注目のキーワード

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

片山和也の生産財マーケティングの視点【なぜ自社らしさ、自分らしさが伝わると差別化になるのか】

先日、ある顧問先で話題になりましたが、三菱重工は1万8000社
ある仕入先を半年間で半分に減らすとのことで、取引先上位800社
が同社から呼ばれ、説明会でそうした説明を受けたそうです。
つまり、この説明会に呼ばれていない大多数の取引先の中には、半年
先には取引を切られるところも出てくるわけです。

三菱重工は先日の報道で、日立製作所と経営統合すると報じられまし
た。実際には全面的な経営統合にはならないようですが、そうした記
事の中で三菱重工の意外な収益性の低さ、また日立製作所の将来への
危機感が指摘されていましたが、大企業も生き残りに必死です。まし
てや中小企業も全社をあげて対策に取り組まなければならないでしょ
う。

では具体的に何をすれば良いのかといえば、中小企業の場合はまずメ
イン顧客から「切られないようにする」ことを第一に考える必要があ
ります。では、どうすれはメインの得意先から切られないのでしょう
か。ここでは逆に、メインの得意先から切られる共通パターンを考え
てみたいと思います。

先述の大手企業の取引先集約は今に始まったことではありません。バ
ブル崩壊後から頻繁に行なわれてきたことです。
そうした中でメインの得意先から切られる共通パターンは、
 1)会社規模が小さい
 2)そのメインの得意先のみに依存している
 3)受身であり自己主張(その会社らしさ)が無い
ということです。しかも、この1)2)3)は全てがリンクしている
様な気がします。

例えば今から7年ほど前、松下電器が経営危機に陥りました。この時、
松下電器から取引を切られて倒産したA社は、取引は松下電器オンリ
ーの商社でした。松下電器オンリーですから同社のEDIにもいちは
やく対応し、24時間体制で物流対応を行ないました。
またISO14001、ISO9001も求められるままに取得し、
まさに「隷属」といってよいほどの勢いで松下電器に尽くしたA社で
したが、メイン商品のルートを全国区大手商社に切り替えられてしま
い、大きな商権を失ったA社は結局倒産するに至りました。

メロドラマの世界で、ある男性だけにとことん尽くす女性が冷たい仕
打ちをうける、あるいはある女性だけにとことん尽くす男性が冷たい
仕打ちをうけるという、そうした情緒とも言える世界があるのかもし
れません。

さらにそうした情緒の世界以上に、合理的にいって他社が評価してい
るものは自社も評価したくなるものであり、つまり特定の取引先のみ
と取引するというのは、その取引先から評価を得る上でも実は良いこ
とではありません。
ある大手企業の資材担当役員は「ウチにだけ依存する取引先は困る」
と明確に言っていましたが、そうしたことが大手企業の取引先に対す
る本音ではないでしょうか。ですから、メインの取引先を複数持つた
めの新規・深耕開拓戦略は武器として持っておかなければならないの
です。

またいわゆる下請け体質で、言われたことしかやらない御用聞き的体
質の取引先も、“切られる”会社の筆頭となります。それよりも「自
社らしさ」「自分らしさ」をきちんと相手に伝えることができる会社、
あるいは担当者は結果的に差別化され、相手からも厚遇されるもので
す。例えば価格競争を回避する上で大切な「提案営業」にしても、仮
説に基づきポリシーを持って情報発信をすることが最初のステップに
なりますが、どのような情報発信をするかが「自社らしさ」「自分ら
しさ」ということにつながります。

私がコンサルティング先の営業マンに、情報発信用のニュースを制作
したりしますが、成果を上げられない営業マンはニュースを客先に持
って行こうとしません。情報発信すること自体が「自分らしさ」を相
手に伝えることであり、それは同時にリスクになるかもしれないから
です。今までと同じ御用聞きをしていれば、何もリスクはありません。
しかしニュースを持参して情報発信をしたとたんにリスクが発生しま
す。もしかしたら相手から否定されるかもしれませんし、あるいは難
しいことを質問されて逆効果になるかもしれません。

これは会社レベルでも同じことです。業績不振の会社というのは自社
らしさを全面に出すことを嫌います。「そんなことをすると取引先か
ら睨まれるのでは・・・」という発想が先に生じ、何も新しいことを
しようとしません。
しかし、その人らしさが相手に伝わらない営業マンというのは、相手
からみると不安なものです。さらにその会社らしさが伝わらない会社
というのは、相手から見ると頼りないものです。人間は自分がよくわ
からない相手に対しては不信感を持ちますが、よくわかる相手に対し
ては親近感を持つからです。最近のスーパーで野菜の生産者の写真を
出し、トレーサビリティーを明確にしているのも同じ理屈です。
これはBtoCビジネスでも、BtoBビジネスでも同じことです。

現在のような激動期に生き残る会社、あるいは個人というのは「自社
らしさ」「自分らしさ」をきちんと相手に伝えられる会社、あるいは
担当者です。そしてそうした「自社らしさ」「自分らしさ」を出すた
めには自社、自分の強みをまず知る、ということが必要になります。
ぜひ改めて、自社、自分の強みをまずは知り、「自社らしさ」「自分
らしさ」とは何かを考えていただきたいと思います。

生産財マーケティングのことなら生産財マーケティング.COM>>> https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/

製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る

関連記事

アクセスランキング

製造業・工場経営.comを運営する船井総合研究所が提供する各種サービス

ものづくり経営研究会オンデマンド
ものづくりグロースクラウド

無料経営相談の
お問い合わせ