日経平均株価が最高値を更新できた理由と、足元の景況感との乖離
私たち、船井総合研究所 製造業商社支援部では、20年近くにわたり、ものづくり経営研究会
・部品加工業経営部会
・生産財商社経営部会
を運営し、さらに
・セットメーカー経営部会
・生産財メーカー経営部会
を運営することで、全国に200社以上の会員企業様のネットワークがあります。
そして今年からは、これら製造業および商社の経営勉強会に加えて、
・電気・設備工事業経営研究会
が加わり、部品加工業だけでなく、工事業の経営の勉強会もあわせ、全国に300社近くの会員企業様のネットワークができることになりました。
特に部品加工業の中でも、「大物板金加工」あるいは「製缶加工」のお隣の領域は“工事業”です。
また生産財商社にとっても工事は重要な商材(サービス)となっていますし、セットメーカーや装置業にとっても電気・設備工事は必要不可欠です。
成功する新規事業の鉄則は“お隣の業界”という原理原則でいえば、相互に取引先が増える、新規ビジネスのチャンスが増える、という意味で非常にシナジー効果が出ると考えています。
さて、世の中はここにきて日経平均株価が3万9000円を突破、バブル期の最高値を更新したということで経済誌などは、ずいぶん沸いています。
しかし、実際の景気はどうかというと、今ひとつというのが実感なのではないでしょうか。
例えば鋼材商など、材料屋さんの話をきいても景気は今ひとつです。中小企業が主体とはいえ、あらゆる製造業に材料を売っている鋼材商の景気が今ひとつ、というのは多くの会社の景気が今ひとつ、ということです。
また投機目的のマンションなどは値上がりが続いている様ですが、いわゆる住宅展示場など実需に関する大きな買い物は全般的に低調と伝えられています。
では、こうした乖離がなぜ起きているのでしょうか?
一つは為替です。つまり円安です。円安になった結果、トヨタ自動車などもそうですが、日本のグローバルな製造業は歴史的にみても例がないほど競争力が向上しています。
これはトヨタ自動車といった消費財メーカーだけでなく、東京エレクトロンやディスコといった製造装置をつくる生産財メーカーにもいえることです。
特に、今、いわゆる世界的な「戦争経済」ということで、根本的にグローバルな大手製造業は徐々に潤い始めています。
例えば先般、当社のDX部門のお客様である某大手制御機器メーカーが、Zoho関連のシステム投資を億単位の費用をかけて実施することを決めました。数日後、この某大手制御機器メーカーが経済誌に大きくとりあげられており、何でも防衛関係の仕事量が2倍以上の百数十億円にまでふくれあがり、新工場を建設して人員も大幅に増やす、とのことでした。レーダーに関連する防衛関係だそうで、先述のシステム投資もそうした余力の中で実施されたものだと、あらためて知ることができました。
また内需においても、シェアの高い大手企業ほど優位という構造がより強くなっています。
例えばユニクロ。各世帯あたりの衣料への支出額が減少するなか、同社の売上はこの10年間で約9000億円から約2.4兆円と3倍近くにも伸びています。
同じ現象が家具業界でも起きており、各世帯あたりの家具への支出額は減少する中、同社の売上もこの10年間で約3500億円から約9500億円と、2倍以上に伸びています。
食品業界も同様です。例えば私の顧問先のエンジニアリング会社は、某大手食品メーカーから数億円規模のロボットの受注をしています。
この某大手食品メーカーの最近のヒット商品は「納豆」です。
「納豆」というのは日持ちがしない上に単価が安いので、どちらかというと地場の小さな食品メーカーが手掛けるケースが多かったわけです。そこを、この某大手食品メーカーは資金力と設備力により、こうした地場の小さなメーカーをターゲットとする様な安価な商品をどんどん送り出し、シェアを取っていっています。
また最近同社が注力しているのは、鍋のタレです。
現在も根本的に世帯あたり所得は減少傾向にありますから、どこの世帯もお金のかかる外食よりも、家で鍋でも食べよう、ということになりがちです。同社では豊富な研究開発体制を活用して“冷めても美味しいタレ”“鍋を始めた時から食べ終えるときまで一貫して味が変わらないタレ”を科学的に開発しています。
そうした商品を前述のロボットを活用して安価に出荷、中小食品メーカーの追随を許さないポジションになっています。
整理すると、海外の投資家からの資金が流入してきている、という側面はともかくとして、
