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理念をどう落とし込むか

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少しずつ市況が回復している兆しが見えてきました。私の顧問先でも
2月ごろから仕掛けていた案件が動きだすなど、新たな受注が決まり
はじめました。今まで「新規開拓」あるいは「深耕開拓」を仕組みと
して進めてきた、言い換えれば自社の「差別化」「競争力」向上に真
剣に取り組んできた会社は、少しずつ成果が出始めている、ライバル
と差がつき始めていると私は思います。

都市銀行が当局の指導により統合され、一気に半減したのが6~7年
ほど前の話です。造船会社や鉄鋼メーカーも統合、高度成長期を終え
た日本は本格的に次のステージに入りました。今回の生産財業界が直
面する不況も、こうした産業構造の変革を迫るものだと思います。
行や造船、鉄鋼などの大型基幹産業の場合は当局の判断も大きく働い
て残る会社が決まります。我々生産財業界の場合は、どの会社が残り、
あるいは市場から退場を迫られるのかはユーザーが決めるのです。
まりユーザーから選ばれる会社にならなければいけません。

その為に、これからの時代に最も必要なことは、私は自分なり自社な
りの「哲学」だと思います。マルクスは「哲学」のことを「世界観で
ある」と言いましたが、全ての価値判断の基準が哲学です。哲学の無
い人間、あるいは企業というのは状況によって根本的な判断基準がぶ
れます。そのつど判断基準がぶれるような会社の社員、あるいは管理
職の部下はまとまることはありませんし、成果を上げることはできま
せん。経営「理念」という言葉がありますが、哲学があって思想があ
り、理念があるのです。

自社の理念が末端の社員まで落とし込まれている会社は、えてして競
争力が高いものです。例えば、ホームページ制作の会社で 株式会社
カヤック という会社があります。同社は「つくる人をつくる」とい
う理念で、ユニークなWebサイトを多数世の中に出し、そのサイト
を見て興味をもった広告代理店などから仕事を受ける、完全プル型営
業の会社です。一般にホームページ制作の会社というのは差別化が難
しく価格競争に陥りやすい業態ですが、同社は自社の理念を前面に押
し出すビジネスモデルを展開し、価格競争を回避して3年間で売上を
3倍以上に伸ばしています。
同社ホームページ https://www.kayac.com/

私は仕事柄、多くのホームページ制作会社と接点があります。ほとん
どのケースで彼らは「ホームページは誰がつくっても同じですか
ら・・・」と口をそろえていいます。いわば哲学が無い状態です。
の結果、価格競争に巻き込まれることになります。そもそも、人がつ
くるもの、行うことで他人と同じ、などということはあり得ません。

本当の意味での競争力は哲学に基づく理念がベースとなり、そしてそ
れが全社員に落とし込まれていなければなりません。これからの時代
は、本当の意味で哲学や理念が大切になる時代になるのではないかと
思います。

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