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片山和也の生産財マーケティングの視点【2010年の市況予測】

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1月は各社・各業界での賀詞交歓会などがあり、生産財業界の色々な

情報が入ってきます。今後の景気の見通しですが、マクロにみればあ

まり良い材料はありませんが、生産財業界の設備投資に限定していえ

ば、好転する雰囲気になってきています。

自動車業界は、2010年3月期決算でトヨタ自動車が3000億円

前後の赤字から黒字への転換の目途がついたとのことで、これは良い

材料なのですが、逆に今期は何としても利益を出すために、徹底的な

支出削減をグループ全体で行っています。そうしたこともあり、私の

顧問先を見ていても、自動車関連の設備投資はほぼストップしている

ような状態です。

しかし、2010年4月以降は動きがあるでしょう。昨年7月くらい

から生産量はピークの7~8割前後にまで戻ってきており、設備投資

を止めるのも限界があるからです。

半導体・太陽電池関連の業界は活況で、特に電気自動車などの電圧制

御に使われるパワー半導体といわれる分野は、過去にない増産となっ

ています。この分野の設備を手がけているセットメーカーは、非常に

活況を呈しています。

また太陽電池関係の設備投資も活況です。シャープ・京セラ、さらに

昭和シェルやホンダといった新興勢力も本格的な生産に乗り出そうと

しており、この分野の設備投資はしばらく続くでしょう。私の関係先

でも、既にこの分野から1年分くらいの受注をしているセットメーカ

ーもあります。

こうした環境下、厳しい中でも比較的業績が堅調な会社には共通点が

あります。それは「営業力が強い」ということです。もっとわかり易

くいえば、自社のイメージアップにコストと時間をかけているという

ことです。

例えば私の顧問先のあるセットメーカーの場合、一品料理の専用機ば

かりをつくっていますが、それら設備のカタログは完備しています。

つまり実際には一品料理の専用機をつくっているわけですが、それを

あたかも標準仕様にみせるかのような、カタログを整備しているので

す。お客の立場からすれば「このような設備がつくれるなら、こうい

う設備もつくれるだろう」とイメージを持ってくれます。

設備を売る側からいえば、お客から問合せがきたときにカタログが完

備されていれば、すぐに資料請求に応じることができます。もしカタ

ログが無ければ、過去の仕様書を書き換えたりする手間がかかります

し、守秘義務のことを気にして結局適切な対応ができないケースもあ

るでしょう。

今、セットメーカーやエンジニアリング会社は最も不況の影響を受け

ている業種です。ただ、そうした中でも仕事を持っているセットメー

カーやエンジニアリング会社というのは、偶然かもしれませんがこう

した営業ツールも充実しているのです。

ビジネスは、全体から見れば数パーセントにも満たないことかもしれ

ないことへの努力の積み重ねです。カタログを整備することがビジネ

ス全体にどれだけ影響を与えるのか、それは私もわかりません。ただ、

結果的にその数パーセントの違いで、ビジネスは結果が変わるのです。

また営業力を上げるというのは、営業部門だけでなく会社全体で考え

ていかなければならないことです。女子社員の電話対応の声から、工

場現場の作業者の挨拶まで含んで、それが営業力です。営業力とは言

い換えれば相手への気配り力であり、気配り力を上げるというのは人

間性を高めていくことに他なりません。つまり時間がかかるのです。

2010年、新しい年が始まりましたが、これから数年間は今までに

なく営業力が問われる年になるのではないでしょうか。

 

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