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米国にグレートカンパニーが生まれる土壌と、そこから学べること

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グレートカンパニー視察セミナー

 

米国にグレートカンパニーが生まれる土壌と、そこから学べること

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▼視察先企業概要

サンフランシスコ視察先位置関係図(クリックで拡大)
サンフランシスコ視察先位置関係図

1.ナゲットマーケット(Nugget Markets)
2.キンプトンホテルズ&レストラン グループ(Kimpton Hotel &Restaurant Group Inc)
3.フェイスブック(Facebook)
4.グーグル(Google)
5.ホール フーズ マーケット(Whole Foods Market)
6.ネットアップ(NetApp)
7.ブロケード コミュニケーションズ システムズ(Brocade Communications Systems)
8.ノードストローム(Nordstrom Inc.)
9.セールスフォース・ドット・コム(SalesForce.com)
10.ザッポス(ZAPPOS)
11.ウォルマート・ストアーズ・インク(Wal-Mart Stores, Inc)
12.バスプロショップ(Bass Pro Shops)

 

1)230年の歴史しかない人口国家アメリカ躍進の要因とは?
 1620年、イギリスから大西洋を渡り辿りついたピューリタンがイングランドに上陸、植民地としてアメリカの歴史は始まりました。さらにその156年後の1776年、独立宣言により主権国家としてのアメリカが誕生しました。

 現在では超大国のアメリカですが歴史的にはわずか230年しかなく、日本の約1/10程度の歴史しかない国です。しかし独立時の「理想の国家をつくる」という設計図、さらに「民主主義」というイデオロギーが極めてうまく機能した結果、現在の世界ナンバーワン超大国の地位に至った訳です。

 さらにアメリカが躍進した歴史的土壌として「明白なる天命」(manifest destiny)という考え方があります。「明白なる天命」とは、彼ら白人(欧州からの移民者)にとってアメリカ大陸は神からもたらされた恩恵であり、さらにその勢力(領土)をどこまでも拡大することが神の意思であるという、それが「明白なる天命」という考え方です。

 その結果、メキシコとの戦争、スペインとの戦争を経てテキサス州やカリブ諸島を手中にし、ロシアからアラスカを買い取り、さらに植民地としてハワイ、フィリピンを手に入れ、ペリーが日本に来日したのもそうした一連の流れの中での必然でした。

 アメリカにとって武器となるイデオロギー(思想)は「民主主義」ですが、彼らを突き動かす真の理念は「明白なる天命」なのです。また多くの先進国で「政教分離」が図られていますが、アメリカは政教一致の国家です。事実、大統領就任式典では新大統領は聖書に手をおいて神の名の元に就任の宣誓を行ないます。

 歴史の無い人口国家であるが故にアメリカは理念的な国家であり、理念に突き動かされるが故に世界の覇権を取るに至ったと言えるでしょう。

 

2)グレートカンパニーとアメリカ経済発展の関係
 こうしたアメリカの歴史的背景・国家的背景が、アメリカに多くのグレートカンパニーを生み出すに至った必然とも言うことができます。アメリカにおいては多くのグレートカンパニーの誕生が経済を牽引してきました。

 下の図表は日米におけるGDPの推移を比較したものです。

日米GDP推移

 日本が1992年のバブル崩壊からGDPが横ばいなのに対し、アメリカは一貫して経済成長を続けていることがわかります。

 アメリカにおける転機は1980年代でした。この年代、アメリカは安い人件費と高品質を武器に攻める日本製品の脅威にさらされ、デトロイトでは日本車の打ちこわしが行なわれるなど、ジャパンバッシングが各地で発生しました。従来のビジネスモデルでは日本を始めとする新興国に勝てないと判断したアメリカは、産業構造を大きく転換するに至りました。

 具体的には自動車を除く耐久消費財の生産からは手を引き、IT・ソフトといった新産業の育成に力を入れました。こうした流れを受けてGE(ゼネラル・エレクトリック)も冷蔵庫やテレビといった家電の生産からは手を引き、ジェットエンジンや医療機器など世界シェア1番、あるいは2番になり得る製品しか手がけないことを明言しました。こうした圧倒的一番の商品・技術をつくる、持つということはグレートカンパニーの要件の一つでもあります。

 1980年代のIT・ソフト産業の新興がアメリカ経済再生の原動力と言われていますが、別の角度から見れば企業のさらなるグレートカンパニー化がアメリカ経済を継続的に成長させている要因と捉えることもできるのです。

