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片山和也の生産財マーケティングの視点【歴史は繰り返す】

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半導体関連の設備投資、特に中国、台湾、韓国向けの案件が活況を呈

しています。ある工作機械メーカーは、1台4000万円する5軸マ

シニングセンターを200台以上も一括受注しました。また、ファナ

ックが中国のEMS(受託製造業)向けに、ロボドリルを2000台

も受注したというのも、業界内では有名な話です。

東京エレクトロンもピーク時に近い受注を抱えており、延期していた

新工場を着工しました。実装機の関係も中国向けに、垂直立ち上がり

ともいえる状態で動いています。

 

いわばミニITバブルともいえる状態となっていますが、こうした動

きは12月の段階では予想できませんでしたから、いかに変化のスパ

ンが短くなっているかということがわかります。

 

考えていれば15年くらい前、自動車関係の設備投資がピタッと止ま

った時期がありました。その後始まったのがITバブルです。その時

のITバブルは、主に光ケーブルに代表される通信関係の設備投資に

起因するものでした。しかし2002年くらいにITバブルも弾け、

日立精機や池貝など、日本を代表する工作機械メーカーが倒産しまし

た。しかし2003年に底を打った生産財不況も2004年からは自

動車関係の設備投資により、その後5年間にわたり活況を呈すること

になりました。

 

そう考えれば、自動車が悪い時にはITが良く、ITが悪い時には自

動車が良くなるという歴史的なサイクルが見えてきます。前回のIT

バブルは「通信」に関わる設備投資によるものでしたが、今回のIT

バブル(?)は「制御」に関わる設備投資によるものです。中身は違

えど、技術革新に設備投資はつきものです。やはり「歴史は繰り返

す」ということなのかもしれません。

 

こうした「IT」と「自動車」による設備投資の波は5年スパン前後

のように見えますが、もう一つ私には40年スパン前後で繰り返すと

思われる歴史的な波を感じます。

 

それは「組織」です。今回の世界同時不況を受け、多くの会社で組織

が抜本的に変わりました。具体的には「ピラミッド」的な組織から、

トップが営業部門を直轄するような「なべぶた」的な組織に変わった

ケースが多いと思います。実は1972年のオイルショックの際にも、

同じよう傾向が見られたようです。やはり非常時“になると、トッ

プダウンの組織にしなければ、乗り切れないということです。

 

ところが1980年代のバブル景気を受け、余裕が出てきた企業は

“ボトムアップ”を求めるようになり、「なべぶた」から「ピラミッ

ド」の組織を志向するようになりました。いわゆる中間管理職に期待

する“平常時”型の組織です。

しかし2009年から2010年にかけ、明らかに非常時“の環境

の中、「なべぶた」的な企業が増えてきました。私はいたしかたない

ことだと思います。

 

船井幸雄は企業経営者のことを「時流適応業」と言っています。ビジ

ネスは「これが答え」というものはありません。時流に適応できる組

織は生き残れますし、そうでなければ淘汰されてしまう可能性が高く

なります。組織のリーダーは、明らかに今までと違う動きが求められ

ていると思います。

 

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