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現在の市況と今後の見通し

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昨年9月のリーマンブラザース破綻に端を発した世界的恐慌は、「需

要半減」といっても過言ではない影響を市場にもたらしています。では、

この2009年4月以降の動きはどうなるのでしょうか。

今後の市況を占う一つの指標として、トヨタ自動車の自動車生産計画

を挙げることができるでしょう。

トヨタ自動車では昨年4月の時点で、日当たり17,426台の自動

車を生産していました。それが今年の4月は、日当たり8,235台、

昨年対比47%であり文字通り需要半減です。これが現在の計画(2

009年4月時点)では、5月から日当たり生産台数が10,000

台を超え、10月からは12,000台を超える計画になっています。

つまり今年秋の状態でピークから需要3割減の状態です。さらに来年

3月には13,000台に近づく計画となっていますが、1年間の累

計で昨年対比82%というのが現在の計画水準です。

ちなみに、自動車メーカーに部品を供給する自動車部品メーカーの損

益分岐点は、日当たり生産台数12,000~13,000台と言わ

れています。従って自動車業界や自動車業界を主要顧客とする工作機

械業界、ロボット業界などの生産財業界も、あと1~2年は厳しい状

態が続きそうです。

この「今年秋で需要3割減」というのは、トヨタ自動車だけではあり

ません。建設機械等にディーゼルエンジンを供給する、大手原動機メ

ーカーの生産計画も現時点で生産半減、秋の時点で約3割減の生産計

画です。このように製造業マーケットは、この秋に向けて回復に向う

でしょうけども、ピークから比較すると2~3割減の状態でしばらく

推移すると考えておくべきでしょう。また、製造業ではない消費者マ

ーケットであったとしても、こうした製造業不況の影響を今後強く受

けると考えておくべきです。従って、あらゆる業界の経営者は、ピー

クから需要3割減を乗り切るための新たな戦略を考えるべきなのです。

また、この秋以降は本格的に企業間格差がついていくことになるでし

ょう。なぜならマーケットが3割縮小するということは、そのマーケ

ット内の全ての会社がおしなべて3割売上を落とすということではな

いからです。経済原理からいうと、全ての会社が3割売上を落とすの

ではなく、7割の会社が残り、3割の会社がマーケットからの退出せ

ざるを得なくなるのです。

つまり今回の大不況のように、いきなり需要が半減すると最初は全て

の会社が同じように売上を落とします。しかし半年から1年経過して

くると企業間格差が生まれはじめ、「生き残る会社」と「生き残れな

い会社」に二極化が進むのです。

事実、私の関係先を見ていても、この4月から新たな引合いが増え始

め、6月には採算ラインに復帰する見込みの会社がある一方、4月に

なっても状況が改善されない会社に分かれてきています。不況が決定

的になったのは昨年9月からで、この4月で半年が経過します。つま

り全体がおしなべて売上を落とす時期から、市場がプレーヤーの選別

を始めるタイミングに差し掛かってきていると考えるべきなのです。

これが秋になると、さらに本格的に選別が始まるでしょう。

今、需要半減の状態から回復に向いつつある会社には次の2つの共通

点があります。

 1)プル型の営業システムを持っている

2)不況対応型の戦略を持っている

激動の時代になればなるほど「人脈」や「昔からのつながり」が役に

立たなくなってきます。見込み客からの引き合いが自動的に獲得でき

るプル型の営業システムを持つことは、現在の不況を乗り切る上での

キーとなります。これは今まで述べてきている通りです。さらに、こ

の不況を乗り切る上で最大のキーポイントは「不況対応型の戦略」で

す。つまり好況時の戦略と同じ戦略では、不況を乗り切ることはでき

ないのです。

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