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2023年6月の時流とその対策(2)

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危機的状況の自動車業界

今、自動車業界が危機的状況だといいます。
具体的に、完成車メーカーから新車開発のオーダーがでてこないため、特にプレス金型や射出成型金型等は、リーマン・ショックの時よりも市況が悪いといいます。
ある金型製造業の経営者が言っていましたが、「前年対比でも2~3割落ち込んでいる」「円安の影響で好調な製造業が多い中、金融機関に『受注が厳しいので融資してほしい』と頼むと、製造業は好調なところが多いはずなのに御社の経営がマズいのではないですか?という話になってしまって困る」とこぼしていましたが、確かに現在の自動車業界の状況は、外部の人からするとわかりにくい状況だと思います。

まず本質的に、日本の自動車メーカーにとって、EVは現在のところ「つくればつくるほど赤字」という状況です。一言でいえば手を打つのが遅かったため、サプライチェーンも生産ラインもEVをつくることに適した形になっていない、というのが現状の姿です。
その結果、ある大手完成車メーカーのティア1ですら、「親会社に頼っていては潰れてしまう」と、系列以外の完成車メーカーに営業をかけているといいます。

日本車5社EV「出遅れ」、国内市場が未成熟

こうした中、今、日本メーカーの中でも好調な市場といわれているのがインドです。
インドはEVシフトされておらず、内燃機関がメインであるため、スズキをはじめインドに進出している日系メーカーも工場を増設しています。その結果、インドで最大のシェアを握るスズキ向けに専用機を提供している工作機械メーカー等は業績が好調です。

しかし実はインドでもEVシフトが進行中です。

例えば現状のインドでの自動車のシェアは、マルチ・スズキが41%と圧倒的。次に現代自動車の15%で、三番手が地場メーカーであるタタの14%になります。
ところがEVに限れば、タタ自動車がシェア85%と圧倒的であり、マルチ・スズキは今のところEVそのものをラインナップしていません。

さらに大気汚染に苦慮するインド政府は、2030年までに自動車販売の30%をEV化する方針を掲げ、購入補助金などの振興策を打ち出しており、2030年のEV販売台数は150万台と予測されています。
インドでも急速にEVシフトが進むとみている現代自動車は、今後10年間で3400億円もの電動化投資をインドで行うとしています。またテスラもインドに現地法人を設立し、市場参入を計画しています。

ちなみに、現在はインドでトップシェアを誇るスズキも、前述のICCTの調査によると「最下位」という結果になっています。なぜならスズキは2022年時点でEVを発売すらできていないからです。

そう考えると日本の自動車産業も、実は「危機的状況」であることがよくわかるのです。

今、世界中で進むリープフロッグ現象

私は、こうした世界中でのEVシフトが“何となく”進んでいる様には思えません。

「リープフロッグ現象」という言葉があります。これは直訳すると“カエル跳び現象”という意味ですが、これは技術やインフラが未整備の後進国が、技術やインフラが未整備であるが故に新しい技術・インフラが広がりやすい現象を指します。
つまり内燃機関の技術(ハイブリッド車を含む)では圧倒的世界一の日本メーカーを、今さら米国メーカーも中国メーカーも、インドのメーカーも抜くことはできません。

ところが「EVシフト」という“ゲームチェンジ”を仕掛ければ状況は一変します。
逆に既存の技術やインフラ、もっというと人材(=エンジニア)を抱える日本のメーカーが一気に不利になって、米国や中国あるいは欧州のメーカーは形勢逆転です。

業界の専門家の中にはいまだに「インフラが未整備な新興国ではEVは普及しない」と言っている人もいますが、「リープフロッグ現象」の観点からいくと、だからこそ逆に普及するわけです。現在の中国が、まさにそうした状況です。

