片山和也の生産財マーケティングの視点【2013年3月の生産財業界における市況と今後の見通し】
2013年も2月が終わりましたが、少しずつ生産財業界にも動きが
出てきた様です。
例えば工作機械について言えば、森精機、オークマ、マザックといっ
た汎用機メーカーは苦戦している(特に国内)と伝えられますが、ホ
ーコス、エンシュウといった専用機メーカーは好調が伝えられます。
主に海外への自動車ライン関連です。
また今年に入って射出成型機が動いている、と言われます。これも主
に自動車関係と思われますが、射出成型機が動き始めると景気が良く
なる、と言われていますから今後の市況に期待したいところです。
片やIT関連は不調が続いています。例えばタッピングセンターのF
社で言えば、月産5000台の能力を持つ工場が完成しているにも関
わらず、現在の月次生産は800台前後とも言われています。元々ス
マートフォン向けの加工ニーズで増産された訳ですが、F社がこなし
きれない注文が、タッピングセンターB社、H社に流れていた経緯が
あって、各社ともに苦戦しているものと思われます。
このスマートフォンの生産もメインは中国ですが、中国市場について
は様々な方面から厳しい話が入ってきます。
例えば昨年のGDP成長率ですが、一応は7%成長ということになっ
ていますが、これは“大本営発表”であって、実態はもっと低い成長
率なのではないかと言われています。事実、鉄道の輸送量は昨年対比
で4%近く下がり、また消費電力も1%近く下がっているといいます。
鉄道の輸送量が下がり、また消費電力が下がる中で、7%もの経済成
長を遂げているとは考えにくいでしょう。
上海には船井総研の現地法人もありますが、中国は目に見えてシュリ
ンクしてきていると、現地を訪れた弊社コンサルタントは言っていま
す。建設途中で頓挫したビルが非常に増えており、計画途中でペンデ
ィングになったプロジェクト・投資が急激に増えているといいます。
ちなみに、中国では計画ができた時点でプロジェクトをスタートさせ、
プロジェクトを進めながらその経過をみてもらって、投資家からの資
金調達を行うそうです。日本の場合は資金が集まってからプロジェク
トスタートですから、中国のプロジェクトがいかに投機的かわかりま
す。中国も昨年の秋と比べれば多少は動いている様ですが、しばらく
は厳しい状況が続くのではないでしょうか。
世界的に見て市況が良い、あるいは良くなりつつあるのは日本・AS
EAN・米国といったところでしょう。
特に米国はシェールガス革命の影響、また住宅価格の上昇と新築売上
が増加していることもあり、市況が良くなりつつあると言います。
しかし一方で、所得の二極化も極端に進んでいる様です。ロサンゼル
ス駐在の弊社コンサルタントによれば、2009年から2011年ま
での2年間で、米国の家庭は平均収入が1.7%増えたといいます。
ところがその内訳を見ると、トップ1%の家庭の収入が11.2%増
えた一方で、下位99%の収入は0.4%減少したといいます。
日本も同様に二極化が進んでいます。かつては中間層だけを見て商品
開発・マーケティングを行えばよかったものが、近年では中間層より
も低所得者層が増えているので、低所得者層をターゲットにした商品
開発・マーケティングが求められています。
いずれにせよ言えることは、生産性余剰と低所得者層の拡大、さらに
シェールガスというローコストエネルギー革命によって、現在のデフ
レ傾向は、まだまだ続くということです。
生産財業界も2月が終わり、全般的には商談も増えてきており4月以
降は期待が持てる雰囲気にはなってきました。しかし根本的にはデフ
レは続き、売り手にとって厳しい環境が続くことは変わらないと思わ
れます。
デフレ下において売り手に求められることは、
・価格競争の回避
・顧客価値の訴求
・研究開発
の3つです。要は価格競争を回避する為のマーケティング・商品開発
が必要だということであり、根本的にはどの様な会社であっても「研
究開発」が求められる、ということです。
ぜひ自社における「研究開発」とは何か、ということを考えていただ
きたいと思います。
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