JIMTOF2024でわかる、現在の市況「勝ち組」「負け組」
11月10日まで、世界三大工作機械見本市の1つといわれるJIMTOFが開催されていました。
今回のJIMTOFのキーワードは「大型機」「自動化」だったと思います。
現在、生産財市況を代表する工作機械市況で、好調なのは「大型機」です。
その理由は次の3つです。
1つ目はEVシフトです。
EVシフトの結果、割高となる自動車の原価を低減するため、様々な新たな工法が生まれました。その1つがギガキャストです。ギガキャストが主流になる中で、自動車部品1つあたりの大きさが大型化しています。そこでヤマザキマザックやコマツNTC、さらにはスギノマシンなど、ギガキャストワークに対応したロングストローク仕様(大型仕様)の横形マシニングセンタを多数ラインナップしています。
2つ目は航空宇宙・防衛産業です。
日本では航空産業といえば民間旅客機のイメージが強いですが、欧米にいくと航空産業の半分はミリタリー(防衛産業)の領域に入ります。航空機部品は、とにかく大型のアルミブロックからの削り出し工程が多く、工作機械も必然的に大型機となります。この波にのって業績が好調なのが牧野フライス等でしょう。
3つ目はGX(グリーントランスフォーメーション:脱炭素)です。
例えば風力発電の場合、効率を高めれば高めるほど、全ての部品が大型化します。また脱炭素対応のガスタービンは、従来の重油や石炭を水素に転換することで、あるいは水素を混ぜることでカーボンオフセットを行い、脱炭素発電を実現します。こうしたインフラ機器は全て大型です。
一方で小型機は全般的に苦戦しています。
例えば某中堅自動旋盤メーカーは、受注が従来の半分以下に落ち込んでいるといいます。理由は、主要マーケットだった中国での商談が激減しているからです。大手メーカーであれば、中国だけのポートフォリオではなく、北米・ASEAN・欧州と、ポートフォリオを広くとることができます。中堅クラスだとリソースの限界からか、特定エリアにポートフォリオが偏りがちです。
良い時は良いのですが、厳しくなるととたんに逆回転になります。今の時代、何をするにしても「分散」がキーワードになるのだと思います。
「勝ち組」になる条件は新規開拓の推進
また、ぱっとみると、牧野フライスと変わらない様な横形マシニングセンタの品揃えが豊富な某中堅メーカーも、赤字決算が続いているといいます。
なぜなら、この某中堅メーカーは同じ横形マシニングセンタをつくるにしても、内燃機関の切削加工に対応するマシニングセンタしかつくれていないからです。
内燃機関の切削加工の仕様と、EV部品の切削加工の仕様は、実は大きく異なります。
EV部品の場合は、アルミの削り出しであることが多く、その結果、切り粉が多くたまります。
したがって、この切り粉を排出するため、テーブルを180度回転させる機構や、回転させた時に高圧クーラントで切り粉を除去する機構が必要です。
またeアクスルなど、モーターが入る部品の場合は縦長のとまり穴構造であり、従って主軸のつきだし長さが求められる構造になります。
ぱっとした見た目は同じ横形マシニングセンタにしても、中身はこれだけ違うわけです。
今から、こうしたEV向けの仕様の機械を開発しようとすると、かるく2年ほどはかかってしまうでしょう。
「新市場からの情報が取れているか、取れていないか」で、気が付くと致命的なほどに格差がついてしまうのです。新市場からの情報を取るには、新規開拓の推進が不可欠であり、新規開拓の推進とは言い換えれば「マーケティング」ということになります。
経営者は自社の営業部門には新規開拓を推進させつつ、その一方で自らは常にアンテナを高くして情報収集を行う必要があるのです。
世界で最も成長している国「インド」は、世界唯一の成長マーケット
もうひとつ、生産財マーケットの最大の成長マーケットはインドです。
例えば、私の関係先の治具メーカーがありますが、不調なはずの自動車マーケットの中でかなりの活況を呈しています。その理由は、インドのスズキ向けの生産ライン案件を受注することができたからです。
内燃機関あるいはEVを問わず、自動車関連で最も設備投資意欲が旺盛なのはインドです。
また私の関係先の熱エンジニアリング関連の設備メーカーも、某大手自動車メーカーとの付き合いから、早い段階でインドに現地法人を設立しました。この設備メーカーは、連結で100名前後ほどの規模ですが、現在の稼ぎ頭は完全にインドになっています。
