片山和也の生産財マーケティングの視点【産業構造の変化を乗り切るポイントとは?】
前回のレポートでも書きましたが、生産財業界は明らかに活況に向か
っています。来年以降はそれがより鮮明になるでしょう。工作機械産
業は1兆円産業と言われていますが、来年は2兆円近い受注が見込ま
れます。
しかし産業構造が変化した結果、生産財業界においても二極化が進ん
でいます。
例えば私の関係先で従業員40名の部品加工会社は、ニ直で仕事を行
なうほど忙しくなっています。自社だけで仕事をさばききれないため
NCネットワークで外注を応募したところ、3日で20社近くの応募
がありました。その中で大阪の従業員20名くらいの鉄工所にフライ
ス荒加工を外注することにしましたが、その鉄工所はヒマで仕方がな
いと言います。なぜこの2社には、このような差が出ているのでしょ
うか。
まず技術です。このヒマな鉄工所は3/100mm精度の加工が保証
できないといいます。一般的に機械部品は3/100から5/100
mmの精度を狙って設計されますが、5/100mm程度の加工だと、
どちらかといえば荒加工となってしまいます。
それに対して私の関係先の部品加工会社は、1/100mmの精度を
マシニング加工で安定的に出すことができます。1/100mmの精
度を出すためにはミクロン台の精度が出せる機械が必要となりますが、
こうした機械は牧野フライス、松浦製作所、三井精機といった高級機
種になります。一般機種だとミクロン台の精度を安定的に出すのは難
しくなります。技術を持つ会社は忙しく、技術のない会社はヒマだと
いうことなのです。
しかし技術があるから忙しいとは限りません。二つ目のポイントは営
業活動の差です。
私の関係先の部品加工会社は展示会への出展をはじめ、各種マーケテ
ィングに取り組むことで顧客を増やしてきました。現在では100社
をこえる顧客をつくることができ、特定企業への依存度をさげること
ができました。しかも海外でグローバル展開をしているような大手企
業を重点ターゲットとしてきたことが、同社の好業績に貢献している
といえます。
それに対してヒマな鉄工所の方は特定企業の受注の他は仲間からの受
注が多く、営業活動らしきことはほとんど行ってきませんでした。
今まですべきことを放置してきたこの鉄工所について、産業構造が激
変した生産財業界の中で生き残ることは、これから相当努力をしなけ
れば難しいのではないでしょうか。
このように産業構造が変わった以上、自社のやり方も変えていかなけ
ればなりません。
そのためには最低限の技術力と、大手企業を相手にすることができる
マーケティング力が必要だということなのです。
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