講演は9時30分から12時15分に及び、各部門からの視点で同社の事業概要、成長戦略、働きがいのある会社への取組みについてご説明いただきました。
Pamela Evans(Director-Executive Programs)氏 | Daniel Hanson(Sales Enablement & Marketing – Manager)氏 |
Annamarie Dunn(Sr.Manager,HR Internal Communications)氏 | John Wallerich(Business Systems Analyst)氏 |
Phil Brotherton(VP & GM,Microsoft Business Unit)氏 | 右肩上がりの同社の売上高 |
<講演の概要>
■ミッション・経営理念について
・最近需要が急増しているデータセンター用のストレージ(サーバー)を製造しているメーカーである。
・不況下で毎年2割成長を遂げており、新規顧客の比率が高い。社員数も11500名となった。
・世界150カ国でストレージを提供し、この14年間で13万システムを提供した。
・日本法人は13年前に開設して現在は150名。ヤフーが新設した北九州のデータセンターは同社が手がけた。日本ではベンダー・リセラー経由の販売であり直販は行なっていない。
・フォーブス誌の全米ランキングで34位。フォーチューン誌のGPTWについては8年連続ランクイン(ベスト100社)。総勢1500社の企業が競い合う中での8年連続ラインクインは価値がある。今年は第5位となった。
■ミッション・経営理念について
・イノベーティブな文化・イノベーティブな人材・最先端の技術が同社の重視している事業領域である。
・企業文化を大事にしている。企業文化と社員の成長が大切。情熱を持って意欲的に取り組む社員が重要であると考えている。
・苦しい時でも頑張るのが文化である。だから不況下でも30%売上が伸びた。
・トップが直接部下に電話をかけてきて労をねぎらうような企業風土である。外資系には珍しい組織風土である。
・ネットアップの素晴らしいところは、人材が良いところである。人が素晴らしく、会社に行きたくなるような仲間がいる。
・OPENコミュニケーションを基本としており、社員を信頼する企業風土である。
・リーマン・ショックで険悪な雰囲気となった大企業が多いなか、同社は逆にコミュニケーションを強化して、安心して働ける職場づくりに努めた。
・重視しているモットーは以下の通りである。
1)リーダーシップ
2)人を大事にする
3)人を信用する
4)簡素化・簡略化
5)チームワーク
6)与えられたことは必ずやり遂げる
7)変化への対応
・不況こそチャンスである。そうした精神で3四半期連続にて売上記録を破った。
・会社の様々な取組みについて、できるだけ社員の参加の機会を与えたい。例えばTown Holl Meeting は経営トップに何でも質問ができる場。
・VP Forumは2週間に1回、会社の理念をリーダーが社員に伝える場である。常に全社員が会社の理念を理解できる仕組みをつくっている。
・またリーダー育成のツールとしてリーダーコミュニケーションキットがある。リーダーが先頭に立って文化を浸透させる義務がある。
・さらにFace Bookを使った情報のシェア(NetAppLive)を行なっており、部署による壁をできるだけ低くする努力を行なっている。
・様々な取組みの結果現在の離職率は3%と低く、離職率は以前の半分になった。
・ただし必要なスキルが無い人、身につかない人については本人・上長・人事が協議の上でレイオフも考え得る。またどうしても文化的に会わない人も同様である。
・人材についてはバランスが重要だと考えている。
・シリコンバレーは優秀な人が集まりやすい環境にある。特に同社は文化が良いので人が集まってくる。
・昨年は2500名を採用した。人数が増えると文化が薄くなるので、そこをどう維持するかが課題である。
・また採用の際もポイントとなるのは、仕事ができるかどうかよりも同社の企業文化になじめるかどうか。
・ユニファイドストレージが主力商品であり、全ての階層の機器において同一のOSで動くのが特徴である。
・従来、データバックアップに1週間かかっていた顧客も、同社のストレージを採用することで半日にて同じ作業をこなせるようになった。
・25MWのデータセンターを西海岸で運営している。データ要領は29PB(ペタバイト)。消費電力が課題であり、消費電力削減のパラメーターとしてPUEを重視している。
・Googleはエコにも先進的であり、チラー・UPSのいらないデータセンターを志向している。
・全従業員14,000人のうち、IT部門1,100名、そのうち正社員が400名で契約社員が700名である。
・ライバルのEMC社は世界シェア29.4%でトップ。同社は現状15.7%で追い上げているところである。
・Go in to the Cloud(クラウドの波にのれ)という時流にのって、急成長している最中である。
・技術的優位性も「働きやすい職場」をつくることで得られると考えている。
・管理職の20%が女性である。
・グーグルは平均年齢が若いので、社内のビーチバレー場など若者の視点での福利厚生が目立つが、同社の場合は平均年齢がグーグルよりも高く家族へのベネフィットを重視している。
・GPTWの調査結果・評価表を基にして、企業文化をどう促進するかというプログラムを組んでいる。
