金をもらう、というのは一見「守り」に見えますが実は「攻め」
だということなのです。

また今回の震災を機に、日本人の価値観も大きく変わるのではないで
しょうか。省エネ・エコなど持続的成長が可能なやり方の模索、今ま
でのコスト一辺倒の調達方法の見直しなどが考えられます。

いずれにせよ、いかに「主体的」にどのような「手を打つ」のか。ど
のような「攻め」を行い、どのように「付加価値」をつけるのか。
これからの企業に求められることは、明確なMBV(ミッション・ビ
ジョン・バリュー)を持つことです。つまり自社の理念と目指すべき
ところは何でどのような価値を提供するのか、そうした思想的バック
ボーンと自社そのもの本当の付加価値が問われる時代が来ると思いま
す。今回の震災を受けて自社は何をどのように変えるのか、誰もが考
えなければならないのではないでしょうか。

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