船井総研には毎年、新卒50名、中途社員50名の割合で新入社員が入社してきます。船井総研のようなコンサルティング会社に入社する際の面接試験の一つとして、「このコップの利用方法を3分以内に20以上挙げてください」というものがあります。例えば“水を飲む”“楽器にする”“水槽にする”“虫カゴにする”・・・と20列挙していくのです。別にコップでなくても構いません。机でもイスでも、身の周りにあるもの、何でも良いのです。ではなぜ、このような能力
た求められるのでしょうか。
コンサルティングの主要なプロセスとして「仮説の提示」というものがあります。コンサルティングを行う上で最も重要なことは、まず仮説を立て、その仮説を検証するために分析を行うということです。仮説無しで分析作業に入っても、答えは絶対にでてきません。この仮説を立てる上で、あらゆる物事に対して多面的な見方ができなければならないのです。ですから、先に述べたような発想力がコンサルタントに求められるのです。
このように難関を突破して入社してきているので、素頭は良いのでしょうけども、ビジネス文書が滅茶苦茶な社員が最近とても目に付きます。新卒社員は仕方がないにしても、職業訓練をうけているはずの中途社員も基本が全くできていません。特にひどいのはメールです。口語体と文書体が混在していて、結びの言葉が「それでは、失礼します」などと使われているわけです。私は前職で、結びの言葉として「よろしくお願いします」と書いていたら、古参の女性事務社員から「目上の人に書くときには よろしくお願い“申し上げます”と書くのが常識でしょう」と随分怒られました。最近は職場でも、こうした基本的な指導が行えていないのかもしれません。
また、先日も別のチームのメンバーがお礼状を葉書で書いているのはいいのですが、役職の下に相手の氏名を書いているわけです。当然、スペースが足りないから氏名は小さく、おかしなレイアウトになっています。私は即座に「役職の左側に氏名を書くのが常識だろ」と指導しました。ちなみに、その当人の目の前ではチームリーダーが仕事をしているわけです。管理職たるもの常に回りに目を配り、部下がおかしな仕事の進め方をしていたらOJTで即座に指導しなければなりません。リーダーにはそのような、イージス艦のごときアンテナが必要なのです。
このように、ビジネス文書作成能力が低下している要因の一つとしてメールの普及が挙げられるでしょう。メールは手紙でもなく電話でもない、いわば中間体的な情報媒体です。言葉にしても文書体なのか口語体なのか、あいまいな使われ方をしています。ビジネスにおいて、メールは明らかに「文書」として運用されなければいけません。安易に全社メールなどを打つ人がいますが、これは非常識以外の何者でもないと考えなければならないでしょう。
私は部下などがおかしなメールの使い方、あるいはおかしな文章を書いていたらその都度、電話で注意をするようにしています。犯罪学の理論で「壊れ窓理論」というものがあります。これは、たった一枚の窓ガラスが割れていることが、その地域に重大な犯罪を招きかねないという理論です。メールの使い方やその中で使われている、おかしな文章などは、私から言わせれば典型的な「壊れ窓」です。“神は細部に宿る”という言葉がありますが、細かいことができれば大きな仕事も達成することができるのです。そのように考えて、リーダーは指導にあたっていきたいものです。
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