続くIT大手のリストラ、いよいよ本格化する大不況の兆候?
昔から、景気が悪くなると真っ先に削減できる項目の頭文字を取って「3K」といっています。
具体的には、
・広告費
・教育費
・交際費
この3つの頭文字のイニシャルを取って「3K」なわけですが、先日、メタ(旧社名フェイスブック)が1万人を超える社員の解雇を発表しました。その要因は、企業からの広告出稿の減少に伴う措置だとしています。
同様にイーロン・マスク氏が買収したツイッターも、社員の半分を解雇。また先日は米国の仮想通貨大手であるFTX社が、数兆円ともいわれる負債を抱えて倒産しました。
かつて2000年に“ITバブル崩壊”が起き、かねてからの“アジア通貨危機”と相まって生産財業界も大不況となり、その後2003年くらいまで大きな需要減が尾を引いたことを思い出させます。
生産財業界における過去の大不況のパターンと、来年2023年への示唆
この2000年当時、つまり今から22年前ということになりますが、当時、私はユアサ商事の直需部門で、工作機械を始めとするFA設備全般のビジネスに携わっていました。この2000年のITバブル崩壊が始まるほんの数年前までは、「ボールネジが手に入らない」ということで、普通のマシニングセンタ等も納期9ヶ月といった現象が起きていました。
LMガイドやボールネジは工作機械だけでなく、半導体製造装置にも使用されます。工作機械よりもエンドユーザーが大手企業主体であり、早い段階でフォーキャスト(=生産予測)が出る半導体業界に、LMガイドやボールネジを持っていかれ、当時としては前例が無いレベルで「部品不足」に陥っていたのです。これも、現在と同じです。
ところが2000年に入るとそれまでの需要がピタっと止まり、一転して設備が売れなくなります。
この時期に、当時の日立精機をはじめとして、多くの工作機械メーカーが経営危機に陥り、倒産あるいは買収されるなど、業界再編が進みました。
この時の不況は2003年7月に、日経平均株価が7000円台半ばをつけるまで続きました。
そして今、その当時と似た様な経済情勢になってきています。
同様に、この2000年当時と現在が似てきているのは、グローバルな対立構造が大きくシフトしている、という点です。
歴史は繰り返す、「グローバル経済」時代の終わりにどう対処する?
例えば2000年の手前までは、ベルリンの壁が崩壊してソ連も解体し、それまでの東西冷戦が終結した結果、世界平和が訪れたかの様にみえました。
ところが2001年9月11日に世界同時多発テロが発生し、旧来の「東西冷戦」という枠組みから、「対テロ戦」という枠組みに変わりました。そしてその後、2003年にイラク戦争がスタートし、世界レベルで「テロとの戦い」が繰り広げられたわけです。
半面、先ほど述べた通り「東西冷戦」が終結した結果、従来いわれていた“西側”“東側”という垣根がなくなりました。その結果、従来は東側であった中国に、西側の欧米諸国、さらには日本の製造業が進出して工場を移転し、文字通り中国は“世界の工場”になりました。
同時に“グローバル化”が企業の掛け声となり、中小企業に至るまで海外進出ブームが起きました。誰しもが、この“グローバル化”が永遠に続くかと思いました。
ところが2020年からコロナ禍となり、今まで主流だった“グローバル化”は物理的にストップせざるを得ない状態となり、さらに今年2022年2月のウクライナ進攻で、安全保障の面でも従来のグローバル化はストップしました。ロシアのウクライナ進攻で、中国の台湾進攻リスクが顕在化したことと、さらにそれが米国の中国への経済制裁に結び付いていっているからです。
この様に、
~1990年 東西冷戦:グローバル経済よりも安全保障優先の時代
↓
2000年~2020年:グローバル経済の時代
↓
2022年~ ウクライナ・台湾問題:グローバル経済よりも安全保障優先の時代
と、まさに30年前の時代に逆戻りしてしまった、という見方もできます。
「歴史は繰り返す」と、いうことなのでしょうか。
プロが教える「危機管理」の鉄則とは?
