我々コンサルタントというのは、イメージとしては頭脳労働者であるかと思います。頭脳労働者であるからには「考える」ことが仕事であるように思われるかもしれません。しかし実際には、成果を上げることができないコンサルタントほど、パソコンの前でじっと考えるような仕事の進め方をしています。
私が普段自分のグループのメンバーに言うことは、「パソコンの前で考えるな」ということです。つまり歩いている時など移動中などに頭の中で考えをまとめておき、パソコンの前に座ったらアウトプットに注力できる状態、すなわち常に手を動かせる状態にしておかなければ
ならないのです。
かつて天才作曲家と言われたモーツァルトは、作曲を行う時点では頭の中で既に曲が完成しており、あとはその曲を楽譜に書くだけであったといわれています。モーツァルトの代表的な作品である「フィガロの結婚」なども、わずか一晩で書き上げられたそうです。モーツァル
トの域までいくのは難しいにしても、プロとしておおいに参考になる事例だと思います。
また、仕事を行う時間帯も重要な要素です。一般的に人間の頭脳は、午前中にさえ、午後をすぎて疲れてくると効率が悪くなります。従って提案書を書く、企画書を書くなどクリエイティブさが求められる仕事は午前中にあてるようにします。そして頭が疲れてきたら、頭が疲れていても差し支えない仕事をそのタイミングにあてるようにします。頭が疲れていても支障が無い作業の代表例として、メールチェックと返信があります。
さらにタイムマネジメントの考え方として、「今しかできない仕事をする」ということが挙げられます。例えば部下と同行していると、新幹線の中でPHS接続を行い、メールを取り込もうとする人が多くいます。しかし高速で動く新幹線の中、PHSはすぐに切れてしまいますから、これは非常に非効率なことです。メールの接続は事務所やホテルでやっておきデータだけ取り込んでおく、新幹線で移動中はオフラインでメール処理を行うか、あるいはインターネットに接続しなくても行える仕事の時間にあてるべきなのです。
同様に、連絡をメールで行うべきか電話で行うべきかという選択も、仕事の効率の上で重要な要素になります。例えば私の場合、ほとんど毎日出張でコンサルティングを行っています。従って、会社にかかってくる外部からの電話などには、ほとんど私自身出ることができませ
ん。このような時、「片山さんへ ○○さんからお電話がありました」といった内容のことを、メールで送ってくる人が結構います。私が昼間コンサルティングを行っていて、メールチェックは夜しかできないことは少し考えればわかるはずなのですが、このようなケースが新人を中心に多々あります。
このような連絡は迷わず、私の携帯電話にかけてくるべきです。もちろん、コンサルティング中であれば携帯電話に出ることはできませんが、留守電に入れておけばすむことのはずなのです。メールでの連絡だと折り返しの電話が翌日になってしまい、お客さまにも迷惑をかけ
ることにつながるのです。
先ほど私は、頭が疲れていても行える作業の代表格がメール処理だと言いました。言い換えれば、どうでも良い内容のメールが極めて多いということです。それよりも私がメンバーに徹底していることは、とにかく遠慮せず電話をかけてほしい、ということなのです。電話であ
れば声のトーンや雰囲気などで、本人の状況や状態を感じとることもできます。メールと比べればコストアップになるかもしれませんが、リアルタイムでリアルにコミュニケーションをとることを、私は優先したいと思います。
このようなタイムマネジメント、そしてコミュニケーション手段の選択について、小さいことから教育していかないことには社員の成長も無いのではないでしょうか。
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