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片山和也の生産財マーケティングの視点【中国マーケットの現状】

2010年7月15日から19日までの5日間、中国上海への視察ツ
アーを実施しました。本ツアーは機械工具商社・FAメーカーの経営
者・経営幹部を中心に20名で実施、上海の機械工具問屋・現地ロー
カル製造業・EASTPO(上海工作機械展)展示会の視察を行いま
した。

機械工具流通に関していうと、現地には日本のようなルートセールス
型の販売店はなく、工場で必要な消耗品や機械工具は問屋街の問屋に
買いに走るのが基本とのことです。初日に視察した機械工具問屋は日
本でいうとホームセンターのような雰囲気で、その中に作業工具やベ
アリング・シールなどの機械部品、さらにはマシニングセンタやCN
C旋盤までが販売されていました。ちなみに、Y軸ストローク300
mmタイプマシニングで日本円にして約140万円前後、4インチチ
ャックタイプのCNC旋盤が50万円前後で販売されていました。

現地ローカル企業については、超音波洗浄機をカスタムメイドで製造
するセットメーカー1社と、部品加工業者2社を視察しました。
1社目のセットメーカーは従業員約60名。上海GM、フォルクスワ
ーゲン等の外資系企業を主要顧客として、超音波精密洗浄機を製作し
ています。印象的なのは働いている中国人が非常に熱心であること。
この会社では過去5年間従業員が1人も辞めておらず、人を大事にす
る経営を行なっているとのこと。社員の代表的な月収は日本円にして
約4万円。一般メディアでは2万円前後といわれていますが、実際に
は倍近い相場となっています。

2社目の部品加工業者は従業員約70名。日系企業に勤めていた現地
職人の方が独立して開業。プレス部品から機械加工、さらには専用機
製作まで受託しています。この会社も取引は外資系企業のみ。なぜ現
地中国企業と取引しないのか?と聞くと、回収が不安だから外資系企
業としか取引をしない、とのこと。現地ローカルの会社が同じローカ
ルの会社を相手に「回収が不安」というのは、非常にユニークな話で
す。

このように、大手企業に勤めていた人が独立して起業して町工場が誕
生するという、日本でいうと1960年代のような状態が今の中国で
おきています。これら現地ローカル企業は、日本でいえば20年以上
前くらいの、中古の中古みたいな機械を使って仕事をしています。言
い換えれば、機械に頼っていても精度がでないので、いわば職人芸で
仕事をしているといえます。日本ではとっくの昔にすたれたプレーナ
ー(形削盤)も多用されていました。

こうした状況をみると、中国はどう考えてもあと20年は成長し続け
るであろうと考えられます。日本の場合も1973年にオイルショッ
クがあったのと同様、多少の山谷はあるでしょうが、成長軌道が続く
ことは間違いありません。

中国は1人あたりGDPが3000ドルを超え、2010年末には4
000ドルを突破するといわれています。一般に1人あたりGDPが
3000ドルを越えると消費が爆発的に伸びるといわれています。事
実、中国の自動車販売台数は1350万台(日本は460万台)と、
前年比5割増しで世界トップとなりました。

今や日本価格が中国でも通用する時代です。国内市場の成熟化が強ま
るなか、中小企業であっても海外市場への進出は避けて通れない状態
となってきました。今までの「生産拠点」から「販売マーケット」へ
と明確に変化した中国への捉え方を、自社なりに整理しておく必要が
あるのではないでしょうか。

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