 

3)オールドビジネスもグレートカンパニー化するアメリカ

~日本製工作機械キラー、米国Haas社について~
 こうしたアメリカにおけるグレートカンパニー化の 流れは、必ずしもIT・ソフトといった最先端の業界だけではありません。例えば工作機械というオールドビジネスにもその潮流は見てとれます。かつて1970~80年代、日本の工作機械メーカーはアメリカを席巻し、それまでの歴史的工作機械メーカーであったバーグマスター社を始め、シンシナチ・ミラクロン社、FADAL社など多くの工作機械メーカーが日本メーカーとの競争に負けて倒産しました。

 しかし最近、アメリカでシェアを拡大し続けている工作機械メーカーHaas社は、1990年代に工作機械事業に進出したメーカーです。同社の特徴はとにかく安いこと。かつアメリカ製であること。安さの秘密はとにかく機能を絞り込み、目的に応じた最低限の仕様であることです。例えば日本製工作機械の多くは多機能ですが、ユーザーはその機能の3割も使っていないのではないでしょうか。

 また、同社のビジネスモデルは完全な直販です。平均単価が1000万円を超える工作機械でありながら、同社の商品はネット通販によって購入することもできます。

Haas社の工作機械と展示会におけるブースの様子

Haas社の工作機械と展示会におけるブースの様子1 Haas社の工作機械と展示会におけるブースの様子2

 商社を介さない直販モデルの場合、売掛金の回収がメーカーにとってのリスクになりますが、同社の工作機械はローンの支払いが滞るとGPSによる遠隔操作によって機械の稼動を止めることができます。さらにアフターサービスも万全です。Haas社の特製バンには同社の機械を治すためのメンテナンスキットが完備されています。この特製バンをサテライトオフィスとする全米のサービス要員の存在により、同社は業界でもトップクラスのサービス体制を持っています。

同社は「安さ」を”突き抜けた”強みとして持ち、IT技術とネットワーク性をオールドビジネスに持ち込んだ、生産財業界のグレートカンパニーであると言えます。

 

4)「明白なる天命」(manifest destiny)は企業に受け継がれている
 このようにHaas社は、「アメリカ製」であることを全面に出すことでユーザーの愛国心を煽り、かつ価格の「安さ」を武器にサービスも両立させることで日本製工作機械からの買い替えを促しています。同社には「工作機械もバイ・アメリカンであるべき」という「明白なる天命」があるのです。

 アメリカという国家を突き動かしてきた「明白なる天命」という理念は、多くのアメリカ企業に受け継がれています。今回のツアーの視察先企業で言うならば、
  グーグルの理念は「世界中の情報を検索可能にする」、
  フェイスブックの理念は「世界中の情報を透明化する」、
  ザッポスの理念は「お客様のWow!!(驚嘆)を追求する」
といったことが彼らの「明白なる天命」となっているのです。

 このように、「ストラテジー(戦略)」「ロジカルシンキング」に代表される合理性がクローズアップされやすいアメリカ企業ですが、実は「理念」が極めて重視されている国家の縮図としての企業であることが良くわかります。

 

5)グレートカンパニーが行き着いた結論は「従業員満足」
 こうしたアメリカのグレートカンパニーが行き着いた一つの結論は、「従業員満足」であり「働き甲斐のある職場」ということです。

 「従業員満足」とは単に給料が高く、福利厚生を良くするということではありません。社員が自社・自分の仕事に誇りを持ち、会社の理念に共感して仕事を通して自分自身の成長を実感できる職場こそが「働き甲斐のある職場」であり、真の「従業員満足」なのです。また近年のビジネススクールによる研究の結果、「従業員満足」度の高い会社は収益性も高いことが明らかとなり、GPTW(グレート・プレース・トゥー・ワーク)という格付け機関が誕生しました。GPTWは毎年、全米の「働き甲斐のある会社ランキング」を発表しています(GPTWは日本でも同様の活動を行なっており、その結果は日経ビジネスに毎年発表されています)。

 今回のツアーの視察企業は、このGPTWによる上位ランキング企業となっています。ぜひ今回のツアーを通して、今まであまりクローズアップされることが無かったアメリカ企業の「理念」とビジネスモデルの関係、さらに「働き甲斐のある職場」「従業員満足」と収益性の関係をポイントとして視察いただきたいと思います。そして今回の視察ツアーで発見したことを、ぜひ自社の経営に展開いただきたいと思います。

 

以上

 

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