片山和也の生産財マーケティングの視点【2013年、2014年の経済危機に備える】
新聞を読んでいればわかる話ではありますが、明らかに世界経済は危
険な状態に突き進んでいます。
ヨーロッパではここ数年のうちに、数カ国でデフォルト(債務不履
行)が発生すると見ておくべきでしょう。そうなるとスペインやポル
トガル、ギリシアといった南欧諸国の国債を大量に保有しているヨー
ロッパの銀行の多くが破綻、あるいはそれに準じる状態となるでしょ
う。そうなると、ヨーロッパの銀行に多額の融資を行なっているアメ
リカの銀行も間違いなく巻き込まれます。
しかし余談ですが、南欧の一部の国では昼食でワインを飲み、シエス
タという昼寝をとるのが習慣、ということで日本人の働きすぎと比較
されていましたが、今や我々の感覚が正しかったということです。
また、中国においてもバブルがはじける寸前まできている感がありま
す。例えば高速鉄道の事故を起こした鉄道省は20兆円を超える負債
があります。にもかかわらず、高速鉄道は赤字続きでいつ投資が回収
できるのかは誰にもわかりません。
鉄道省だけではありません。中国の国営企業の中には実質売上ゼロで
借金だけの会社が多くあります。なぜ借金だけかというと、工場を立
ち上げている最中で売上が無いからです。しかし国営企業で当局の後
ろ盾があるから資金を調達し、多大な設備投資が行なえているのです。
こうした会社がどれだけあるかわかりませんが、裏づけの無い設備投
資が行なわれているわけですから、これはどう考えてもバブルです。
さらに最も根本的な問題はアメリカのドルです。金とドルの交換が1
970年に停止されて以来、ドルの後ろ盾はアメリカの強大な軍事力
だけです。ドルは間違いなく世界の基軸通貨ですが、その基軸通貨を
持つアメリカは、ひたすらドルを印刷するだけで国際的な資金調達が
できることになります。いわばこれは一種の麻薬です。
今、アメリカの一部の世論では再び金とドルの交換制を復活させるべ
きだという声が上がっています。いつまでも実態の無い通貨を刷り続
けられるわけが無いからです。もちろん、実際には金の保有量が流通
しているドルに対して絶対的に少ないですから、そんなことにはなら
ないでしょう。
しかしアメリカのデフォルト、さらにドルの通貨切り下げという自体
は発生し得ることを想定しておくべきでしょう。
今回も2012年は世界中の指導者が変わる「ポリティカルサイク
ル」の年なので何とか乗り切れるにしても、2年後の2013年は一
時しのぎの経済政策が効力を持たなくなるものと思われます。
2008年9月のリーマン・ショックにしても、その2年前くらいか
らサブプライム問題がマスコミに取り上げられていました。火種が爆
発するのに2年くらいのタイムラグがあるのだとすれば、やはり20
13年、2014年の経済危機に今から備えておく必要があります。
従って、いわゆる資産を持っている個人は、昔から言う財産三分法
(不動産・有価証券・現金)に沿ってリスクヘッジを行なうか、ある
いは金など普遍的価値のあるものに変えておくなど、現在の状態が進
むようであれば具体的手立ては必要だと思います。
では、法人である会社としては何を行なうべきなのでしょうか。
それは競合他社との「差別化」「独自化」を行い、「信者客」を増や
す取り組みに他なりません。
リーマン・ショックの際も、新規開拓の売上高が全体の売上高の5パ
ーセント以上ある会社は、不況の影響を他社よりも受けませんでした
(ここでいう新規開拓の売上高とは取引開始から1年以内の数字を指
します)。
この時の教訓からも、自社にとっての優良顧客の開拓、さらにはそれ
を実現するための「自社の強みを伸ばす」「差別化」そして「独自
化」目下の最優先課題だと思います。この準備に充てられる時間は長
くても2年くらいしかありません。
歴史的に、国家が破綻しても企業は経営次第で破綻することはありま
せん。今や自分の身は自分で守るという、本当のサバイバル時代に突
入したと思います。大切なことは、そうしたことが本当の時流である
と、経営トップ以下社員全員が認識することだと思います。
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