視察7社目:グーグル(Google)
(1)グーグルの概要
- 1998年創業。売上高745億4100万ドル、従業員5万7100人。
- まだ創業してから18年しか経っていないが、検索エンジンで世界No1。全世界の45%が1日1回グーグルを検索している計算になる。
(2)グーグルの使命と商品
- グーグルの使命は「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」である。
- グーグルには今、7つの商品があり10億人のユーザーがいる。フェイスブックやアップルも10億人のユーザーがいるが、7つの商品全てに10億人のユーザーがいるのはグーグルだけである。
(3)グーグルと日本との関係
- アメリカ以外のオフィスは日本が最初につくられた。グーグルにとって日本市場は重要な市場である。
- プロダクトマネージャー ケン・トクセイ氏は15年勤務している。東日本大震災の際には東京オフィスで仕事をしていた。
- 東日本大震災の発生から2時間以内にクライシスレスポンスのサイトを立ち上げた。
- また2週間の間に安否情報サイトなど37のサイトを立ち上げた。東京オフィスだけでなく、世界中のエンジニアが協力した。こうした動きは、特にトップからの指示無しに行われた。これらはグーグルの理念に基づく行動の優先順位である。
(4)いかにイノベーションを生み出すのか:グーグルのカルチャー
- グーグルのカルチャーについて、テレサ・テラサキ氏について講演いただきました。
- グーグルがイノベーションを生み出せるポイントとして次の3つがある。1つ目はカルチャー、2つ目がハイパフォーマンスを実現する環境、そして3番目が採用である。
- グーグルのイノベーションを起こす5つの原則
1)最初から完璧を求めない
2)不可能と決め付けない
3)ユーザーに焦点を絞る
4)共有はアイデアを生む
5)データを基に考える - グーグル「10の企業指針」
1)ユーザーに焦点を絞れば、他は後からついてくる
2)優先順位をつけて集中する
3)遅いより速いほうがいい
4)他の人の言葉を積極的に聞き入れる
5)新しいマーケットを常に模索
6)悪事を働かなくてもお金は稼げる
7)理解のある人であれ
8)情報のニーズは全ての国境を越える
9)挑戦の楽しさをエンジョイ、フラットなコミュニケーション
10)現状維持で満足しない - スピードを重視している。例えばグーグルグラスのプロトタイプは2時間でつくった。
- チームワークを重視している。感謝の気持ちを年間5人に、1人あたり150ドルのボーナスをあげることができる。
- 部下が上司を評価する、グーグルガイストという仕組みがある。
1つ目の場所:家庭
2つ目の場所:職場
3つ目の場所:サードプレース
4つ目の場所:デジタルワールド - グーグルはサードプレースを目指している。そしてこれからはデジタルワールドも意識している。
視察8社目:スタンフォードユニバーシティ(Stanford University)
- 1891年に鉄道王・カリフォルニア州知事であったリーランド・スタンフォード夫妻が、病死した1人息子のリーランド・ジュニアを偲んで設立。
- 学生数は、学部生約7000名、大学院生約9000名であり、教員数は約2100名である。7つのスクールを有し、ノーベル賞受賞者を20名輩出している。
- 8180エーカーという巨大なキャンパスには700の建造物があり、学生によるキャンパスツアーを実施している。
- 世界に政治家、企業経営者を輩出してきた東海岸のハーバード大学に対して、シリコンバレーにあるスタンフォード大学は、IT、バイオなどチャレンジ精神にあふれた、数多くの起業家を送り出しているのが特徴である。
- アントレプレナー教育に力を入れており、シリコンバレーにおいて起業家を次々と輩出しているのも1つの特徴である。
視察9社目:プラグアンドプレイテックセンター(Plug and Play Tech Center)
(1)同センターの概要
- 2006年に設立。ベンチャー企業にオフィスを貸し出すとともに、投資も行っている。
- グーグルやペイパルが入居したことをきかっけにペイパルに投資、その後同社がイーベイに買収されたことで巨額の利益を獲得し、現在の本格的な施設を建設するに至った。
- 現在は350社のベンチャー企業が入居している。
- 同社のビジネスモデルは「家賃で稼ぐ」「投資で稼ぐ」またマッチングにより「大企業から稼ぐ」というものである。
(2)デジタルアーツ株式会社 水山取締役からの講演
- セキュリティソフトFinalCodeを開発・販売するソフトフェアメーカー。同ソフトは次の様な機能を持つ。
- メールを誤って送付しても、その後遠隔操作で消すことができる。
- NDAを締結した後、契約終了後に相手に渡した資料を消すことができる。
- この様に、リモートで渡したファイルを消すことができる。
- シリコンバレーはゴールドラッシュの歴史が有り、米国の中でも特殊なエリア。
- 日本人では中々このエリアの中枢に入ることが難しい。
(3)チャットワークカブシキカイシャ CEO山本敏行氏からの講演
- 同社は創業2000年。ITで業務効率化を実現するチャットワークを開発・販売するソフトウェアメーカー。日本ではビジネスチャットのシェア7割持っている。
- チャットワークはインフラになりつつある。システムが1分間ダウンすると、1000件のクレームがツイッター等SNSに投稿される。
- 自社の商品を世界展開したいと思い、操業10年ほどで社長でありながら、サンフランシスコのデザイン事務所でインターンとして2ヶ月働く。
- シリコンバレーへの進出を決意。社名をBCスタジオからチャットワークに変更してシリコンバレーに進出。プラグアンドプレイに入居。同施設の中では最大規模の入居となっている。
- アメリカに出てきてよかったこと。
1)ネットに出てこない情報・裏話が手に入る
2)パートナーシップ スタートアップに対してのサポートが手厚い
3)マーケティング 世界中の携帯キャリアと組むことができる
4)市場 ITのBtoB市場で 日本7% アメリカ50% 英語圏20%
⇒ アメリカの市場は圧倒的に大きい
5)出会い 日本では絶対に会えない人と会える 安倍首相とも面談できた - 日本人がシリコンバレーで戦う上で大切なことは「まともに戦わない」ということ。なぜならルールが全く違う。
- 日本で考えたアイデアは世界で中々売れない。現地のニーズをしっかりつかむことが大切。
- 日本を味方につけることが大事。時差を利用して日本でオフショアする。日本でつくられたものをシリコンバレーで吟味する。
- アメリカではデザインが非常に重視されている。良いデザイン会社があるとすぐに買収される。デザインでアメリカに勝つのは難しい?
(4)社員満足度を上げる方法
- 社員のやりたいことをさせる。何をやりたいのかを聞いて、それをやってもらう様にする。
- 例えば、エンジニアとして成果を出せていなかった社員が、台湾でマーケティングをしたいと言い出した(その社員に台湾人の彼女ができた)。役員は反対したが本人の強い意向もあり2ヶ月限定で認めた。その結果台湾での売上が伸び、現在その社員は台湾のカントリー責任者を務めている。