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片山和也の生産財マーケティングの視点【トヨタ国内受注4割減の影響】

トヨタ自動車の国内系列販売店の総受注台数が、この9月は前年同月
比で4割強減少しました。政府によるエコカー補助金の申請受付が9
月初旬で打ち切られたことが原因ですが、そうした背景もあって相当
厳しいコストダウン要求がサプライヤーに対してなされている様です。

例えば私のある関係先は某完成車メーカーに電動工具を納入していま
すが、3割コストダウンを要求されています。7年ほど前にも日産リ
バイバルプランの影響で約3割ものコストダウンをさせられています
から、7年前からすると半値ともいえるコストダウン要求になります。

こうした直接的な影響もそうですが、心理的にも購買意欲が減退して
いる様で、お盆明けから9月にかけては売上が落ちた会社が大半のよ
うです。例えば生産財関連企業というのは、通常は9月の売上が上が
るものですが、今年は9月の売上が8月を下回るケースが多く見られ
ています。

例年、3月には自動車の需要が高まりますから来年1月からは完成車
も増産されると見られていますが、年内は横ばいといった状況が続き
そうな雰囲気です。

そうした中、今、比較的業績が堅調な会社の共通点は、3年前のメイ
ン顧客と現在のメイン顧客がほぼ完全に入れ替わっている会社です。
例えば私の関係先の某セットメーカーは従業員40名でピーク18億
円、リーマンショック直後は13億円くらいまで落ち込みましたが、
今期はピーク並みの売上を予定しています。
この会社の場合、3年前は自動車関係の仕事(アルミの熱処理)が9
割以上を占めていましたが、現在はソーラーパネルの仕事(ガラスの
熱処理)が9割以上です。

また、私の顧問先の某部品加工メーカーの場合も9月はピーク並の売
上を記録しましたが、3年前は仕事の8割が工作機械関係の仕事だっ
たのに対し、現在は食品機械関係と半導体の金型関連の仕事で全体の
8割を占めます。

かつて、会社の実力は「人の数(社員数)」で決まると言われていま
した。例えばビール会社で言えば、ナンバーワン企業はキリンです。
ビール系飲料ではキリンがトップシェアですが、キリン従業員が連結
で約3万5000人おり、2位のアサヒ(約1万7000人)に対し
て従業員が約倍います。さらに3位のサッポロはアサヒの約1/4の
従業員で約4000人です。
このように、人の数というシンプルな理由で、会社の実力そのものが
決まってしまうケースが多々見られます。

しかし私は、これは正確に言えば「人の数(社員数)」ではなく、
「客の数(顧客数)」ではないかと考えています。
なぜなら、1人あたりの営業マンがカバーできる客数は限られており、
顧客数は営業マンの数に比例するからです。

ところが今はインターネットの時代であり、こうしたIT技術を活用
すれば少人数で多くの客を相手にすることができます。先述のセット
メーカーや部品加工業も、新規開拓においてはインターネットを徹底
活用しています。
そして“客数”にこだわり、できるだけ多くの顧客と取引することを
志向しています。もちろん既存客の顧客満足は当然の前提条件です。

「客数にこだわる」というスタイルが、自社が意識するかしないかは
別として、今業績が堅調な会社を見ていると一つの傾向となっている
のです。

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