片山和也の生産財マーケティングの視点【最大の敵は下請け意識】
意識が結果に作用する、とよく言いますが、その人がどの様な「意
識」をもって仕事に取り組んでいるかで、その仕事の結果は大きく変
わります。部品加工業において、まず取り組まなければならないこと
は「下請け意識」の払拭です。
例えば先日、ある公的機関から依頼を受けてセミナーを開催しました。
そのセミナーは地域の中小製造業が対象であり、参加費用は無料です。
大変失礼であることを承知で書きますが、参加費用が無料のセミナー
に参加される企業には、著しいレベルの差があります。
まず極めて悲観的・ネガティブな参加者が多いということです。
例えばPULL型のビジネスモデルにより、最近の事例で月に400
件の引合を獲得し、その中から10社の継続訪問先を獲得した事例の
話をしました。
セミナー終了後の質疑応答で、いくつかの質問が出ました。ある中小
製造業の社長さんで、「ウチもホームページを持っていて、引合はく
るけども全くリピートの話にならない」「ホームページでそんなにう
まくいくはずがない」と、言われるわけです。
それで、この会社のホームページを見たところ、そのホームページは
その社長の手作りのサイトでした。部品加工業の様に「信用」「信
頼」が求められるビジネスで、仕事を出す側の立場からしても、手作
りのホームページだと不安になります。「この会社にはスポットなら
仕事が出せるけど、数ものはちょっと・・・」となることは、少し相
手の立場に立って考えればわかるはずです。
そもそも、私のセミナーの話というのは、リピート受注・量産受注・
継続的に図面が出る仕事を獲得するために、設計者・開発者向けソリ
ューションサイトを中心としたビジネスモデルをつくりましょう、と
言っているのに、いったい何を聞いていたのかと私は思いました。
要はやる前から「やっても無駄」「今までうまくいかないのに、そん
な簡単にうまくいくはずがない」と決めてかかっている訳です。こう
した思考に陥る根本を突き詰めると、それは「下請け意識」に行き着
きます。
同様に、この「下請け意識」を払拭することの必要性を力強く説かれ
ているのが、今、注目度No1の鉄工所、山本精工株式会社の代表取
締役副社長、山本昌作氏 です。
同社は鉄工所とは思えない、デザイン会社あるいは美術館の様な外
観・中身の工場を持ち、年間1600名近い工場見学者を受け入れて
いる町工場です。社員は“デジタルマイスター”として、昼間はCA
D/CAMのオペレーションやDNCスケジューリング、マシン段取
りを行い、夜はマシンがフル稼働することで仕事をこなします。
平均年齢は35歳。職人の勘・経験をデジタル化することで業績を伸
ばされている鉄工所です。今年の年初には牧野フライスの同時5軸マ
シンD500を追加導入、1億円近い設備投資を行いました。
↓↓↓今、注目度No1の鉄工所 山本精工様のレポート
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/513029.html
同社の山本副社長によると、多くの部品加工業が従来の下請け構造の
中で、じっと我慢しているだけ、といいます。これは見方を変えると
ぬるま湯につかっているのと同じで、このままではこれから数年間で
鉄工所の数は半分になると、今後を危惧されています。
また、昨年6月の機械加工業セミナーでゲスト講演いただいた由紀精
密の大坪常務も言われていましたが、自社の取り組み・成功事例につ
いて講演すると「でもそれは、由紀精密さんだから、できるのでしょ
う」と、よく言われるのだそうです。そもそも、由紀精密でできるこ
とは、どこの会社でもできるはず、と大坪常務は言われます。やはり
「下請け意識」の払拭が課題だということです。
↓↓↓由紀精密 大坪常務との対談レポート
http://www.funaisoken.co.jp/goods/512165.html
しかし、実際にはEUのドイツの例を見ていてもわかる様に、製造業
が盛んな国が最終的に勝ち残っています。米国も国を挙げて製造業に
力を入れています。
また、昔から政情が不安定で、国の通貨リラを国民自体が信用してい
ない国、イタリアでは昔から自社ブランド確立に熱心でした。理由は
自国の通貨が信用できないので、自社自らで普遍的価値のある商品を
つくらざるを得なかったため、と言われます。
大坪常務も言われる通り、本当に良い部品加工というのは、通貨と同
じかそれ以上の普遍的価値があるといいます。
良い会社と苦戦する会社を分けるのは、本当にちょっとした差です。
まずは「下請け意識」の払拭が、業界にとって最大の課題ではないで
しょうか。
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