年商1.5億・負債10億の会社を、年商22億・自己資本比率60%の会社にする方法
「付加価値額の教科書(池上秀一 著・イーストプレス)」という書籍があります。
本書の著者は、福岡県北九州市に本社を置く電気設備工事会社の九昭ホールディングスの代表取締役である池上秀一です。
池上社長には、前回の船井総合研究所主催「電気設備工事業経営研究会」の特別ゲスト講師としても、ご登壇いただきました。
池上社長が先代から同社を引き継いだ時、同社の売上はわずか1.5億円、しかも10億円の負債があったそうです。それを現在では年商22億円・自己資本比率60%、しかもホールディングス化を行い同業他社のM&Aにも成功し、現在は100億円企業化を目指して邁進されている、電気設備工事業のモデル企業です。
そんな池上社長が一念発起した理由は、ある経営セミナーに参加したことがきっかけだったといいます。
その経営セミナーの講師だったコンサルタントが、こんな質問を参加者に投げかけたそうです。
「この中で、売上3億円以下・自己資本比率30%以下の経営者は手を挙げてください。」
池上社長他、数名の方がおそるおそる手を挙げたそうです。
すると、このコンサルタントの人は次の様に言ったそうです。
「今、手を挙げている人はゴミのような会社の経営者です。早く会社を辞めたほうがいいです。」
その言葉にショックを受けた池上社長は一念発起し、とにかく「儲かっている」といわれた同業他社やモデル企業の社長に教えを乞うてまわったそうです。
その結果、行きついたのが
1)付加価値経営
2)新規開拓強化
だったといいます。
まず 1)付加価値経営 についていうと、自社の管理を「税務会計」だけでなく「管理会計」を付加していきました。「税務会計」の視点だと、作業者の給料が原価に入り、管理者の給料は販管費に入ります。
税務上はこの管理で良いかもしれませんが、これだと実際の管理や経営上の意思決定ができません。
そこで税理士に頼んで、全ての経費を販管費に入れてもらい、売上高から外にでていくお金(=原材料費・外注費)を除いた粗利(=限界利益)を「付加価値」として、全てを付加価値率で見直すことにしたのです。
この「付加価値管理」(粗利管理・限界利益管理)を導入してわかったことは、非常に低付加価値の仕事がたくさんある、ということです。中には付加価値率(粗利率)が10%をきっている様な仕事もあったそうで、池上社長は付加価値率の基準を30%として、付加価値率20%をきっている仕事は基本的に値上げをするか、お断りするかに方針を切り替えました。
そうすると必要になってくるのが前述の 2)新規開拓 です。
何もしなければ毎年3割の既存顧客がなくなっていく
同社の池上社長は「何もしなければ毎年3割の既存顧客が無くなっていく」といいます。
ですから経営者の仕事は「毎年3割の新しい顧客を獲得すること」と言い切ります。
多くの電気設備工事業というのは、どちらかというと下請け体質です。元請け企業から仕事を請けた工事会社や設備会社からの下請け、というケースが多いわけです。
ところが、こうした下請け体質だと仕事は確保されているものの利益率は低いままです。つまり売上を拡大しても利益がついてきません。
そこで池上社長は「元請け」との直接取引、あるいはユーザーとの直接取引を志向します。
そして前述の「付加価値率管理」で、付加価値率の低い仕事を、付加価値率の高い仕事に入れ替えていく、という経営を行っています
同社では複数の不振にあえぐ同業他社をM&Aし、この手法を取り入れて全て経営の立て直しに成功されているのです。
今、池上社長が目指すのは「100億円企業化」です。
なぜ100億円なのかというと、池上社長いわく「現在の政府の施策だと日本の中小企業の数は半分になる」「その中で生き残るためには100億円の規模が必要」だというのです。
少し話がそれますが、ほんの2日ほど前、農林中金が1兆5000億円もの赤字を計上した、とのニュースが入りました。当初は5000億円前後の赤字といわれていましたが、3倍に膨れあがりました。
この要因は海外で運用していた外国債が、金利高によって大きな運用の損失が出たことにあります。
素人にはわかりにくいメカニズムですが、金利が上がると国債の価値は下落します。そのメカニズムによって、農林中金はリーマン・ショックの時を超える大赤字になったのです。
外債を運用しているのは農林中金だけでなく、地銀や第二地銀など、多数の金融機関にのぼります。
池上社長ともこうした話をしましたが、今の時代は本当に先行きがわからない時代です。
不況対策の最大の方法は「利益率を上げること」「自己資本比率を上げること」であり、いざという時に金融機関を味方につける「未来へのビジョン」「ビジネスモデル」を持っておくことです。
様々な意味での時代の変わり目、経営者は自分の会社を守るためにも準備を急ぐ必要があります。
取組み2年半で15億円の商談創出・1億円の新規受注を実現した営業DX
話を戻すと、現在の時代の経営のポイントは
1)付加価値率の高い仕事を選別して受ける/利益率を上げる
2)その為にも継続的な新規開拓を行う/優良顧客を増やす
と、いうことになります。
このうち上記2)に多大な成果をもたらすのが、「営業DX」の手法です。
これは、あらゆる業種・業界で適用できます。
例えば長野県・駒ヶ根市に本社工場をおく株式会社ヤマウラ様は、大正9年創業の東証プライム上場企業です。同社のエンジニアリング事業部は主に社会インフラを手掛け、従来は既存顧客からのリピート受注が中心でした。
ところが悩みのタネとして、仕事の内容が主に公共工事関係であったため、公共工事が集中する繁忙期は工場の稼働が上がるものの、そうでない時期にいかに工場の稼働を確保するのかが課題でした。
そこで同社では“コロナ禍”というタイミングもあり、「営業DX」に取り組むことにしました。
最初、同社でも「ウチの業界で本当にデジタルマーケティングで仕事が取れるのか?」と半信半疑だったといいます。それでも同社は持ち前のチャレンジ精神で「営業DX」にチャレンジ。
まずはソリューションサイト「大型製缶加工・装置受託センター.COM」を立上げ、さらに「インフラ技術ナビ」を立上げ、その後、マーケティング・オートメーションとしてZohoを導入しました。
その結果、同社ではその後取組み2.5年で、15億円もの新規商談創出に成功。
さらに1億円の新規受注という成果に結びつけておられます。
そして今回、こうした営業DXに取り組んだ 株式会社ヤマウラ様 を特別ゲスト講師として、
下記要領で「製造業DX経営セミナー」を来る8月9日(金曜日)・船井総研東京本社にて開催します。
「製造業DX経営セミナー」の詳細はこちらから!!
