片山和也の生産財マーケティングの視点【生産財ビジネスは教育ビジネス】
生産財業界は企業規模よりもその会社が持つ思想、あるいは個人の資
質・スキルが極めて重要な業界です。マス・マーケティングが可能な
消費財業界が広域戦なのに対し、顧客固有のセグメント・マーケット
である生産財業界はゲリラ戦の業界なのです。
ゲリラ戦の業界というのは、個々人のレベルが非常に重要であり、会
社レベルでいえば教育が非常に重要になります。
例えば営業で成果が出ない担当者を見つめたとき、そこには本人の資
質以前の問題があるといえます。それは本人の家庭環境であり、生ま
れ育ってきた環境です。
例えば営業会議で、どれだけきつく詰められても馬耳東風の若手営業
マンAさんがいます。単にきつく詰めているだけではなく、教育的な
愛情もあわせての指導なのですが、Aさんには響かないようです。
そこで、Aさんの家庭的背景を探ると、Aさんには父親がいます。そ
の父親は15年ほど前に勤務していた商社で上司とトラブルを起こし
て退社、その後職を転々としますが、結局今はタクシーの運転手をし
ています。Aさんの母親はことあるごとに、その父親に「最初の会社
を辞めなけりゃ給料は今の倍なのに」と責めるのだそうです。そして
父親は聞かぬふりでテレビで野球観戦が唯一の楽しみだというのです。
Aさんは「父親のようになりたくない」といいますが、“嫌なことか
ら逃げる”という潜在意識が、自分が家庭で両親をみてきて知らず知
らずのうちに形成されていると考えるべきです。
従って、上司として馬耳東風のAさんを「やる気がない」と単に責め
るのではなく、もっと深い部分の意識を変えなければならないわけで
す。これはベテランのプロ管理職でなければできないかもしれません。
中小企業であれば社長しかできないことかもしれません。
日本の社会は居酒屋が支えている、といいます。それくらいに“飲み
ニケーション”も大切だということです。なぜ“飲みニケーション”
が大切かというと、アルコールが入ることで本音と本音がぶつかるコ
ミュニケーションができるからです。
部下や社員の家庭環境を知ったからといって、本人の家庭環境を変え
ることはできません。しかし知っていて指導するのと、知らずに指導
するのとでは雲泥の差があるのです。こうしたことも本音のコミュニ
ケーションにつながります。
いずれにせよ、本当に教育をしようとすれば、部下や社員本人だけで
はなく、その家庭環境や生まれ育った環境も上司は理解しておく必要
があります。
生産財業界はゲリラ戦の業界です。もちろん製品がよければそれで売
れる面はありますが、しかしトップクラスの製品をつくるメーカーに
は必ずトップクラスのセールスがいます。トップクラスの製品をつく
るメーカーも、トップクラスのセールス抜きに売上をつくることはで
きないのではないでしょうか。
そう考えると、教育の重要性、組織リーダーの重要性を改めて私は感
じるわけです。
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