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【EV、半導体、医療】中小製造業が今後の成長産業から、新規顧客を獲得する方法!

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これからどうなる?「対 中国」と「EVシフト対策」

今、生産財業界の大きな論点は「対 中国」そして「EVシフト対策」だと思います。

あまり大きく報道されていませんが、先月7日に米国バイデン政権が打ち出した、半導体先端技術の中国への輸出規制強化は、事実上の中国に対しての“宣戦布告”に等しい施策だとの声もあります。
10月20日付の英国フィナンシャル・タイムズ紙によると、この規制は従来の輸出規制とは次元の異なる、中国への全面的な経済戦争だと指摘すると同時に、前述の通り事実上の宣戦布告に等しいと指摘しています。

この新たな半導体輸出規制強化は、米国製の半導体の輸出規制にとどまりません。米国製の製造装置や米国の技術を使った高性能の半導体全てが対象となる、という異例の厳しい規制です。

繰り返しになりますが、例えば韓国で製造された半導体だったとしても、それが米国製の製造装置で製造された半導体であれば、輸出規制の対象になるわけです。仮に米国製の製造装置でなかったとしても、日本製の製造装置で製造された半導体だったとしても、そこに米国で開発された技術が使われていれば輸出規制の対象となるわけです。いかにこの輸出規制が中国にとって厳しい内容なのかがよくわかります。

さらに米国籍を有する個人も、中国での半導体製造に関わることを禁止。中国で半導体技術に関わる米国人技術者も続々と帰国を始めているそうですが、米国の永住権を有する中国人も何万人といるそうです。こうした個人も中国の半導体製造に関わることは禁止で、かつ、こうした厳しい規制強化を米国だけでなく同盟国にも強く求めてきています。

こうした「真綿で首を絞める様な」規制を続けることにより、中国は中長期的にITの分野で競争力を失っていく、というのがアメリカのシナリオです。かつては石油が国家の命運を左右する物資でしたが、現在では半導体が国家の命運を左右する物資になっているのです。

前述の通り、ウクライナ戦争の影に隠れて大きく報道されていませんが、実は台中戦争を引き起こすきっかけにもなりかねない、大きなインパクトを持つ米国の意思決定です。

米国は歴史的に経済的に相手を追い詰め、相手に先に手を出させて既成事実をつくった上で戦争を行うというのがある種決まったストーリーです。
アメリカが第一次世界大戦に参戦する口実となったルシタニア号の撃沈事件しかり、日本に対して石油からくず鉄から資源の輸出を全面的にストップした太平洋戦争しかり、また直近でいけばイラク戦争の口実となった911同時多発テロも同じです。

デカップリングという言葉がありますが、政治的に米中が対立していたとしても、例えば金融業界など米中で強く結びついている分野もあります。ただ、歴史的に見ても異例の厳しい輸出規制が中国に対してかけられていることも事実であって、特に台湾情勢をめぐっては経営者としてあらゆるシナリオを想定しておく必要があると思います。

ストップした?自動車業界の設備投資

また、先日の日刊工業新聞に掲載されていたJIMTOF特集での、ホーコス社長 菅田雅夫氏のコメントも興味深いものです。ホーコスは広島に本社工場を持つ工作機械メーカーであり、自動車業界向けの専用ラインの構築に定評のある会社です。いちはやく“セミドライ加工技術”を手掛け、注目を集めてきました。

そんな同社が新規設備の受注に苦しんでいるといいます。
前述のインタビューによると、引合いは増えているものの、ほとんどが改造やオーバーホールだといいます。その理由は、内燃機関向けの新たな投資が無いこと。またEV向けのラインにしても、既存の設備を改造して何とかしのごうとする動きが多いといいます。
特に、従来は排ガス規制が強化されるたびに、何年かおきに設備投資サイクルが発生していましたが、EVシフトすると、こうした設備投資サイクルは無くなります。
同社の菅田社長によると、今回のJIMTFでは半導体関連等で新たな需要を開拓したい、とのことです。

この様に、従来の自動車メーカーに深く食い込んできたプレーヤーであればあるほど、今回の「EVシフト」というゲームチェンジの影響を強く受けています。例えば前述の通り、内燃機関であればEUやカリフォルニア州などが、定期的に排気ガス規制を強化してきました。そしてその度に、その規制をクリアするための新型エンジンが開発され、その新型エンジンを量産するために、定期的に新たな製造ラインが発注されてきていたわけです。「EVシフト」によってこうした設備投資のサイクルは無くなります。つまり、また、EV業界の中で新たなルールが形成されていくわけなのです。

EVシフトで市場は拡大するが、プレーヤーは置き換わる自動車産業

また、ここで留意しておかなければならない事実があります。
それは、実は従来の内燃機関の自動車よりも、EVの方が“市場が大きい”という事実です。

まず単価ですが、内燃機関の普通車が120~150万円ほどで購入できるのに対して、EVになると1.5~2倍ほどの価格になります。EVの購入には補助金が出ることが多いため問題にならないこともありますが、事実上、内燃機関の自動車よりもEVの方が単価は高い。
つまりそれだけ、市場規模も広がる、ということです。

