これから製鉄会社関係の設備投資が盛んになるといいます。
先日、関係先の鋼材商社の社長からお話を伺いましたが、今は鋼材が足りず、自動車会社なども場合によっては航空便でデリバリーを行っている、とのこと。
その理由は中国が鉄鋼生産を急減速し、その影響で世界的に鉄不足になっているそうです。
実際、身の回りでも素材の値上げが目立つ様になりました。
1月17日の日本経済新聞でも、高炉各社はフル稼働状態であり、一部品目については受注を控えている、とありました。
また、先日の報道でも「中国はここ半年GDPが上がっているものの、李克強指数は大幅に下がっている」と報じられていました。
李克強指数というのは電力消費量、鉄道貨物輸送量、中長期の銀行貸し出しの3つの指標を指します。以前、李克強総理が総理に就任する前に、中国の経済指標で信頼できるのは、この3つの指標だけだと述べたことから、このような名前が付けられました。
中国は社会主義国だけあって、いちど決まると徹底が早いのです。
ほんの1年半くらい前までは「中国デフレの影響で鉄余り」と報じられていましたから、その変化のスピードに驚くのは私だけではないでしょう。
製鉄会社はプラントが老朽化しており、設備更新したい箇所がたくさんあるそうです。大手企業は利益が出ている時でないと設備投資できませんから、「ここぞとばかりに」これから仕事がでてくる、というのです。
自社の実力で業績が上がっているのか、あるいは単に市況が良いから業績が上がっているのか、注意して見極めないと大変なことになるでしょう。
自力で業績が上がっている指標としては次の2つだと私は思います。
1.営業利益率
ファクトリービジネス研究会の会員企業様の中では4~5社ほど、この2~3年で付加価値率が10ポイント以上向上している成功事例がでています。
つまり営業利益率が3%であったならば、13%に向上した、ということです。しかも従業員30名から120名の会社まで、組織の大小を問わずです。
従業員30名から120名の会社で成功した法則というのは、いわば業界の共通法則だと思います。
2.新規開拓比率
新規開拓比率とは、
a)過去1年間に新規開拓した取引先の売上に対する、全売上の比率
または
b)過去3年間に新規開拓した取引先の売上に対する、全売上の比率
のことです。
a)の場合で5%以上、b)の場合で15%以上の会社というのは、不況に対して耐性が強い会社です。
私の著書「なぜこの会社には1ヶ月で700件の引合いがあったのか?」でも述べていますが、新規開拓比率がa)の場合で5%を超えていた会社というのは、リーマン・ショックの際も業績が落ちませんでした。
例えば埼玉県の所沢市に株式会社井口一世という会社があります。
同社はわずか20名ほどの従業員で、なんと50億円以上もの売上をあげ、利益も2億円以上出されている部品加工業です。
しかもここ数年は毎年2割ずつ業績を伸ばしています。
同社の経営理念の2番目には「新規開拓に力を入れる」とあります。
同社の井口社長は先代から引き継いだ金型会社を一度倒産させた経験があり、そうした倒産に至る様々なリスクを排除した会社が現在の株式会社井口一世です。
余談ですが、50%近い営業利益率をたたき出す長高収益企業、キーエンスの創業者 滝崎武光氏も同社創業までに2回、会社を倒産させたことがある、というのは有名な話です。
キーエンスが扱うセンサーは、三菱電機やオムロンと異なり、スペックインでベースとなるビジネスではなく、FA現場向けのスポットビジネスです。言い換えれば新規開拓をし続けないと持続できないビジネスモデルをあえて選んでいます。
私がいいたいことは、
・営業利益率
・新規開拓比率
は企業を活性化させる上で、また持続させる上で非常に重要な指標だということです。
業界の景気の良い今のうちこそ、この2つの指標を高めることが必要なのではないでしょうか。
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