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片山和也の生産財マーケティングの視点【チャイナ・リスク】

先日、私の関係先の工作機械メーカーの営業会議資料を見て驚きまし
たが、中国向け案件の多くに「延期」「見直し」「中止」というコメ
ントが出ていました。1ヶ月前と全く状況が異なります。

元々、中国経済にはバブル懸念がありました。昨年8月に別の顧問先
が中国北京に現地法人を設立しましたが、3名の現地社員募集に対し
て1週間で100人を超える応募がありました。大学を卒業しても単
純労働しか職種がなく、日本企業のホワイトカラー職に応募が殺到し
たのです。中には片道で14時間かかるような遠距離からの応募もあ
りました。採用されたら近くに引っ越すというのです。
しかしそれから現在に至るまでの約1年、中国向け案件は極めて好調
でした。

ターニングポイントは、中国高速鉄道の事故からです。事故の影響で
インフラ整備がストップした関係もあり、関連工場の設備投資がスト
ップしたことが、前述の商談案件の直接の原因です。
そもそも高速鉄道の建設・運営を行なう鉄道省は20兆円を超える借
り入れがあるといいます。鉄道省だけでなく、多くの中国企業が借り
入れによる設備投資を先行して行なっています。実需に基づかない、
しかも借り入れによる設備投資というのはバブル経済と同じ構造です。

こうしたバブル的感覚は、企業ばかりではなく一般市民にも及んでい
るようです。どう見てもローンが組めなさそうな人、例えば地方から
出てきたスナックのホステス、みたいな人がローンを組みマンション
を購入しているのです。将来の値上がりを見越しての投資で、値上が
りした時点で転売することを前提にローンを組んでいるそうですが、
まさに数年前のアメリカと同じような状況です。

そうした中で中国国内における建設機械の販売がはじめて昨年対比で
下回り、車も売れなくなってきています。特に中国国産車を扱う自動
車ディーラーは経営が厳しいらしく、ある自動車ディーラーは200
台以上の在庫があるのに、月20台しか新車が売れないといいます。
中国経済はインフレ抑制の為に緊縮財政をとっており、以前のような
景気刺激策は期待できません。
今後の当局の経済運営を注視していく必要があります。

また、人民解放軍の暴走も見逃せないところです。先般、中国とアメ
リカとのバスケットボール親善試合で乱闘騒ぎが起きましたが、中国
チームは人民解放軍のチームです。
乱闘は中国チームの挑発がきっかけという話ですが、胡錦濤総書記な
ど中国やアメリカ要人を前にして人民解放軍のチームが乱闘騒ぎを起
こすというのは常識では考えられない話です。そうしたことから現地
では、人民解放軍のチームがわざと乱闘を起こしたという話も出てい
ます。バブル経済崩壊リスクに加え、内乱リスクに近い政治リスクが
存在することも中国の実態です。

いずれにせよ、中国に大きく依存するビジネスモデルは危険です。特
に中小企業は、国内で差別化して国内で生き残ることを前提に考えて
おかなければなりません。
先行きが危ぶまれるにしても、中長期的に中国に大きな潜在需要があ
ることは間違いありません。また来年は中国も指導者が交代しますか
ら、今のタイミングで大きな経済危機は考えにくいところです。
つまりまだ時間はあるということです。

経営の第一の目的は事業の永続にあります。中国で経済危機・政治危
機が起きれば、当然のことながら自社だけの問題ではなく日本全体が
大きな影響を受けるでしょう。しかしそうした中でも、あらゆるリス
クヘッジを考え、永続の為の施策を打つのが経営者の仕事です。

今まさに、経営者が本当の意味で経営者の仕事を求められているので
はないでしょうか。

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