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片山和也の生産財マーケティングの視点【パレートの法則とロングテール】

パレートの法則と言われるものがあります。
例えば多くの会社において、7割の売上が上位3割の顧客(お得意
様)によってつくられています。
こうした法則を7:3の法則ともいいますが、この法則を提唱したイ
タリア人経済学者の名にちなんで、パレートの法則と言われます。

一般にB2Bビジネス(対法人ビジネス)を行っている会社の大半が
「パレート型」の会社であると言えます。

例えば、来月3月15日(金)に開催される、先端「町工場」視察セ
ミナーの視察企業の1社である、岡田鈑金株式会社 の場合は「パレ
ート型」企業であると言えます。
同社は従業員125名の板金加工業であり、「国内で生き残れる自動
化・変種変量生産」の工場を特徴としています。切断加工から曲げ、
溶接に至る板金加工、精密洗浄、スクリーン印刷、塗装など、各プロ
セスを垂直統合により内製化を図り、茨城県の1万坪の敷地の中で、
「ミニ大田区」を実現している企業です。

↓↓↓岡田鈑金株式会社の概要

同社の場合、常時20社前後の取引先顧客があると言いますが、特に
主力としているのが5社の取引先だそうです。顧客との関係性を重視
しており、1業種1社の顧客としか取引をしないといいます。
同社は昨年末から今年にかけ、約2億円の設備投資を行い工場を拡張
しています。

また、「パレートの法則」の反対の考え方が「ロングテール」です。
「ロングテール」の概念を一般化したのは、ネット書籍販売のアマゾ
ンドットコムです。
一般の書店は、売上の大半が売れ筋の少数の書籍によってつくられて
います(すなわちパレート型です)。ところがアマゾンドットコムの
場合は売上の大半が、一般の書店では取扱いが無い様な専門書やニッ
チな書籍の集合によってつくられています。
「ロングテール」型企業の収益構造は、縦軸に顧客別売上を取り、横
軸に顧客を並べると、まさに「ロングテール(=長いしっぽ)」の様
なグラフとなります。

こうした「ロングテール」型企業の代表例が、先述のアマゾンドット
コムであり、また文具通販のアスクル、機械工具通販のMonota
ROです。
また、来月の3月8日(金)に開催される、機械加工業向け経営セミ
ナーのゲスト講師、山本精工株式会社 の場合も「ロングテール」型
企業です。

↓↓↓山本精工株式会社の概要

同社は約9億円もの売上をつくる部品加工業ですが、その仕事の8割
が1~2個の単品の加工です。しかも多面パレットやAWC(オート
ワークチェンジャー)、DNCシステムで高度に自動化されたCNC
工作機械により、24時間無人運転を実現している工場です。

この様に、「パレート型」なのか「ロングテール型」なのか、自社の
目指すべき姿・特性がどちらかなのによって、ビジネスモデルが変わ
ってきます。
それぞれのビジネスモデルのポイントを、下記に示します。

<パレート型企業におけるビジネスモデルのポイント>
①いかに顧客キーマンと関係性を築くか(顧客価値によるセグメント
と精度の高いターゲティング)
②垂直統合
③顧客代行

<ロングテール型企業におけるビジネスモデルのポイント>
①現場の徹底した多能工化
②業務プロセスのシステム化(「超」多品種少量に対応できるシステム)
③マーケットへの広い認知

例えば自社の特性が「パレート型」なのに、スポットの仕事しか集ま
らない様なビジネスモデルではNGです。あるいは「ロングテール
型」の場合、自社の売上を組み立てるに足る顧客数が集まるビジネス
モデルである必要があります。

経営において、「ビジネスモデル」は「経営戦略」の実行手段である
といえます。また経営戦略は自社の「ビジョン」を実現するためのマ
スタープランであり、「理念」はそれを行う上での前提条件です。

今まで、B2B企業の多くが、「ビジネスモデル」を一握りの社員の
ノウハウや人脈など、属人的な要素に依存してきました。
今の時代は改めて、組織的かつ再現性のある「ビジネスモデル」が求
められる時代です。
ぜひ、これから自社が取るべき「ビジネスモデル」について、考えて
いただければと思います。

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