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片山和也の生産財マーケティングの視点【営業力という概念】

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全国を見ていて感じることは、中国向けあるいは一部の半導体向けを

除くと、全体的に厳しい市況は変わらない、ということです。確かに

景気が底を打った感はありますが、採算ラインまで業績が戻らないこ

とには、会社として赤字が続くことになります。

 

そうした中、今の時期でも業績が比較的堅調な会社というのは、業種

や地域を問わず、一つの共通点があります。

 

それは、「営業力が強い」ということです。

 

例えば私の顧問先で、従業員40名の部品加工業があります。NC旋

盤、マシニングセンタ、研磨機といった機械加工を主体とした、いわ

ゆる“鉄工所”ですが、今、仕事はフル稼働です。

確かに単価は下落していますが、現在は補助金無しで月次の黒字は間

違いなく確保できるレベルになりました。

この会社は従業員40名の鉄工所でありながら、営業担当者を4名抱

えています。通常この規模の鉄工所だと営業はおらず、社長が人脈で

仕事をとってくるのがメインでしょう。

 

また、私の顧問先で従業員45名のセットメーカーがありますが、こ

の会社も現時点で1年半程度の注残を抱えており、今期9月決算もピ

ークの2割減程度で着地できそうです。

この会社は営業担当者を8名抱えています。やはり通常、この規模の

セットメーカーの場合、営業らしい営業はおらず、実質的に社長しか

仕事がとれない、そんな感じだと思います。

 

船井総研はマーケティングのコンサルティング、わかり易くいえば営

業力強化のコンサルティングを行う会社ですが、生産財業界において

は本当の意味での「営業力」の概念が、会社によって大きく異なると

私は思います。

 

部品加工業やセットメーカーの場合、多くの会社が大企業の一部門の

ような役割を担っており、自ら自由意志により営業活動を行うことは

ありません。つまり「営業」というものの概念自体がないのです。

 

先ほど、私はわかり易く“鉄工所”という表現を使いましたが、これ

からの時代は“鉄工所”では生き残れません。“鉄工所”ではなく、

いわゆる“メーカー”にならなければいけないのです。メーカーと鉄

工所の違いは何か?要は営業力が有るか無いかです。

営業力がある、ということは言い換えれば自由意志があり、世間に対

して自己主張を行っている、ということです。そうしたことこそメー

カーのメーカーたる条件です。

 

ナショナルブランドメーカーであっても、従来の流通チャネルのみに

依存するのは「営業」ではありません。例えば最近、あるナショナル

ブランドメーカーのコンサルティングを行うと、ここ5年間で取引社

数はほとんど増えていませんでした。従来の代理店制度の中で行える

営業施策に限界があったのでしょうけども、この会社はピークの半分

程度の売上に沈んでいます。商道徳を守ることが前提ではありますが、

チャネルの幅を広げるか、あるいは前進させるかしなければ、業績ア

ップはおぼつきません。

 

機械工具商社などの流通業においても同じことです。今までは、いわ

ゆる“御用聞き”で、お客が求めることに対して真面目に対応してい

れば売上をつくることができました。これからはそうではなく、自由

意志と自己主張を持って、お客にとってメリットのある商品を提案し

ていかなければならないのです。そうした活動の結果が新規開拓です。

例えば私の顧問先のある機械工具商社の場合、10名の営業マンでこ

の1年間で60社を超える新規開拓を行いました。この会社は3月決

算ですが、昨年対比15パーセント減前後で着地ができそうです。

 

そう考えれば、本当の意味での「営業力」とは、自社なりのポリシー

が明確にあり、かつそれを世間に対して発信する手段と、それを実行

するための社員教育が不可欠になります。

 

繰り返しますが、現在のような厳しい市況の中で堅調な業績を維持し

ている会社の共通点は強力な「営業力」を持っている会社なのです。

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