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片山和也の生産財マーケティングの視点【垂直統合】

また、市場縮小期に企業が考えるべきことは「垂直統合」です。
例えば先日、ある町工場の経営者と面談する機会がありました。来年
企画している「日本で生き残る工場」視察ツアーの工場見学をお願い
するためです。同社の本社は東京都大田区にあり、一見すると敷地3
0坪ほどの文字通り町工場です。事務所は自宅にあります。ところが
本社から80km離れた茨城県には10,000坪の工場があり、そ
こには120人の従業員がいます。
同社では加工から溶接、組立、塗装、シルク印刷、精密洗浄まで一貫
して内製・自動化を図っています。もちろん多品種少量生産対応です。
5社の主要取引先があり、その他の取引先が20社。業績は好調で、
さらに数億円の設備投資を行い、来年2月には敷地内に新工場が完成
予定だといいます。

加工だけで付加価値を出すのではなく、その前後の工程(塗装、シル
ク印刷・精密洗浄)まで取り込むのが「垂直統合」です。
例えば昨今、金型業者は不況に苦しんでいます。その理由はパンチン
グメーカー(プレス業者)が金型製作を内製化しているからです。
この様に市場が縮小してきたら、意識して「垂直統合」を行っていか
なければなりません。

実は船井総研も「垂直統合」を行っています。例えば10年前の船井
総研は、セミナーDMなどの印刷物を全て外部の印刷業者に発注して
いました。船井総研では年間800本以上のセミナーを行なっていま
す。1本のセミナーで3000部の印刷をするとして、その費用は約
20万円。それが800本ですから、年間1億6000万円の印刷費
用がかかることになります。
そこで船井総研では“イラストレーター”という印刷デザインソフト
を導入し、こうしたセミナーDMのデザインを全て内製化し、印刷コ
ストが1/4以下の“ネット入稿印刷会社(印刷通販)”を使うこと
にしました。新たに増えるデザイナーの人件費を勘案しても、年間数
千万円のコスト削減につながります。
それ以上に、「セミナーDMデザイン」というノウハウが社内にどん
どん蓄積されていきます。これからはこうした“見えない資産”“ノ
ウハウ”“技術”“知的資産”が益々重要な時代になります。

実際、今仕事を抱えている鉄工所の多くが「一貫対応」を売りにして
おり、特に「設計機能」を抱えているところが重宝されています。設
計機能を抱えることにより、製品図のバラシ図面作成、展開図作成、
あるいは機械加工図面から溶接構造図面への転換等を行うことができ
る訳です。こうした機能はさらに「顧客代行機能」となりますから、
さらに価値を生むことができます。

いずれにせよ現在の様な急激な市場縮小期には、以前のコラムでも述
べた「商圏を広げる」こと、あるいは今回述べた「垂直統合を行う」
ことが求められるのです。

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