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片山和也の生産財マーケティングの視点【“熱狂的ファン”をいかにつくるか】

現在のような激動期になると、いかに自社の“熱狂的なファン”言い
換えれば「信者客」をつくるか、といったことが非常に大切になりま
す。また同時に、「絶対にこの分野では誰にも負けない」というよう
な“ダントツ一番商品”をいかにつくるか、といったことが非常に重
要になります。

例えばマシニングセンタで圧倒的一番といえる製品をつくっているの
は、岡山県の安田工業でしょう。同社はフェラーリの試作部門にマシ
ニングセンタを供給していることで有名ですが、品質を維持するため
どれだけ注文が入っても月3台以上の生産はしないといいます。

同社のマシニングセンタは、いわゆる森精機やオークマの同型機種と
比較すると3倍近い価格になります。それだけ高額な機械をつくって
いても、リーマン・ショックの際も売上が落ちたという話をききませ
ん。従って、安田工業のマシニングセンタを購入する会社というのは、
極めて限られた会社、ということになります。

ところが、高価な機械だからといって、購入している会社は必ずしも
大企業とは限りません。いわゆる町工場といわれるような会社も数社、
安田工業を設備している会社は多くあります。
そして興味深いことに、安田工業の機械を持っている会社で、いわゆ
る業績不調の会社というのもないのです。
安田工業の機械を持つくらいだから、高度な仕事をしている結果、業
績が落ちないのかもしれませんが、私はそれ以上に物事に対する意識
とか哲学の問題ではないかと思うのです。

例えば一般的な価値観として「安く買って高く売る」というものがあ
ります。ところが国内でも100年以上続くような老舗といわれる優
良企業を見ると、「高く買って安く売る」という概念でビジネスを行
っている会社もあります。もっとも有名な例でいうと、松下電器の
「水道哲学」というのは、「高く買って安く売る」という概念からで
きています。

伊勢の赤福もそうです。材料である小豆や砂糖に妥協せず、最高のも
のを仕入れて最高の商品を提供するという考え方です。同社が戦後、
ある品質以上の砂糖が入手できなかったことから、営業を数年にわた
り停止していたのは有名な話です。

安田工業のマシニングセンタを設備する、というのも同じことなので
はないでしょうか。安田工業のユーザーに、この機械のどこがいいの
か、と聞くと、「1/10ミクロンの送りに対して、確実にマシンが
追従してきている」といいます。つまりミクロン台の加工が何ら問題
なく行えるレベルということです。低速域から高速域まで安定した精
度が出せるのは、他社も試したけど安田工業だけだといいます。

つまり前述のような町工場は、高額なマザーマシンを設備して、妥協
を許さないような仕事をしているからこそ、熱狂的なファン客が多数
あり、現在のような激動期でも業績を落とさないのでしょう。
私の顧問先の、あるセットメーカーの創業者の口癖は「さすがプロ、
と客が唸るような仕事しろ!」というものです。
確かに、“熱狂的なファン客”をつくれる本物のプロ集団でなければ、
生き残れない時代がやってきたのだと私も思います。

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