具体的に、現在の自動車産業の市場規模は全世界で300兆円ほど、といわれていますが、これがEVシフトしてMaas(=モビリティ・アズ・ア・サービス)の様な新産業になると、今から10年ほど後の2035年には800兆円を超えるマーケットになる、といわれているのです。

つまり“プレーヤーが変わる”だけであって、EVシフトしたとしても自動車産業が製造業の中心であることは何ら変わりがありません。むしろ市場規模は拡大していくのです。

実際、“自動車の車載部品を量産”しているティア1、ティア2クラスは減産の影響を受けているケースが多いですが、特に完成車メーカーやティア1クラスの“社内設備で使用する部品”の部品加工については、過去最高のレベルで受注を受けている私の関係先もあります。
完成車メーカーはもとより、ティア1クラスの製造業は、競争力を維持するために主要設備は内製しているケースが多いです。「EVシフト」に合わせて新たな社内設備を開発するために、膨大な部品加工の仕事を外に出しているわけです。

また、“電池”に関わる仕事は引き続き活況が続いています。電池をつくるための材料はもとより、電池を製造するための製造装置に関わる仕事です。
先日も私の関係先で大型製缶を手掛けている会社に、電池の製造装置メーカーから大口の引合いが入りました。現在の月商に近い金額の大型商談であり、いかにこの業界が動いているかがよくわかります。

さらに、EVシフトも含めて、自動車業界のCASE(コネクテッド・オートノマス・シェアリング・EV)という潮流の中で、車載用の電子部品やセンサーの数も劇的に増えています。
私の関係先のある機械加工を手掛けている会社(従業員35名)の場合も、こうした某電子部品メーカーから社内設備用の部品の引合いがあり、取引をスタートして1年ほど経過した現在、月額500万円前後くらいの継続取引に至っています。

既存の営業部門だけでは乗り切れない、これから求められるマーケティング機能

こうした会社の共通点は、全て、マーケティングを行っている、ということです。

得てして生産財業界の会社というのは、マーケティングを行わず、「営業」のみに頼っているケースが多いといえます。営業とマーケティングの違いは、営業は目の前のお客様に対して提案活動や問題解決を行い、収益につなげていくことが仕事ですが、マーケティングは見えないお客様、まだ会っていないお客様を対象にするのが特徴です。従って、営業部門に「マーケティングをしなさい」と言っても、なかなかそれはうまくいきません。

その中で、特にニッチな製品や技術を扱うことが多い生産財業界の場合は、インターネットを活用したデジタルマーケティングが有効であるといえます。
例えば前述の機械加工の会社や、製缶板金を手掛けている会社は全て、”VA・VE技術ソリューションサイト”を運営しています。今やBtoBのバイヤーの情報収集の最も多く活用する媒体はインターネットです。従来は出入り業者からの情報、紙カタログ等でしたが、現在では圧倒的にインターネットなのです。

例えば群馬県伊勢崎市に本社工場をおく島田工業株式会社(板金加工業)では、かつては某大手家電メーカーの仕事が売上の9割を占めていた時期がありました。ところが当時の円高による海外への生産移転という産業構造の大きな変化の中で、同社としては従来の主力取引先以外の新規開拓を早急に行わなければならない事態に迫られます。そこで同社が立ち上げたソリューションサイトが“精密板金加工 配線組立.com”です。
同サイトをみると、装置設計者を対象に、「こうすれば高品質の板金部品がローコストにつくれる」「こうすればトラブルの少ない配線ができる」「その結果、完成品の耐久性があがる」といった、設計者向けのVA・VE情報が掲載されています。

同社ではこうしたソリューションサイトを立ち上げてマーケティングを推進、新規開拓を進めた結果、かつては9割を占めていた主力取引先への売上比率が、現在では4割前後になっています。
その分、新しい成長分野である「半導体」関連の新規顧客、また「医療」関連の新規顧客をはじめ、「ドローン」関連の新規顧客など、結果的に“成長産業”と呼ばれる業界からの新規の仕事を獲得することに成功しています。

「CASE」「半導体」「医療」など、成長産業の新規顧客を獲得する方法!

