片山和也の生産財マーケティングの視点【2011年、今、業績が好調な会社・営業マンの共通点】
生産財業界において、2010年6月くらいから現在に至るまで明
らかにトレンドが変わったと思います。
2008年9月のリーマン・ショックに始まり、2010年5月く
らいまでは、キーワードは“コモディティ”であった。要は設備投資
が完全に止まり、そうした中で売上をつくるためには“コモディティ
(=必需品)”の販売を重視するしかありません。
事実、2010年3月決算において、生産財商社・メーカー各社が
軒並み業績を下げる中、唯一健闘していたのがトラスコ中山であり、
MonotaROであった。両者とも、消耗品的な“コモディティ”
であるMRO商材を得意とする商社です。
しかし、今や本格的に売上アップを考えることができるトレンドと
なりました。また、高単価な設備やエンジニアリング案件、工事など
も受注できるような環境になってきました。
そして今、業績を上げている会社、あるいは営業マンの共通点は、
「新商品・新商材」を売れている、ということです。
この「新商品・新商材」を売ろうとすると、いわゆる「提案営業」
能力が必要です。つまり、お客からの引合い対応だけを行う「御用聞
き営業」では、新商品・新商材を売ることはできないのです。
では、提案営業を進めるために必要なことは何でしょうか?
それは「行動予実管理」です。
提案営業を行うためには、ヒアリングやセールストークのスキル以
前に、きちんと行動計画を事前に立てられているか、いないかにあり
ます。提案営業ができている人は、少なくとも1週間後までの予定が
立っています。逆に御用聞き営業を展開している人は、その日の予定
をその日に立てたりしています。
最近、ある機械工具商社のプロジェクトで、船井総研のコンサルタ
ントが営業マンと1日同行を行いました。やはり生産性が低い人は、
午前中訪問した会社に、また夕方訪問したりしています。それが計画
的な訪問なら良いのですが、「ちょとお客から呼ばれたんで、ちょっ
と計画変えますね」といって、午前中に訪問したところに訪問するの
です。つまりその日の予定をその日に立てているのです。
「行動予実管理」を行うためには、
1)営業ミーティング
2)日報
3)営業ツール
以上の“3点セット”の効果的運用が必要です。
特に営業ミーティングはPDCAを回す上で不可欠、「行動予実管
理」をきちんと行うためには、毎週行う必要があります。そして参加
人数が5名前後のケースで、1時間~90分は必要になるでしょう。
営業ミーティングを長時間行うことは稼動を落とすことになります。
しかし提案営業を進めていく上で、多少稼動を落としたとしても、ず
れた動きを続けるよりはずっと効果的なのです。
大手企業は不必要な会議が増える傾向にありますが、中小企業の場
合は逆に会議が少なすぎます。これは会議を回せる人材が少ないこと
も要因なのでしょうけども、稼動を落とすことが一見業績を落とすよ
うに見えてしまう点にもあります。
しかし事実は逆で、業績の良い会社ほど会議が多いものなのです。
そして、営業ミーティングにせよ、日報にせよ、効果的なアドバイ
スができるマネージャーが関与しなければ、形式的に行っても何ら意
味はないでしょう。
現在のような非常時の場合、例えば3つの課がある営業部の場合、
3つの課それぞれのミーティング実施時間をずらし、部長クラス自ら
がミーティングに参加するくらいの勢いが無ければならないでしょう。
なぜなら、効果的なアドバイスができるマネージャーが関与しなけ
ればミーティングの意味がないからです。
この「行動予実管理」がきちんと行えるようになったら、次の段階
として、ヒアリング力、提案力といったレベルになります。
時代が変わってきているのだから、今までのやり方を踏襲するので
はなく、時代に合ったやり方に柔軟に対応していくことがマネジメン
トに求められることだと思います。
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