最大のデフレ対策とは「研究開発」に力を入れること!
製造業に限らず、国内のあらゆる企業における目下の最大テーマは「デフレ対策」です。つまり何もせずに放っておくと、あっという間に“価格競争”に巻き込まれてしまうのが昨今のご時勢です。
企業にとって最大の「デフレ対策」は、ズバリ「研究開発」に力を入れることです。
例えば船井総研ファクトリービジネス研究会会員企業でもある、広島市に本社工場を置く株式会社橋川製作所は、従業員わずか6人という典型的な町工場でありながら、「研究開発」に力を入れ独自の存在感を世界に放っています。
橋川製作所が得意とする加工技術は「放電加工」といわれる加工法です。これは液中において電極と金属の間に放電現象を発生させ、電気的エネルギーによって金属を少しずつ削り取っていくという特殊な加工法です。この加工法は従来の刃物による加工の様に、金属に負荷をかけることがありません。もともとは微細な時計部品を加工するためにスイスで開発された技術なのです。
世界を驚かせたわずか6人の町工場の技術
しかしこの「放電加工」にも弱点があります。それは電気を通さない材料に対しての加工は行えない、ということです。ところが橋川製作所は加工液に特殊な金属粉を混ぜることで、なんと電気を通さないセラミックに対しての放電加工技術を開発することに成功しました。そして同社の橋川社長は、早速この技術で特許申請をあげました。特許が採択されるとその情報は公開情報となります。そうすると、この特許情報をかぎつけた海外の大手航空宇宙企業から、「セラミック製のノズルをつくってほしい」という仕事が舞い込みました。
航空宇宙の分野では、噴射ノズルに物凄い圧力をかけます。もはや金属では強度が足りず、セラミックを使うことになったそうですが、固いセラミックは刃物では微細な加工ができません。
そこで日本の一地方都市にある、橋川製作所に声がかかったのです。もちろん同社では難なくセラミック製のノズルを仕上げ、この航空宇宙大手企業に納入しました。
わずか6人の地方の町工場であっても、社長の情熱さえあれば研究開発型企業になれます。同社はまさに日本が世界に誇りたい製造業の1社であるといえるでしょう。
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