ここで、なぜ「結果的に」という表現を使ったかというと、前述のCASEがらみ、あるいは半導体、医療といった成長産業では継続的に技術革新が進んでいます。従って、
・従来よりも、もっと軽くなる様な設計をしたい
・従来よりも、もっと省スペースになる様な設計をしたい
・従来よりも、もっと部品点数を減らしたい
・従来と異なる材質を使いたい
といった様な、技術課題が継続的にでてきており、既存のサプライヤーだけではその技術課題を解決できないケースが多いのです。その結果、前述の通り、こうした成長産業の開発キーマンはインターネットで検索を行い、ポテンシャルサプライヤー(=今は取引しないけども、将来取引する可能性のあるサプライヤーのこと)を探しているケースが多いのです。

こうしたポテンシャルサプライヤーを探す、開発キーマンの“購買行動”は次の通りです。

ステップ1 認知

ステップ2 情報収集

ステップ3 比較検討

ステップ4 見積書の取得

上記が一般的にBtoBマーケティングの世界でいわれる「顧客の購買行動」になりますが、これをデジタルの世界(=インターネット)で再現するのがデジタルマーケティングになります。

例えば前述の島田工業様の場合、「精密板金加工 配線組立.com」というソリューションサイトを運営している結果、島田工業様のことを知らない人でも、島田工業様は何ができる会社なのかということを一発で「認知」することができます。

そして、今、具体的な検討をしておらず、いわゆる「情報収集」が目的のキーマンに対しては、同サイトの中に“基礎知識”というコンテンツがあり、キーマン(エンジニア)に対してお役立ち情報を提供しています。あるいは“VE事例”も、「情報収集」の段階のキーマンが対象のコンテンツといえます。

さらに、具体的な「比較検討」の段階に至っているキーマン、つまり具体的なサプライヤーを選定したいと思っているキーマンにとって重要なコンテンツが「事例(製品事例)」ということになります。
そして「事例」を確認して、製作実績がある、あるいは製作が可能かの判断がつけば、ステップ4の「見積書の取得」になるわけです。

マーケティングはこの様に、「顧客の購買プロセス」に沿った形でのソリューションサイトを立ち上げるところからがスタートであるといえます。

コロナ禍で激変した、顧客の購買行動:まさか、こんなお客がインターネットで取引スタート!?

また、昨今では顧客の購買行動はコロナ前と比べて大きく変化しており、従来では考えられない様な現象も起きています。

例えば先日、私の関係先の某社では、地元の火力発電所を運営する、電力会社との直接取引口座が新規で開設されました。きっかけは工場メンテナンスに関するソリューションサイトです。
おりからの電力不足の影響で、その電力会社は急遽、石炭火力の発電所の稼働を上げることになったそうです。その際に、老朽化した石炭の搬送装置をオーバーホールしたい、という数千万円の商談でした。
通常、こうした電力会社には、間違いなくお抱えの工事会社や設備会社が複数入っているはずです。しかし従来の業者の動きが悪い、あるいは価格が不透明、という理由で、インターネットで新しいサプライヤーを探していたのです。従来では考えられない購買行動の変化です。

同様の話が、大手ビール会社でもありました。私の関係先の某機械工具商社では、大手ビールメーカーの工場からソリューションサイト経由で中二階工事の引合いがきて、取引口座も無いなかで受注。その後、新規口座の開設にいたりました。もちろん、この大手ビール会社には複数の構内外注が入っています。
その大手ビール会社の担当者曰く、「工事の際の養生とか、我々の手間暇を考えると既存業者でいいんだけど、どうも最近はなれ合いになってきているから、あえて新しい風を入れることにしました」という話でした。

あらゆるビジネスは最後は人と人です。ちょっとした人間関係で取引業者が変わってしまうことは有り得るわけで、特にインターネットで検索すれば業者を探せる時代、こうしたニーズに網をはっておく必要がある、と、昨今特に強く感じます。

特に、繰り返しになりますが、部品加工業や生産財商社といった、ニッチな商材や技術を扱っている会社の場合はインターネットを活用するデジタルマーケティングに取組むことが有効です。
さらにデジタルマーケティングの精度を高め、より受注に結び付く営業まで包括したデジタルの取組みの事を、昨今では「営業DX」とよびます。

では、自社が「営業DX」に取組むにはどうすれば良いのか?

それは、既に「営業DX」に取組んで、成果をだしているモデル企業の事例を生の声で聴いていただくのが最も早道ではないでしょうか。

そこで船井総合研究所では、下記の通り、

・機械工具商社向け
・板金加工業向け
・電設資材商社向け
・射出成形業・金型製造業向け

を対象とした、「営業DX」セミナーを企画しております。

上記セミナーの詳細、あるいはお申込みは、下記URLよりご確認いただけます。
ぜひ下記セミナーへのご参加をご検討いただき、来年2023年の御社の事業戦略に役立てていただければと思います。

↓↓↓ 機械工具商社向け(2022年11月16日 水曜日 オンラインで開催)
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/092148

↓↓↓ 板金加工業向け(2022年11月28日 月曜日 or 12月6日 火曜日 オンラインで開催)
※前述の島田工業 株式会社 代表取締役社長 島田 渉 氏が特別ゲスト講師です!!

https://www.funaisoken.co.jp/seminar/092385

↓↓↓ 射出成形業・金型製造業向け(2022年12月13日 火曜日 or 12月15日 木曜日 or 2023年1月12日 木曜日 オンラインで開催)
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/093131

↓↓↓ 電設資材商社向け(2022年12月15日 木曜日 or 12月20日 火曜日 オンラインで開催)
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/092955

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