↓↓↓
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116631
※ヤマウラ様の講座は、会場でのインタビュー動画による視聴となります。
インターネットの普及、特に2010年のiPhone発売でネット接続が当たり前となり、消費者の購買行動だけでなく、法人の購買行動も大きく変わりました。
さらに2020年からのコロナ禍を経て、同社が手掛ける社会インフラ分野においても、デジタルに購買行動を行う、といったことが普通になってきています。
その結果同社では、15億円もの新規商談の創出に成功し、1億円もの新規受注に成功しているのです。
本来的に、DXとはデジタル・トランスフォーメーション(デジタルに変容する)という意味であり、既存の仕事をただデジタル化するだけでなく、ビジネスそのものを「変容」させることが目的です。
そうした意味合いにおいて、営業DXはまさに「変容」です。
なぜなら、今まで想定もしていなかった顧客層から新規に引合いを獲得することが可能になり、これは従来の人的営業では不可能なことです。
そして、製造業のDXというと、どうしても現場に目が行きがちです。
確かに原価把握や日々の改善活動など、生産現場のDXも大事です。でも実は、生産現場のDXは、実は既存のビジネスをデジタル化しただけであって、それはIT化やデジタライゼーションかもしれませんが、トランスフォーメーション(=変容)ではないケースが多いのです。
もっというと、今や国内に残っている製造業というのは多品種少量生産の工場がメインのはずで、かつ改善活動もやりつくしており、実は生産現場の改善が収益にあたえるインパクトはそれほどないのです。
それよりも冒頭に述べた「付加価値経営」を実践するための「新規優良顧客」の開発が重要で、そこにインパクトを与えるのが「営業DX」なのです。
私は、ぜひ、1名でも多くの製造業関係者の方に、今回の「製造業DX経営セミナー」にご参加いただきたいと思っています。
ぜひ下記URLから詳細をご確認いただき、本セミナーへのお申し込みをご検討いただければと思います。
「製造業DX経営セミナー」の詳細はこちらから!!
↓↓↓
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116631
※ヤマウラ様の講座は、会場でのインタビュー動画による視聴となります。
<製造業DX経営セミナーの日時>
2024年8月9日(金曜日) 14時30分~17時30分
<会場>
船井総研グループ 東京本社 サステナグローススクエア TOKYO(八重洲)
(〒104-0028 東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー35階)
<講座内容>
第1講座
製造業DXの最新潮流
・250社以上の製造業DXを手掛けてきた船井総合研究所からの最新提言
株式会社 船井総合研究所 片山和也
第2講座
当社のエンジニアリング事業における営業DX(ハイブリッド営業)の取り組み
株式会社 ヤマウラ 代表取締役社長 山浦 正貴 氏
株式会社 ヤマウラ 執行役員 エンジニアリング事業部 副事業部長 橋場 清人 氏
株式会社 ヤマウラ マネージャー 片桐 竜二 氏
第3講座
製造業DX「最新」成功事例
・営業から生産管理まで、ローコード・ノーコードを活用した最新の成功事例をお伝えします
株式会社 船井総合研究所 橋本 吉弘
株式会社 船井総合研究所 奥内 拓海
第4講座
本日のまとめ
・全ての製造業が注目すべき、低リスク・低投資で最大限の成果を得られるローコード・ノーコード製造業DX
株式会社 船井総合研究所 片山 和也
「製造業DX経営セミナー」のお申込み・詳細はこちらから!!
↓↓↓
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/116631
※ヤマウラ様の講座は、会場でのインタビュー動画による視聴となります。
~読者の皆様に御礼~
かねてから皆様にご案内しておりました、2024年9月開催の米国視察セミナー(驚きのサステナグロースカンパニー視察セミナー2024・シリコンバレー)は、おかげさまで100名を超えるお申し込みをいただき、ほぼ満席となりました。
お申込み、またご検討いただいた皆様に心から御礼申し上げます。
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