もっというと、雇用を創出する安全保障という文脈の中でEVシフトが進んでいるとみるべきです。

そう考えると中小製造業の経営者は、早急に手をうつ必要があります。

世界中のEVシフトで急成長する、日本の蓄電池マーケット

こうした背景を受け、急成長しているのが蓄電池(バッテリー)市場です。

例えばパナソニックは、今期(2024年3月期)が過去最高の利益になると発表しました。その理由は米国のテスラ向け蓄電池工場、ギガ・ファクトリーの収益貢献です。

実際、経済産業省の見通しによると、現在約5兆円ほどの蓄電池市場が、2030年には約10倍の40兆円のマーケットに。さらに2050年には100兆円ものマーケットになるとしています。
100兆円といえば、半導体の市場規模とだいたい同じレベルのマーケットになります。

蓄電池の製造装置には、多種多様な部品が使われますが、特に大型製缶部品が多用されます。私の関係先の部品加工業(製缶板金加工業)も、従来はEVがらみの仕事はほぼ0でしたが、ここ1年間ほどデジタルマーケティング(営業DX)を導入して新規開拓を進めたところ、ここ数ヶ月で数千万円の新規受注が決まりました。
大半がEV関連の蓄電池製造装置がらみです。

また、その私の関係先の部品加工業(製缶板金加工業)では、新規開拓イベントとして「工場見学会」を実施しますが、約1000通のDM発送に対して、100名・25社を超える参加者が集まりました。

実は好調な半導体・電子部品マーケット

活況なのは蓄電池関連だけではありません。
私の別の関係先では、某電子部品メーカー向けの部品加工が昨年対比で約2倍ほどになっています。

EVになると、従来のガソリン車と比べて半導体の搭載量が2~3倍になるといわれています。
こうした需要を受け、半導体まわりの電子部品も引き合いが急増しており、その製造の為の社内設備内製のための部品加工ニーズが急増しています。

今、一般論として「半導体市場は景気が悪い」と言われています。
しかし、今や半導体市場は次の3つでセグメントをするべきです。

1)スマホ・PC向け半導体
2)車載向け半導体
3)産業機械向け等のカスタム用途の半導体

上記1)についていえば、景気は最悪といえます。この第1四半期であのインテルも赤字。TSMCも前年対比で2割を超える減収になっています。
しかし2)に代表されるパワー半導体関連や、3)の用途の半導体は、いまだに需給がひっ迫しています。

これから伸びる5大マーケットを攻略するポイント

前述の通り、EV関連市場や半導体・電子部品分野を含めて、これから確実に伸びるマーケットといわれているのは、次の6つのマーケットです。

 1. EV関連市場

 2.半導体・電子部品市場

 3.三品産業(食品・医薬品・化粧品)

 4.FA・省人化関連市場

 5.インフラ関連市場

 6.住宅・建設関連市場

上記の1.と2.については先ほど述べた通りです。

3.についていえば、リーマン・ショックの時もほとんど市場が落ち込まなかった、いわゆる「不景気に強い市場」です。その中でも食品分野の「中食関連」は、世帯収入が減少する中、逆に市場としては伸びる構造にあります。
また4.については世界的な人手不足の中で需要が旺盛。
さらに5.についていえばエネルギー転換の中で、水素発電など新たな需要が生まれています。
そして6.はとにかく市場そのものが大きいこと。また少子高齢化の影響により「大人数家族からカップル向け、あるいは個人向け」というニーズの変化が起きています。例えば本格キッチンからミニキッチン、二階建てよりも平屋、あるいはローコスト住宅、といった需要の変化です。
市場そのものが伸びないにしても、その中で需要の変化が発生しているために常に新たなニーズが発生しているのです。

そして今回、こうした新しい成長分野、あるいは非自動車マーケットからの新規受注をいかに増やしていくのか、というテーマで下記の通りオンラインセミナーを開催いたします。

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本セミナーの詳細につきましては、下記をご参照いただきたいと思います。

既存の取引先だけに依存していても、危機的状況から抜け出すことはできません。
自ら危機に対して手が打てる、今の時代をサバイバルできる会社を目指さなければならないのです。

そうした観点で、ぜひ下記セミナーへのご参加を検討いただければと思います。

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