新嘗のこころ(青林堂:小野善一郎著)という本があります。
同書を読むと西洋思想と日本思想が根本的に違うことの理由がよくわかります。
まずユダヤ・キリスト教の聖典である旧約聖書は、「はじめに神は天と地を創造された」の書き出しで始まります。
つまりユダヤ・キリスト今日の神は、この存在世界を超越している唯一の絶対者であることがわかります。
これに対して日本の古事記は「天地はじめの時」で物語が始まります。つまりわが国の古伝承では神様が天地をつくったのではなく、天地ははじめから存在しているのです。
神道の専門家である小野善一郎氏によると、初めからあるということは終わりがないということ、だといいます。
また昨年は神武天皇2600年式年祭が執り行われたそうですが、わが国の建国の精神は国家の安泰と国民の幸福にあります。
それに対してアメリカの建国の根本的な精神は「マニフェスト・デスティニー(明白なる天命)」と呼ばれるものです。
マニフェスト・デスティニーとは、アメリカという国は神がもたらした恩寵であり、西へ西へ、どこまでも領土を広げていくことが神の恩寵にかなうことである、という思想です。
この精神にのっとりアメリカは西部を開拓し、さらにハワイを植民地化し、そして日本の浦賀にたどりついたわけです。
当然のことながら世界のグローバル化は避けられない潮流です。従って、我々が日本的に安泰でいたい、と思っていても諸外国、特に欧米は国益を追求してきます。
従って我々として、彼らの主義思想は熟知しておく必要があります。そうした意味で、私は毎年欧米への視察セミナーを企画しているわけです。
かなり話がとびますが、かつて旧ソ連にはTRIZ(トリーズ)という問題解決手法がありました。
この問題解決手法は特に研究開発に有効な手法で、例えば従来は何年かかっても解けなかった問題が、数日で解けることもあるそうです。
例えば何らかの技術課題があった際、属人的にその問題にあたると、せいぜい2~3つの方針しかでないこともあります。
ところが、このTRIZを使うと100もの方針がでてきたりするわけです。その中で網羅的に最も優先すべき方針を採用するのです。
つまりTIRZは「抜け・漏れなく高速に答えを出す思考法」であるといえます。
実際、ソ連は科学技術大国です。世界的な数学者も数多くいます。
日本がどうしてもうまくいかない高速増殖炉ですが、ロシアは既に商業運転を始めています。また、国際宇宙ステーションを世界で唯一運営している国もロシアです。
そして旧ソ連が崩壊した際、このTRIZの手法が西側諸国にも入ってきました。このTRIZはアメリカで改良が加えられ、TRIZの中でも現在はIdeation TRIZ(I―TRIZ)という手法にまとめられ、航空宇宙産業を中心に世界中で活用されています。
日本ではアイディエーション・ジャパン株式会社という会社が展開を行っています。
↓↓↓同社ホームページ
このI―TRIZの世界協会の代表者がボリス・ズローチンという人物ですが、今年の世界大会の際に「これからは日本の時代になる」と明言されたそうです。なぜそうなるのかははっきり言われなかったそうですが、あらゆる国を見てきたボリス・ズローチン氏も、良い意味で日本だけはどうしても理解できなかった、と。
我々は自身のことをよく知り、また周りのことも知っておく必要があります。自身のことを知るために、またボリス・ズローチン氏が言われていることの意味を理解するためにも、前著は良い本だと私は思いました。
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