さて、私は先ほど、「あらゆる企業にとって危機管理が経営の至上命題」とお伝えしましたが、いわゆる「危機管理」の専門家によると、危機管理は次の2つの要素、
・リスク
と
・クライシス
に分けてマネジメントする、ところから始まるといいます。
まず、リスクマネジメントとは、危機が発生する前に、それを回避するあるいは被害を最小限に抑えるために様々な対策を講じることを指します。
これに対してクライシスマネジメントとは、組織が危機的な事態に直面した時、どの様な対応を行うのかを管理することを指します。
例えば昨今、BCP(=事業継続計画)の観点から、調達先を複数に分散させる大手企業が増えています。例えば空調機器メーカーのダイキン工業などは、中国だけに依存しないサプライチェーンを構築したとのことですが、これもリスクマネジメントです。
中小企業でいえば、代表的なリスクマネジメントは「特定顧客・特定業界に依存しない」ということです。あるいは会社のコアとなる技術、またはノウハウを特定個人に依存しない、といったことも代表的なリスクマネジメントであると思います。
クライシスマネジメントの代表例は、「シナリオ・プランニング」といわれる経営手法です。
シナリオ・プランニングでは複数の予測される未来に対して複数のシナリオをあらかじめつくっておき、実際に危機(=クライシス)が起きたらそれに基づいて行動する、というものです。
この「シナリオ・プランニング」の成功事例として有名なのは、英・蘭に本社を置く資源会社、ロイヤル・ダッチ・シェル社のケースです。浮き沈みが大きい資源業界において、同社では昔からシナリオ・プランニングを重視してきたそうです。
以前に同社が所有する北海油田の油井が流される、という大事故が起きたことがあるそうですが、同社ではこの事故の際、シナリオ通りに行動することで被害を最小限に抑えることができ、経営の根幹を揺るがす事態にまでは至りませんでした。
これに対して、同じ資源大手のBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)社は、メキシコ湾で油井の爆発事故が起きた際、CEOがゴルフを続けていたこと、また周辺海域への環境対応や漁民への補償が後手に回ったため、莫大な損害賠償を背負うことになり、経営の根幹を揺るがしたことと、よく対比されています。
私たちも、来年2023年に向けて、さらに不透明さが増す今、この「危機管理」について知見を得て、深く考えていく必要があるのではないでしょうか。
特別企画!元防衛省情報分析官による時流対策講座(無料お試しご参加あり)のお知らせ
そこで、私たち 船井総合研究所 ものづくり経営研究会では、この「危機管理」さらには「未来予測」のプロをお招きして、中小企業経営者を対象とした特別講演の場を企画いたしました。
日本国内における数少ないインテリジェンスのプロ、元防衛省情報分析官をつとめ、「中国の軍事力2020年の将来予測」「未来予測入門」など、数多くの著書もある 上田 篤盛(うえだ あつもり)先生を特別講師にお迎えし、下記の通り ものづくり経営研究会 12月度 定例会総会 を開催いたします。
なお、下記 ものづくり経営研究会 12月度 定例会総会 につきましては、1社1回限りにつきまして、無料でのご参加(無料お試しご参加)が可能です。
<無料お試しご参加可能:ものづくり経営研究会 12月度 定例会総会 の概要>
日時:12月23日 金曜日 12時30分~16時30分
場所:船井総合研究所 東京・丸の内本社
メインテーマ:
プロが教える、現在の時流と未来予測の技術
~元防衛省情報分析官からみた、経営者が押さえておくべき2023年の時流と対策~
特別講師:元防衛省情報分析官 上田篤盛(うえだ・あつもり)氏
<講師プロフィール>
防衛大学校卒業後、1984年に陸上自衛隊入隊。92年から95年にかけては在バングラディシュ
日本国大使館において警備官として勤務、危機管理・邦人安全対策などを担う。帰国後、調査学校教官を
経て、防衛省情報分析官として勤務。
現在は軍事アナリストとして情報分析サイト「インテリジェンスンスの匠」を運営している。
著書に『未来予測入門』(講談社)『中国軍事用語事典(共著)』(蒼蒼社)、『中国の軍事力 2020年の将来
予測(共著)』(蒼蒼社)、『戦略的インテリジェンス入門─分析手法の手引き』『中国が仕掛けるインテリ
ジェンス戦争─国家戦略に基づく分析』他 多数
開催形態:今回の定例会(講演会)は、船井総合研究所 東京・丸の内本社での
リアル開催となります(オンライン開催ではございません)。
↓↓↓ 本定例会(上記特別講座含む)の 無料お試しご参加 のお申込みはこちら
https://seizougyou-koujoukeiei.funaisoken.co.jp/event/subcommittee/10548/#schedule
↓↓↓ 本件へのお問合せは、下記メールアドレスまでどうぞ
kazuya_katayama@funaisoken.co.jp
繰り返しにはなりますが、今回の特別講座は、弊社 東京・丸の内本社でのリアル開催となります。
従いまして、元防衛省情報分析官 上田篤盛(うえだ・あつもり)先生のお話を生で聞いていただき、また、質疑応答等で直接、お話いただける機会もございます。
何より、今回の ものづくり経営研究会 12月度 定例会総会 では、全国から100社前後もの 部品加工業、セットメーカー、生産財商社 の経営者の皆様がお集まりになられ、全国の同業の経営者の方と人脈形成をいただくことはもちろん、業績アップモデル事例を、その場でお聴きいただくチャンスでもございます。
本特別講座を含む、定例会総会への無料お試しご参加は、下記からお気軽にお申込みください。
また、本件についてのあらゆるお問合せ、ご質問も、下記メールアドレスからお気軽にお願いいたします。
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