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片山和也の生産財マーケティングの視点【圧縮付加法】

先日、私の関係先の社長が興味深いことを言われていました。
それは、
・昨年と同じことをしている会社は昨年対比1~2割減
・従来の顧客に新たな商品を売り込めている会社は横ばい
・さらに新規開拓ができている会社は昨年対比プラス
ということです。確かにマーケットがリーマン・ショックの前から7
割前後に下がっている現在において、従来と同じ動きをしていては売
上は下がる一方だと思います。

そうした中で、経営者の皆様に考えていただきたいのが「圧縮付加
法」という考え方です。圧縮付加法とは、船井流の業績アップノウハ
ウの一つですが、元々は小売業向けのノウハウです。
例えば業績不振の店舗があったとします。その店舗の売り場を7:3
に仕切り、その間に“ついたて”か何かで壁をつくります。それで3
割の側の商品を、7割の売り場に「圧縮」して陳列します。
今までの売り場に新たな商品を陳列するわけですから、商品の並べ方
や棚の構造などを見直さなければ圧縮陳列はできません。
しかし、そうして圧縮陳列を行い、商品を移動させた3割の側はお客
から見えない様にしてしまいます。

この様に面積を圧縮して売り場をつくると、今まで見えにくかった、
何が売れているのか、売り筋商品は何か、といったことが見えやすく
なります。そうした「伸びている商品」を見極めた上で、その商品の
バリエーションを増やし、ふさいでいた3割の側に「付加」して陳列
します。そうすると、従来の店舗面積で取扱商品を増やすことができ、
かつ売れ筋が揃う店になります。
これが「圧縮付加法」です。

BtoBの場合は、ここでいう店舗面積が例えば「営業マン」という
ことになります。従来5名の営業マンで担当していたエリアを3名で
担当する様にします。その為には顧客ランク分けを行い、訪問の優先
順位を見直す必要があります。さらに業務効率の改善も必要です。
これが「圧縮」ということになります。

そうして浮いた2名の営業マンを新たなエリアに配置し、新規開拓を
行います。これが「付加」ということになります。

つまり従来の人数で商圏エリアを広げることにより、生産性の向上を
図ることになります。

こうした話をすると多くの幹部・管理職は反対します。しかし業界の
非常識とも思える様なことを考えないと、現在の様な厳しい時代を生
き残ることは難しいのではないでしょうか。

例えばリゾートの業界で躍進する、星野リゾートという会社がありま
す。同社は業績が傾いた旅館やホテルを買収し、再建するというビジ
ネスモデルで成長してきました。みんな同社のサービスに焦点を当て
ますが、実際の同社の成功要因は多能工化による「生産性向上」にあ
ります。

すなわち、一般の旅館では調理人、女将、掃除担当、・・・といった
様に分業され、例えば調理人が掃除をする、などといったことはあり
ません。ところが星野リゾートの場合は、女将さんも掃除をしますし、
調理人も必要があれば送迎バスを運転するし、接客も行います。
この様に多能工化が図れていることで、一般の旅館が7人でオペレー
ションしているところを、4~5人でオペレーションしている訳です。

生産性が上がりますから、当然のことながら業績も上がります。

では業績不振の旅館では、なぜ同じことができないのでしょうか。そ
れは一言で言って、リーダーのリーダーシップ不足です。どの様な職
場でも、多能工化の推進や生産性アップを推進しようとすれば、現場
から大きな反発が出ます。
しかし現状維持では生き残れない以上、新しいことに取り組んでいか
なければならないはずなのです。激動期を乗り切る大きな改革には、
リーダーのリーダーシップが大前提になります。

ここで強調したいことは、「圧縮」だけでは単なるリストラと同じで
す。それでは夢も希望も持てないでしょう。大切なことは「圧縮」し
て「付加」をすること。この「付加」こそが、新たな事業戦略という
ことになるでしょう。
これから何を「付加」していくのか?あらゆる企業にとって重要なテ
ーマだと思います。

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