・給料だけでモチベーションを上げようとしてもダメ。企業価値を上げている社員を表彰するなど、認知してあげることが必要。
・ビジネスモデルとしては 1)良いものをつくる 2)良いパートナーと組む 3)働きがいのある職場をつくる これが全てと考えている。
・シリコンバレーのメリットとして 1)良い大学がある 2)ベンチャーキャピタリストが多い 3)起業家精神のかたまり という点が挙げられる。
社内アワードの写真 | 社外アワードの盾・表彰 |
レストラン並みの社員食堂 | 本格的なピザの石焼釜 |
社内ポスター | 同社外観 |
視察2日目:Brocade Communications Systems
Brocade Communications Systems社のMr.Ron totah(Senior Director Systems)氏、Ms.Lisa Mcgill(VP of HR)より、同社本社内セミナールームにてご講演いただきました。
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Mr.Ron totah(Senior Director Systems)氏の講演 | Ms.Lisa Mcgill(VP of HR)氏の講演 |
・データセンターでのネットワーク機器ではパイオニアであるが、OEM主体であった為に知名度は低い。
・世界トップ1000の会社が、同社のシステムを使っている。特にインターネットエクスチェンジのシステムは9割以上が同社製。
・アメリカ・ヨーロッパに加え、日本でも85%と高いシェアをとっている。シスコ社とは競合しているが、次世代の技術力では負けない自身がある。
・ルーカスフィルムにも採用された。NetApp社とはお互いに補完しあう位置づけである。
・クラウド化・バーチャル化への対応を再重視している。大切なことは以下の4つ。
1)シンプル いかにシンプルにするか
2)何があっても止まらないサービス
3)アプリケーションを理解する
4)これまでの投資を保護する
・今後の展望として、
1)高密度(サービスプロバイダーのニーズ)。
2)ストレージエリアのネットワークに注力(データセンター)。
3)エッジオブネットワーク
以上、3つを挙げることができる。
・WHY I LOVE Brocade Communications Systems というビデオを制作した(講演中に視聴)。U―TUBEにもアップされている。ビデオの中でも強調されているはチームワークの重要性。
・エンプロイー(雇用者) ではなく エンゲージメント(結婚) としての社員を重視している。後者は影響力が強く会社の雰囲気を良くする社員である。
・大企業となった今も、機敏な中小企業の体質を備えている。
・男女の差、国籍の差を埋める話し合いを重視している。米国で仕事をしている人の半分は女性である。
・社員へのサーベイが12 ~18ヶ月に1回ある。サーベイのポイントは、
1)日々の仕事はやりやすいか
2)自分の上司はサポートしてくれているか
3)企業は価値を理解し、また倫理性はあるか
・それぞれ社員がインデビジュアル デベロップメント プログラム(自己開発プログラム)を、上司と相談の上でつくる。
・マネージャーは上司としてのトレーニング・ワークショップを受ける。
・教育についてはエンジニアもその他部門も差別はしていない。
・コミュニティーへの貢献も重視している。例えば40時間まではボランティア活動に給料を出す制度もある(スタートして約1年)。
・ウェルフィット、健康維持も当然のことながら重視している。例えば会社がサイクリング部のスポンサーとなり、また社内にジムもある。社員だけでなく、社員の家族も参加できる。
・キャンパス内も省エネを行い、CO2排出削減にも取り組んでいる。
・女性はまだ母数そのものが少ない。Woman in network というメンタリングサークルもあり、女性の活用には熱心である。調査結果からも、この取組みは「自分がしたいことを上司に話せる」と好評であった。
・外部の専門家に依頼して、メールを活用した社員調査を行なっている。全世界レベルで実施している。その結果はマネージャーにフィードバックされる。
・現在同社の平均年齢は40 ~42歳である。あと何年同社で仕事をしたいのか聞くことも調査項目の中の一つ。
・アメリカでは社員に優しい会社のことをカントリークラブスタイルという。このスタイルでは厳しいシリコバレーで競争に勝てない。問題のある社員に対しては本人・上司・人事部で話し合い、必要なスキルがなければ離れてもらうことはあり得る。
同社ロビー | 同社外観 |
視察2日目:Nordstrom
靴販売からスタートしたデパート、CSとESを両立
NordstromはCS(顧客満足度)が高いことで知られる、靴販売からスタートしたデパートです。3階建てとなっており1階が紳士物、2階が女性関係、3階が子供服・レストラン街となっている。隣接してブランドショップの入るショッピングモールともつながっている。
同店の支配人は子供の出産に伴い3回産休を取得しているが、今は支配人として復帰している。同店には日本の上智大学に留学し、現在も働きながら大学に通う店員もいる。CSとともにES(従業員満足度)も重視している社風が伺える。
Nordstromの外観 | 同店内にて支配人が説明 |
視察3日目:NetApp