業績が良くて日経平均株価を押し上げている様な会社というのは、
1)円安を武器にできているグローバル企業
あるいは
2)デフレ型経済を武器にシェアを上げてきた勝ち組大手企業
の、大きく2種類ということができるでしょう。
工事業が「工場マーケット」を狙って、中堅・大手メーカーと新規取引を成功させるポイント
従って冒頭に述べた「電気・設備工事業」の場合も、下記に示す従来の3つの主要市場のうち、
1)公共工事マーケット
2)建設マーケット(商業施設 他)
3)工場マーケット
上記3)の「工場マーケット」を、あらためて攻めることを考えるべきだと思います。
考えてみれば、経営リソースの限られた中小企業が、無理をしてまで海外進出を行う必要はありません。
既に海外でグローバルに儲けている大手企業の国内工場を、攻めれば良いのです。
この様に書くと、多くの工事業の方が、
「いや、大手メーカーには既に構内外注が入っていて、新規参入は無理」
「特に工事は過去の実績や信用がモノをいうので、新規業者は相手にされない」
と、いわれるかもしれませんが、最近では状況が大きく変わってきています。
実際、私の関係先の某社は、完全なる新規開拓で某大手ビールメーカーの新規口座を獲得しました。
最近は、「構内外注」がいたとしても、必ずしも構内外注を抱える大手メーカーと、その「構内外注」の工事会社との関係性が良いとは限らないのです。
例えば前述のビール会社の場合も、昔は大規模な構内工事が数多く有り、構内外注の工事会社とそのビール会社との関係性も良好だったといいます。
ところが近年では、そのビール会社でも大規模な工事が減り、逆に手間のかかる移設工事や営繕工事が増えてきました。そうすると従来の構内外注だった工事会社もサービスが悪くなり、サービスが悪くなるだけではなく、明らかに高い見積りを出してきていることがわかったので、ある種、見せしめの意味も含めて新規の工事会社をいれた、というのです。
同様のことが東海エリアの中堅化学メーカーでもありました。
この中堅化学メーカーも、私の某関係先が、最近新規開拓で取引をスタートさせました。
きくと、構内外注とまではいかないまでも、昔からの出入りの工事業者はいたのだそうです。昔から出入りしていることもあり、工場内を熟知していて養生なども指示をださなくても適切にやってくれる、ということもあって、あえてその工事会社を使い続けてきたそうです。
ところが最近になって、明らかに高い見積りを出しはじめてきているので、やはり牽制の意味も込めて新しい工事会社との取引をスタートすることにしたのだそうです。
では、どうやってこの2社が、工事の新規開拓で中堅・大手メーカーに入り込めたかというと、「営繕工事」の「ソリューションサイト」にあります。
工場の場合は大規模な定修やメンテナンスなど、大規模工事以外にも無数の「営繕工事」とよばれる小工事を多数実施しています。
例えば「塗床」「配管工事補修」「土間工事」「門扉工事」にはじまり、駐車場の「枠線塗装」や「屋外階段のすべり止め」さらには「鳩対策工事」まで文字通り無数にあるのです。
では、今、お抱えの工事会社が、こうした無数にある営繕工事あるいは小工事まで万全の体制で対応ができているかというと、必ずしもそうではありません。
もっというと、複数社から相見積りを取ることが前提になっている会社も多いので、そうするとこうした会社の担当者は、まずはインターネット検索で業者を探すわけです。
例えば「静岡県 塗床」とか「浜松 移設工事」といったキーワードを検索エンジンに入れて探すわけです。
こうしたキーワードに対して、上位表示されるソリューションサイトといわれる立上げ、こうした問合せに対応する仕組みをつくっておくというのが手法です。
多くの会社がホームページを持っていますが、こうしたホームページの多くが「会社案内サイト」です。
ポイントは「会社案内サイト」とは別に、会社案内サイトとリンクを貼った状態で「ソリューションサイト」を立ち上げることです。
ソリューションサイトは、会社案内サイトと比較すると20~30倍もの集客効果があります。
こうした工事会社向けの新規開拓ノウハウ、特に中堅・大手の工場を攻略するノウハウについて、今後の電気・設備工事業経営研究会で、お伝えしていきたいと思います。
また、電気・設備工事業経営研究会では「無料お試しご参加」も随時受け付けています。
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