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片山和也の生産財マーケティングの視点【動き出したITマーケットと省エネマーケット】

自動車マーケットを中心に、10月以降は生産財マーケットも低調が
続いていました。しかし11月後半に入り、IT業界を中心に設備投
資の復調が散見されるようになりました。

例えば村田製作所やロームなど、代表的な半導体メーカーも設備投資
計画が様々聞かれるようになりました。シャープがアップル向けの液
晶工場を亀山に新設するニュースも、先日の新聞報道で聞かれたばか
りです。

アップル向けの液晶というのは、言い換えればスマートフォン向けの
液晶ということです。スマートフォン向けの液晶はタッチパネル機能
に加え、小さな画面に高解像度の画面を表示させる技術が必要なため、
今のところ日本メーカーの独壇場です。スマートフォンに使用される
高性能半導体も同様です。

来年の春ぐらいを目処に、こうしたスマートフォンに代表される半導
体需要が大幅にアップするというニュースもあります。事実、LMガ
イドやボールネジについても、再び納期がタイトになる動きになって
きています。また、一時期投資が見合わされていた半導体関連の製造
設備・検査装置案件も再び動き出している模様です。

片や、自動車マーケットはしばらく厳しい状態が続くかもしれません。
今、国内の大型自動車設備案件というのは、北米向け販売が好調な富
士重工か、あるいは海外がらみの案件です。
また、ある大手自動車メーカーは設備関係の協力会社を集め「ここ5
~6年は設備投資ができないから、他から仕事をとってほしい」とい
う通達をしたとのことです。

ただし海外自動車メーカーとの取引が多い部品メーカーについては、
設備投資が見られるようになってきました。デンソーグループと取引
の多いセットメーカーも、案件が出てくるようになりました。

このように、ピークからすれば7~8掛けの生産財業界ではあります
が、良い業界と厳しい業界、そうした差が顕著に見られるようになっ
てきました。
また、こうした傾向は商材にも見られるようになりました。

例えば今、伸びている商品として「電力監視機器」を挙げることがで
きます。2010年4月からの新省エネ法の関係により、年間灯油換
算で1500K?以上のエネルギー消費をする工場は、年間2%の省
エネを義務付けられるようになりました。
年間灯油換算1500K?というのは、だいたいの目安で言えば、設
備を使って量産を行っている工場であれば、100人くらいの事業所
で、その対象となるケースがあります。
また、今回の新省エネ法のポイントは、1つの事業所ではなく、会社
全体でエネルギー使用量を問われる、ということです。例えばコンビ
ニの場合、1店舗あたりのエネルギー使用量は少ないので今までは省
エネ法に該当しませんでしたが、新省エネ法では会社全体で年間灯油
換算1500K?となりますから、同法の対象となります。

こうした省エネを行うためには、まず現在、どのラインでどれくらい
電力が使用されているか把握する必要があり、その結果電力監視機器
が注目されているのです。

また、年間2%の省エネを行うためには、省エネを考慮した機器・設
備の導入が不可欠になります。しかも今まではリーマン・ショック後
の生産ダウンでエネルギー使用量そのものが減っていましたが、これ
からは前述のような生産アップが見込まれ、いかに省エネを行うかが
ユーザー各社の課題となってくるのです。

今まで、「省エネ」「環境」というのは生産財業界としてはビジネス
につながりにくい面が多かったですが、今後は大きく状況が変わって
くると思います。

このように、私見ではありますが、来年は少なくとも今年よりは、生
産財業界にとって良い年になるように思われます。
生産財業界の経営者は、今こそ「攻め」の体制に入ることが求められ
るのではないでしょうか。

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