注目のキーワード

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

片山和也の生産財マーケティングの視点【「一番」に仕事が集まる】

私はいつも東京で宿泊をする際、雰囲気がよく比較的リーズナブルと
いう理由で、新高輪グランドプリンスをよく利用します。この周辺に
は大型シティホテルが4つありましたが、昨年9月でパシフィックホ
テルが閉鎖、今回の震災の影響で高輪グランドプリンスが一時閉鎖と
いう状態で、4つのうち2つまでが閉鎖という状況になっています。

1~3月の鉱工業生産指数もリーマン・ショックの時を上回る落ち込
みを示し、一般市況は非常に厳しい状態です。
ところが生産財業界は活況です。例えば私の顧問先の治具メーカーは、
リーマン・ショックの際は売上が1/4以下まで落ち込みましたが、
いまはピークと変わらない水準の仕事が7月まで確定されています。
恐らく今期は、ピークを上回る売上が見込まれます。
この治具メーカーは自動車ライン向けの量産対応治具なのですが、一
時期は中国メーカーとの価格競争が危惧されましたが、今のところ中
国メーカーの製品と比較されたということはありません。金型と違い、
治具はワーク一品対応の要素が強く、また金型ほど市場規模が大きく
ない分規模の経済が成り立たず、日本で生産する分にも有利なのでし
ょう。

この治具メーカーだけでなく、私の顧問先の機械工具商社をみていて
も4月の売上はおおむね好調で、当初見通しよりも2割増くらいで着
地している会社が多いのです。
ただし、こうした忙しい案件の多くは海外向け案件です。先ほどの治
具メーカーのケースでも、出荷先は全て海外です。工作機械メーカー
のファナックやマキノフライスも現在はフル稼働の状態ですが、大半
が海外向けです。今、8対2くらいの割合で海外案件なのではないで
しょうか。事実、日本工作機械工業会では今年の工作機械輸出高は、
過去最高を見込んでいるとのことです。

グローバルにみて日本の生産財業界は世界一です。成熟期になると
「一番」に仕事が集まりますが、まさに「一番」に仕事が集まってい
る状態です。機械工具商社でも同様です。そもそもコンサルタントを
入れているような会社というのは地域でも中堅以上の規模であるケー
スが多く、最初から地域一番店かそれに近いポジションであるケース
が多いのです。だから同エリアで廃業している店があるなかで、業績
を伸ばしているのです。

冒頭で一般市況は最悪だと書きましたが、その中で売上を伸ばしてい
る会社もあります。今年2月に第二回船井総研グレートカンパニーを
受賞したエブリィという広島県福山市のスーパーは、この消費不況の
中でここ3年間は毎年50億円増というペースで売上を伸ばしていま
す。このスーパーは食品、特に惣菜に特化して「一番化」を図ること
で差別化を行っています。また「から揚げで一番」「トンカツで一
番」というように、味で明らかに地域一番という「単品一番商品」を
増やすことで業績を上げているのです。例えばトンカツについていえ
ば、フルタイム販売するのではなく、夕方16時から19時の3時間
に販売を絞ります。それによって味を保証しているのです。

こうした小売業に関わらず、先ほど述べた「単品一番商品」が多けれ
ば多いほど、その会社は業績が上がります。機械工具商社でいえばメ
ーカーをこれ、と決めて、その商品でいかに地域一番になるかが重要
なポイントになります。部品加工業で言えばインコネル加工、その中
でも研磨、特に内面研磨、といった具合に一番をつくっていきます。

このように、あらゆる業種において企業が今、考えていかなければい
けないことは、この「一番化」をとことん突き詰めるということです。
「一番化」をとことん突き詰めた上で、「顧客」を自社のファンであ
る「ファン客」、さらに「信者客」に昇華させていくビジネスモデル
づくりと自社の社員教育(=人財が育つ環境づくり)です。次回のレ
ポートでは、この「ファン客」「信者客」づくりについて述べたいと
思います。

生産財マーケティングのことなら生産財マーケティング.COM>>> https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

関連記事

アクセスランキング

製造業・工場経営.comを運営する船井総合研究所が提供する各種サービス

ものづくり経営研究会オンデマンド
ものづくりグロースクラウド

無料経営相談の
お問い合わせ