片山和也の生産財マーケティングの視点【山本精工様講演より:中小製造業はアメリカを狙え!】
2013年3月8日に船井総研大阪本社で開催された、機械加工業
「VA・VE提案」非価格競争戦略セミナーは、大変ご好評のうちに
終了いたしました。特に第1講座の山本精工様のご講演は非常に皆様
からの満足度が高く、下記にその概要をまとめたいと思います。
↓↓↓セミナーの様子はこちら
https://katayama.typepad.jp/blog/
1.木こりの寓話と中小企業の実態
ある山に木こりがいて、日々重労働の中で忙しく働いていました。あ
る人がその木こりの仕事を見ていて、気がついたことがありました。
それは木こりが使っているノコの歯が磨耗し、木を切る効率が大幅に
悪くなっていたということです。そこでその人は木こりに「ノコの刃
を研いだ方がいいですよ。切れないノコだと木を切るのも一苦労でし
ょう」と言ったところ、その木こりは怒って「そんなことはわかって
いるよ!でも忙しくてノコを研ぐ時間もないんだ!」と。
中小企業は、この木こりの様な会社が多い。
2.無駄な仕事に時間をとられていないか?
みんな忙しい、忙しい、と言うが、無駄なことに時間をとられていな
いか。例えば以前、山本精工ではドリルの刃を研ぐには6年はかかる、
といって職人がいばっていた。しかしワンタッチのドリル研磨機を使
えば、かなりの線までドリル研磨はできる。不用な仕事を時間をかけ
ている、というケースが多い。
3.自分では動けない中小製造業
戦後、大手企業が下請けの中小製造業を育ててきた、という歴史があ
る。その中で大手企業は「浮気するなよ」「ウチ以外の仕事を受ける
なよ」と、下請け企業を囲ってきた。
ところがそのうち仕事が少なくなり、「少しなら浮気していいよ」と
なった。現在は「自立してくれ!」と言われているのに、多くの下請
け企業が自ら動きがとれない。自分では動けていない会社が多い。
4.楽しくなければ仕事ではない
鉄工所、という言葉が嫌いである。かつては油まみれで仕事をしてい
たが、いつか白衣を着て仕事ができる様になろう、と言ってきた。
現在は白衣ではないが、カジュアルである。いずれにせよ、人間が人
間らしく働ける環境をつくるのが経営者の仕事である。それは知的労
働を主体とする職場であり、楽しくなければ仕事ではない。
5.マクドナルド・ディズニーランドに学ぶ
マクドナルドのオペレーションをみて感動した。どうしてもマニュア
ルが見たくて、頼み込んで見せてもらった。現在の山本精工での作業
標準化にも活用している。
また、ディズニーランドには「顧客価値」を高める(価格競争を回避
する)という視点で、学ぶべき点が多い。家族でディズニーランドは
1回しか行っていないが、自分1人で6回以上ディズニーランドに行
った。そこから学べることは多い。
6.2000人以上の募集から数人を新卒採用
採用には最も力を入れている。当社は従業員70人弱の町工場である
が、それでも2000人もの学生が応募してくれた。その中から優秀
な学生を数人、毎年採用している。採用は社内プロジェクトを組み、
社員が採用している。自分の仲間は自分で採用しろ、と。
理系・文系の違いは関係ない。それよりも「何がしたいか」が大事。
技術のことは知らなくていい。それよりも感性が大事。
知識は入社してから、体系的に理論を教える。1年半もあれば、機械
加工に必要な理論は全てわかる。
7.部品加工から開発・設計代行へ
開発部に8名が所属している。PLCやラダーなど電気設計をこなす
ことができる。仕事の幅は大きく広がっており、サポーティングイン
ダストリーを目指している。
8.中小製造業はアメリカを狙え!
この2月に、アメリカのロサンゼルスで開催されたMD&M(WES
T)に出展した。同展示会はアメリカ最大の医療機器の展示会である。
出展費用は700万円かかったが、多数の引合と4件の受注を獲得し
た。この展示会でわかったことは、納期・品質・コスト あらゆる側
面で米国企業に勝てる、ということ。下手をすると、日本の十数倍も
のコストで、米国企業は部品を調達していた。
それでアメリカ進出への決心がつき、今年の秋にはロサンゼルスに工
場をつくることを決めた。
銀行などからは「なぜそんな人件費の高いところに工場をつくるの
か?」と止められたが、逆に人件費が高いからこそ工場をつくるのだ、
と説明した。人件費が高い、ということはそれだけ高い商品が受け入
れられるということであり、これから当社は「人件費が高い」国への
進出を行う。
いかがでしょうか。特に最後の8.について、私も山本副社長と同じ
意見です。私も中小企業こそ、先進国を攻めるべきだと思います。
そうした想いもあり、詳細は下記に示しますが「アメリカ医療機器・
航空機業界視察セミナー」を、今年6月に企画しました。
同視察セミナーでは、前述のMD&M(メディカル デザイン&マニ
ュファクチャリング)のEAST(フィラデルフィア)を見学し、同
時にGEジェットエンジン部門本社など航空機産業が集積する、コネ
チカット州の航空関連製造業(大手・中小製造業)を視察する、とい
う企画です。もちろんニューヨークも視察、現在のシェールガス革命
に沸く米国の生の姿を見ていただきます。
この2月に開催されたMD&M WESTが出展1500社なのに対
し、この6月に開催されるMD&M EAST(本視察セミナーで見
学)は東海岸ということもあり、3000社を超える出展が見込まれ
る大規模展示会です。先着20名様の人気ツアーですので、ぜひ皆様、
ご参加を検討いただければと思います。
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