視察5社目:Google(グーグル)
(1)グーグルの概要
- インターネット検索エンジン世界最大手。検索エンジンの他、オンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェア関連の事業がある。
- 創業1998年、創業者はラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン。
- 従業員57100名、売上高は約10兆円弱
(2)グーグルニューヨークオフィスについて
- 元港湾局のビルを再利用して、グーグルニューヨークオフィスとしている。マンハッタンの中では4番目に大きなビル。中身は完全にリノベーションをかけており、最新のオフィス環境となっている。
- オフィスの至る所、150m以内にマイクロキッチンがある。マイクロキッチンには、社員が無料で飲食できるサーバーが設置してある。自身で料理をすることも可能。
- またオフィス内の至る所に仮眠スペースがある。
- グーグルニューヨークオフィスに通りを隔てて隣接するのが、ナビスコ社の工場をリノベーションし、マンハッタンの観光名所ともなっているチェルシーマーケットである。
視察6社目:YouTubeスタジオ
- グーグルニューヨークオフィスに隣接するチェルシーマーケットの6階に、YouTubeスタジオがある。
- YouTubeスタジオは3年前からスタートしており、世界10カ所に存在する。
- 同じスタジオのコンセプトは3つ。
- ラーン(学ぶ)
- コネクト(つながる)
- クリエイト(つくりだす)
- YouTubeそのものがコンテンツをつくるわけではない。コンテンツを制作するクリエイターとオーディエンス(=観客)を育て・つなげるエコシステムを提供している。
- 同スタジオは、YouTubeにて1万フォロー以上で自由に使うことができる。
- いつでも使える状態にしてある“レディスタジオ”である。スタジオとしてバー・キッチン・書斎・暖炉・ベッド・医務室などがある。
- ハイスペックな機材を誇る動画の編集システムは10万フォロー以上で使うことができる。
視察7社目:Warby Parker(ワービーパーカー)
- 従来アメリカにおいて、眼鏡はどちらかというと敬遠されてきたこと、また高価なオーダーメイドが一般的であった。従って店舗で自由に眼鏡をさわり、かけてみるといったことも難しいという背景があった。
- そうした中、眼鏡をより身近な存在として扱うのがワービーパーカーである。同社は2010年の創業であり、オンラインSPAという業態でブランド化に初めて成功した企業として知られる。
- オンラインSPAとは、製造業者がネットで直販する業態であり、店舗は持っているが店舗販売は行わず、試着といったサービスのみを提供する業態である。
店員は販売目標を課せられているわけではないので、販売よりもサービスに注力するという顧客視点でいえば良い傾向がある。
視察8社目:講演 ニューヨークブランド最新事情
(1)アメリカにおけるブランドの方向性
- Flow Society Jonathan Mayerによる講演。
- アメリカにおけるブランドの方向性として、
- 製造業と販売業の結びつきがより強くなる。
- 透明性がより求められる。
- オンラインとオフラインの融合が求められる。
といったことが挙げられる。
(2)廃れるブランド・人気を集め続けるブランド
- ナイキ、コーチ、グッチ、ルイヴィトン、マセラティなど、様々な分野で様々なブランドがあるが、古くなってしまったブランドと、より進化したブランドがある。その違いは何か?
- 古くなってしまったブランドは、モダン化・若者へのアプローチができていない。
- 例えば世界中の22%の人がフェイスブックのアカウントを持っており、そのうち76%の人が毎日ログインしている。そして18歳の若者は、ほとんど新聞読まない。
- 逆に41%がスナップチャットを活用しており、またミレニアム世代の81%がツイッターを活用している。
- つまり若者がチェックする情報媒体が変わっており、売り手もそれに対応したマーケティングが求められる。
- そこで我々はデジタルマーケティングにシフトしていった。
- 古くなったブランドも売り方を変えればよい。
(3)デジタルマーケティングについて
- アンタックイット アルバート氏からの講演。
- デジタルマーケティングで大事なことは、まずSEO(検索エンジン対策)である。自社ホームページの検索順位をできれば1位、あるいは3位までに上げる。
ストーリーを語り、そのストーリーをWebサイトに落とすことが必要。 - またオーディエンス(=顧客)を育てる必要がある。その為に、スナップチャット、YouTube、フェイスブック、インスタグラムといった媒体を活用する。
- 次に売り方を変える。その中でも今注目を集めている業態が「オンラインSPA」である。
- 「オンラインSPA」の代表的な会社として、眼鏡販売のワービーパーカーと、アパレルのエバーレーンが挙げられる。
- 従来は原価率の低い眼鏡、あるいはアパレル商品に対して、問屋や百貨店が売れ残りリスクもみて不透明な価格設定を行ってきた。それに対してオンラインSPAは製造と販売が近い上、店舗在庫や販売員などの流通コストが安く、価格設定の面で顧客にメリットが出せている。
- さらにエバーレーンについては、自社の原価までオープンにして顧客から支持を受けている。
- アンタックイットは裾出しを前提とした、ボタンダウンシャツのブランドである。
- ラジオ、テレビで積極的に広告をうち、創業時から利益を出してきた。
- さらにeコマースに取組み、さらに業績を伸ばした。特にNFLに広告を出すことにより、自社サイトに7万人もの顧客を集めた。
- 販売チャネルごとに費用対効果を見極めることが大事である。
- WEBと店舗、店舗で見た人がWEBで買う仕組み、またWEBで買ったお客が店舗で買うという購買パターンを確立している。
- 従来の「ファッションショー」「ファッション雑誌」「百貨店」というアパレルを流通させる上での3要素が機能しなくなってきている。それが従来アパレルの苦戦している要因である。
- それに対してオンラインSPA+WEBマーケティングの組合せで、固定費を最低限に抑えるビジネスモデルがアメリカで伸びている。
- さらにWEBマーケティングでポイントとなるのが動画である。検索媒体がパソコンからスマホになり、画面が小さくなるなかで文字の羅列から、動画の方が共感を得やすい媒体になっている。 製造業・工場経営の最新ノウハウ資料を見る