インドの強みは14億人という世界一の人口にありますが、それ以上の強みは、
・平均年齢が28歳と若い
・米国のGAFAMのオフショアとして発展した経緯から、DXにもの凄く強い
という点にあります。
特に、これから世界中が求めているDXに強い、というのは大きな強みです。
実際、米国や欧米ではインド出身の経営者がGAFAMの様なテック企業を牽引しています。
例えば、
・サティア・ナデラ (Satya Nadella)氏 ・・・ マイクロソフト CEO
・スンダー・ピチャイ (Sundar Pichai) ・・・ グーグル CEO
・アジェイ・バンガ(Ajay Banga) ・・・ 世界銀行グループ 総裁
・インドラ・ヌーイ (Indra Nooyi) ・・・ ペプシコ 元CEO
・パラグ・アグラワル (Parag Agrawal) ・・・ ツイッター(現 X) 元CEO
・リーナ・ナイル (Leena Nair) ・・・ シャネル CEO
・シャントヌ・ナラヤン (Shantanu Narayen) ・・・ アドビ CEO
・アルビンド・クリシュナ(Arvind Krishna) ・・・ IBM CEO
ちなみに彼ら(彼女ら)はいずれも「インド系米国人」ではありません。
れっきとしたインド出身のインド人です。
ただ人口が多いだけでなく、ただ平均年齢が若くて成長率が高いだけでなく、これだけの最先端のグローバル企業を牽引する経営者人材を輩出する国、インドの秘密は何なのでしょうか?
世界で最も成長している国「インド」の秘密を探り、自社の経営に生かす視察セミナー
そこで今回、船井総合研究所では、来年2025年3月2日(日)~3月8日(土)の7日間にて、「驚きのサステナグロースカンパニー視察セミナー in インド」を企画いたしました。
↓↓↓インド視察の詳細は、こちらをご覧ください
https://global.funaisoken.co.jp/in_session/in_session-626-2-2-2-2
本視察セミナーは、「インドのシリコンバレー」といわれるバンガロールと、インド屈指の工業都市であるチェンナイ(旧マドラス)に訪問します。
現在確定している視察先は下記の通りです。
・トヨタ自動車(トヨタ・キルロスカ・モーター)/R&D・製造拠点
・マヒンドラ・グループ/現地自動車メーカー EV等を生産
・ZOHO本社/本社機能、開発拠点、ZOHO大学
・ITTマドラス校/天才を生みだす世界トップレベルのインドの工科大学
・インフォシス/ITオフショア会社、世界中の大手企業が開発を委託
・ウォルマート・テックセンター/米国のウォルマートのDXを、地球の裏側で支える
・ビヨンド・ネクスト・ベンチャーズ/インドのスタートアップに投資するベンチャーキャピタル
・日本からインドに進出した中小企業の現地法人(製造業になる予定)
・その他 多数
他、多数の視察先企業、また現地講演のアレンジを現在進めています。
もちろん、私、片山和也も講師として本視察セミナーに参加いたします。
↓↓↓インド視察の詳細は、こちらをご覧ください
https://global.funaisoken.co.jp/in_session/in_session-626-2-2-2-2
インドというと、昔のイメージから「お腹をこわすのでは」といったイメージがありますが、それは現地での過ごし方によります。私自身、昨年3月にインド出張で1週間ほどチェンナイに行きました。そうした現地での万全なアテンドも含め、船井総合研究所にてプロデュースさせていただきます。
なお、今回は現地での受け入れの点からも、「50名様限定」での視察セミナーとなります。
今年9月の米国視察の際も、100名様限定でありながら募集2ヶ月ほどで満席となり、その後はキャンセル待ちとなりました。今回のインド視察は50名様限定ということもあり、早期の満席が予想されますので、ぜひ、お早目にお申込みいただくことを、お奨めしたいと思います。
ぜひ皆様と、世界で最も成長している国インド、そして世界で最も経営者人材を輩出しているその環境を、この目でみて学びたいと思います。
本視察セミナーへのご参加のご検討を、何卒よろしくお願い申し上げます。
↓↓↓インド視察へのお申込みは、こちらからどうぞ!
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