片山和也の生産財マーケティングの視点【日本で生き残る工場とは?:先端「町工場」視察セミナーより】
先週の金曜日、40名以上のご参加者により、先端「町工場」視察セ
ミナーin関東が開催されました。東京駅を朝9時出発というスケジ
ュールにも関わらず、九州・四国を始め日本全国から熱心な経営者の
方が集まられました。
↓↓↓視察セミナーの様子・当日レジュメの一部はこちら
https://katayama.typepad.jp/blog/
1社目の訪問先は、従業員120名の岡田鈑金株式会社です。同社は
精密板金から洗浄・塗装・シルクスクリーン印刷までを自社で一貫し
て受注できる体制を整えています。
茨城県の1万坪の広大な敷地に工場があり、業界が不況の中で、同社
は2億円を投じて、さらに工場の拡張工事を行っていました(同社の
様子は https://katayama.typepad.jp/blog/ からご覧ください)。
人でなければできないことは人が行なう、自動化できるところは全て
自動化するというコンセプトの工場で、24時間稼動が前提の工場で
す。同じプレスラインで、ロボットが並んでいるところと、人が並ん
でいる工程が混在しているのは、興味深いところでした。
同社の営業手法は、明確に「工場見学」です。とにかく工場に見学し
てもらうことで、仕事を獲得するのです。同社はこの茨城工場を立ち
上げた当初、「工場見学100社キャンペーン」を展開し、新規の仕
事につなげた、といいます。
設備が最新なだけではなく、そこで働いている人も明るい声であいさ
つをします。工場の設備・生産システムはもちろん現場の作業者の対
応に、視察セミナーのご参加者も絶賛されていました。
また、同社の出荷ヤードをみると、1ヶ月以上もの製品の在庫を置い
ていました。これは取引先からの要望で、つくり置きしたものを、取
引先の求めるタイミングで納入する、というものです。
例えば医療関係のチャンバーの場合、新しい研究所が建設されて工事
が進むごとに、チャンバーも納入していくことになります。その間、
いわば岡田鈑金が在庫管理を代行しているわけです。「ここまでしな
いと、仕事はとれません」と、同社増田社長は我々に説明をしてくれ
ました。やはり技術だけで仕事はとれない、ということなのです。
2社目の株式会社エムテックは、旋盤加工に特化した従業員30名の
部品加工業です。同社を率いる松木専務は、当初はマシニングセンタ
を導入して、フライス加工への進出も考えたそうです。しかし先代の
意見、またドイツの製造業を視察するなどして、旋盤加工に絞って勝
負していくことを決断したそうです。
現在は自動車関係の仕事がメインで、取引先も海外移転が進んでいま
す。そうした背景もあり、同社が今、力を入れているのは医療関係の
仕事です。経済産業省のサポイン事業により、直径0.2mm 長さ
10mmのチタンによる微細・長尺加工に取り組んでいます。
またドイツ デュッセルドルフで開催される医療機器専門の展示会
Compamed2013への出展も決定、また医療関係の規格であ
るISO13485の取得も目指しています。
なお、同社は中国 上海に数年前から進出していましたが、撤退を正
式に決めたそうです。その代わり、この秋にはドイツに進出し、工場
を建設するそうです。
岡田鈑金では「海外に出て行く仕事を追っかけても仕方がない。出て
行くものは出て行く、出て行かないもので勝負する」と明確に言われ
ていました。エムテックは日本と同じ先進国であるドイツに進出する
といいます。3月8日のセミナーでご講演いただいた山本精工は、ア
メリカ ロサンゼルスに工場を建てるといいます。
こうしたモデル企業を視察すると、日本の中小企業の方向性がわかる
様な気がします。
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