今、あらゆる業種において目指すべきは高収益型の経営であり、高収益型のビジネスモデルだと思います。
本レポートでも、過去数回に渡って、下請型製造業が営業利益率10%超を実現するポイントについてお伝えしてきました。
レポートのタイトルでは“営業利益率10%超”としていますが、実際には営業利益率15%、あるいは20%といった事例もあります。
「町工場は儲からない」というのは過去のイメージで、実際には収益性の高い町工場がファクトリービジネス研究会にも数多くいらっしゃいます。
しかもそれら高収益企業の大多数が、2009年のリーマン・ショックで売上が半減したことをきっかけに、自社の体質改善に取組んだ成果です。
例えば関東エリアの某プレス企業(従業員20名)の場合、大手家電メーカーのルーチンな仕事に依存しながら、細々と利益を出していました。
ところがリーマン・ショックでその仕事の大半が無くなり、やむをえず手間のかかる「開発案件」を手がける様になりました。「開発案件」とは、顧客からの「こういう形状をプレス加工で行えますか?」というニーズへの対応のことです。手間がかかる割に仕事になるかどうかは未知数な案件と言って良いでしょう。
ところがその結果、同社の技術レベルは格段に上がり独自技術と言えるレベルにまで高まりました。客数も格段に増え、不採算な仕事は値上げをする・あるいは断るといった主導権を持つことができる様になりました。
現在、この某プレス企業の営業利益率は約20%です。まさにピンチがチャンスになった、と言える事例です。
さらに興味深いことは、製造業の世界においても今や企業規模が優位に働く時代では無くなった、ということです。
今年2015年の中小企業白書によれば、小規模企業(従業員20人以下)の中で経常利益率が上位25%の企業と、大企業の中で経常利益率が上位25%の企業を比較すると、2010年以降は小規模企業の製造業の平均経常利益率が15.1%なのに対し、大企業の製造業の平均経常利益率は13.2%です。
何と小規模企業の収益性が、大企業のそれを抜いたのです。
現在は企業間格差が取りざたされる時代ではありますが、同時にハードよりもソフトの時代になりました。
やり様によっては小が大に勝つ時代になったのです。
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