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片山和也の生産財マーケティングの視点【「積極」の姿勢】

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前回のレポートで現在の厳しい市況の中で、比較的業績が堅調な会社

の共通点として「営業力」の強い会社、ということを述べました。

もう一つの共通点は、全てに対して「積極」の姿勢があるということ

なのです。

 

例えば私のコンサルティング先で、ある部品加工メーカーがあります。

マシニングセンタやNC旋盤で機械加工を主体として行っている会社

ですが、この業種は全般的に厳しい状況におかれています。

同社は昨年10月からソリューションサイトの運用をスタートした結

果、現在では1日1件のペースで資料請求が発生し、2日に1件のペ

ースで見積り依頼が発生しています。

先日この会社に大手ITメーカーから、新規で部品加工の見積依頼が

ホームページ(ソリューションサイト)経由でありました。ハステロ

イという難削材に対する、精密部品加工の見積依頼です。

 

同社の営業がすぐさま見積書をこの大手ITメーカーに送ったところ

「検討させていただきます」という返事になりました。ここまでは一

般的な話だと思います。同社が違うのはここからで、同社は注文も貰

っていないのに高価な材料を仕入れ、専用の刃物を買い揃えて実際に

加工を行ってみました。難削材といわれる材料だけに、最適な加工条

件の設定などにとまどりましたが、それでも図面通りに部品を仕上げ

ることができました。

 

そこで社長自らがこの大手ITメーカーに電話をかけ、「実際に部品

を製作してみたので一度実物を見て欲しい」とアポをとりました。そ

の部品を実際に見た大手ITメーカーの担当者はいたく感激し、その

場で20万円前後の仕事をすぐに出してくれました。この時の取引は

商社経由で直取引とはなりませんでした。しかしその後、この大手I

Tメーカーの担当者数名が同社の工場を訪れ、継続的な取引に進展し

てきています。近い将来には直取引のための口座も設定してもらえる

予定です。

 

ここで私が言いたいことは、仮に10社の会社があれば9社以上まで

が見積書を提出するだけだと思います。このようなもう一歩踏み込ん

だ動きができるかどうか、「積極」の姿勢が持てるかどうかがこれか

らの時代を生き抜けるか、どうかということにつながると私は思いま

す。

 

弊社社長の小山は、今回の不況のことを「山火事」と言っています。

山火事が起きることで森林の木々は燃えて灰となりますが、それまで

日が当たることのなかった生命力の強い若木に日が当たることになり、

結果的に森林全体の成長が促進されるということなのです。確かに歴

史的に、既成の利権がいつまでも続いた例はありません。大手企業と

取引をしているとか、何かの分野で大きなシェアを持っているという

のは、ある意味での利権です。今回の不況を「山火事」と捉えるなら

ば、時流に合わせて自社を変える姿勢を鮮明にしなければ生き残れな

いことでしょう。「積極」の姿勢を持つ、というのもそうした要素の

一つなのです。

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