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ドイツグレートカンパニー視察セミナーレポート:2日目

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驚きのグレートカンパニー視察セミナー
 

2018年 4月24日 火曜日 このセミナーについて>>

ドイツグレートカンパニー視察セミナーレポート:2日目(2018年 4月24日 火曜日)

視察2社目:ボルシア・ドルトムント

 

驚きのグレートカンパニー視察セミナー

スタジアム内部の様子
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選手を大切にする文化で知られる
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エヒト・リーベ(本物の愛)のロゴ

 

(1)ボルシア・ドルトムントの概要

  • 創業1909年、ドルトムントを本拠地とする総合スポーツチーム。サッカー部門はドイツサッカーリーグ機構(ブンデスリーガ)に所属する。
  • ドルトムントの人口は60万人であるが、サッカーを中心に多くの人を集めている。同スタジアムは平均集客人数8万1000人であり、欧州でもトップクラスの動員を誇る。
  • 我々は「人の感情」を扱うビジネスを行っている。

 

(2)ボルシア・ドルトムントのポリシー

  • 「人の感情」を扱うビジネスを行っており、最も大切にしているキーワードは「本当の愛(リアル・ラブ)」。勝っても負けても変わらず応援してもらえる関係性をファンおよび関係者と築く。
  • 意思決定はクラブのメンバーが取る組織形態となっており、いわゆる投資家や大企業がオーナーといった様な、スポンサーの意向を受けない経営形態をとっている。例えば海外の有名チームの中には、アラブの石油資本がオーナーであったりする。
  • またコアビジネスと関係無いことはやらない。例えばホテルの経営等は行わない。
  • できるだけフラットな組織を心掛けており、役職は少ない。全部で800人がクラブの従業員である。

 

(3)クラブの哲学と国際化について

  • ドイツ内だけでの展開では限界がある。日本も含めた海外への展開が非常に重要と位置付けている。そのために自クラブの哲学を重要視している。
  • クラブの哲学は大きく4つ。
     ①本物
     ②謙虚であれ
     ③サポーターと一体感を共有すること
     ④アンビション:志
  • リーグで優勝することが必ずしも目的ではない。優勝は数あるチームの中でも1チームしかできない。
  • 同クラブのフェイスブックへの「いいね」のうち、75%が海外ファンからのものである。
  • 日本ではNOVAと提携して展開している。子供の段階から自クラブに親しんでもらい、大人になる過程でファンになってもらう長期戦略を持っている。

 

(4)同クラブのマーケティング戦略について

  • 同クラブのマーケティング責任者、デニス氏より講演。
  • かつてはブランドロゴも複数あるなど、ブランドの統一化が図れていなかった。10年前からブランド・アイデンティティ統一し、「バイブル」と言われるマニュアルにまとめてある。
  • 最も重視することは前述の「本当の愛(リアル・ラブ)」である。さらに熱狂的なファンの「クレイジー&ラブ」も重要である。例えばファンがグランドキャニオンへの旅行の際、現地でドルトムントのユニフォームを着て、グッズとともに写真をとってSNS(フェイスブック)にアップした。
  • 試合中のファンのパフォーマンスについても、意図的にSNSで拡散するなどして、ファンの中での一体化を図っている。こうした施策により2億8000万人もの人にリーチできた。その広告効果は計り知れない。
  • こうしたSNSを通したマーケティングについて、ファンに「マーケティングをしている」と感じさせないことが重要なポイント。

 

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スタジアムツアーの様子
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プレミアムスポンサー用ラウンジ
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ラウンジから望むスタジアム

 

(5)スタジアムツアー

  • 講演のあと、スタジアムツアーを実施。
  • プレミアムスポンサーは、スタジアムを室内から見下ろせるスポンサー用ラウンジを使用することができる。同スポンサーラウンジは非常に人気があり、現在スポンサー待ちの企業は200社にものぼる。

  

視察3社目:シーメンス

 

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講演の様子
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角田部長による講演
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ドイツと米国が生産性トップ

 

(1)シーメンスの概要

  • 創業1847年、ドイツを代表する総合重電メーカー(情報通信、電力関連、交通・運輸、医療、防衛、生産設備、家電製品等)。グローバル従業員約35万人、売上高約12兆円。
  • 創業170年の超老舗でありながら変化し続ける、知られざるエクセレントカンパニーであると同時に、SAP社とならんでインダストリー4.0の中心企業。

 

(2)生産性を飛躍的に高めるために大切なこと

  • 同社 デジタルファクトリー/プロセス&ドライブ事業本部の角田部長よりご講演。
  • 生産性を世界比較で捉えると、ドイツ・アメリカが国民1人あたり1時間あたり生産性60ドルであるのに対し、日本は40ドル強である。
  • 実はアメリカは2000年以降、GDPが成長している。その要因は主にインターネット産業であるとドイツでは捉えている。ドイツではこれに対抗するためにインダストリー4.0を打ち出し、さらに生産性を高める考えを持っている。
  • 生産性を高めるためには、単に生産現場の改善活動だけではもはや上がらない。サプライチェーン全体でものづくりを捉え、サプライチェーン全体で最適化を行う必要がある。
  • 具体的にシーメンスでは従来の製造工程だけでなく、さらに川上の開発設計工程からデジタル化をすることが必要だと考えている。
  • さらにハードだけではITに勝てないと判断、川上工程のソフトウェア会社を積極的にM&Aを行った。3次元CAD/CAMやデジタル・シミュレーションソフトなど。
  • ものづくりを行う前に、コンピュータ内でバーチャルにものづくりの検証ができれば、マス・カスタマイゼーション(大量生産コストによる個別生産)が実現できる。その為にはシミュレーションソフトが必要であるが、0から開発する時間はない。そこで買収を積極的に進めた。

 

(3)インダストリー4.0を推進するマインド・ソフィアについて

  • デジタルの世界で事前にシミュレーションを行い生産性も高めるためには、リアルからバーチャルへ・バーチャルからリアルの世界へ・をぐるぐる回す仕組みが必要である。
  • こうしたリアルとバーチャル、川上工程と現場の設備そのものをつないで統合するソフトウェアが、シーメンスのリリースしたマインド・ソフィアである。
  • 例えば機械に取り付けてあるドリルが摩耗により折れる前に、モーターの負荷からそれを検知してドリルが折れる前にアラームをならす、といったことが可能である。このプロセスで機械の様々なデータをとり、どの様な条件設定にすれば稼働率が最も上がるのか、といった最適化・深い分析を行うことができる。
  • 製造業の現場だけでなく、空港でのバゲージシステムや、コカ・コーラの物流システムなどでも導入実績がある。
  • マインド・ソフィアのクラウド利用料は月間4万円から。同様の他社のシステムと比較して非常に安い(1/10くらい)。インダストリー4.0は大企業だけのものではなく、中小企業まで巻き込んではじめて機能する。中小企業が採用できるシステムでなければ意味がないと考えている。

 

(4)組織マネジメントについて

  • シーメンスはそもそもハードウェアの会社であり、ITに詳しい人材はM&Aや中途採用により外部からどんどん採用を進めた。従来の人材と社内的に軋轢がないわけではないが、イノベーションは進んでいる。
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