材料高・部品不足・「様子見」の市況の中、過去最高の業績をあげる会社の共通点
本来であれば実質的にコロナがあけ、営業活動や企業活動が活発になるはずですが、実際には「様子見」といった生産財業界の市況です。現在の市況を述べると、
<生産財業界の市況>
- 自動車は悪い。中国のロックダウンの影響や、半導体不足からトヨタですら数日しか稼働できていない事業所が多い。ただし新車そのものは売れている(=予約が取れている)ので反動はあるかもしれない。
- しかし中・長期的には間違いなくEVシフトが進んでおり、その中で完成車メーカーやティア1クラスの大手部品メーカーは相対的に内製化を進めている。また完成車メーカーやティア1クラスですら、自社内での事業再構築、わかりやすくいえば「仕事の取り合い」の様相を呈しており、先行きは不透明。
- 半導体製造装置、工作機械といった生産財は相対的に良い。家電や自動車の様な“消費財”については海外移転が進み円安の恩恵は無いかもしれないが、前述の生産財は円安の恩恵が実は大きい。
- 特にCASE(=次世代自動車)にからむ、例えば電池の製造装置の関連の仕事など、あるいは車載の電子部品やセンサーがからむ装置がらみの仕事は非常に忙しい。
一般の報道をきくと「円安は害」といった論調が目立ちます。確かにエネルギーの輸入価格が上がり、さらに世界的なエネルギー不足の中で今年の冬は電力が足りなくなる可能性が高い、といったマイナス面もあります。
ただ、日本は基本的に素材を輸入して付加価値をつけて輸出する、というビジネスモデルの国ですから、相対的にみれば円安は製造業あるいは製造業に関連するビジネスを行っている会社にとってはプラスだと私は思います。
実際、私が過去に経営セミナーでのご講演をお願いした様な関係先、あるいは船井総研の製造業/生産財商社向け勉強会「ものづくり経営研究会」の会員企業様の多くが、先期は過去最高の売上・利益、またこの4月・5月も同月比でいくと過去最高の業績という会社が少なくありません。
では、今、好調な会社とはどの様な会社、あるいはどの様なことに取組んでいる会社でしょうか?
大きく5つの共通点を挙げることができると思います。
共通点1.社長の事業意欲・モチベーションが高い
時流の先をよみ、いわゆる「ピンチをチャンスに変える」という意識が強く、どんな時でも業績を上げるということにこだわっている。結果的にセミナーや勉強会に参加して情報を取ることに余念がなく、M&Aに関心を持ったり情報を集めたり、自社を成長させることへの意欲が高い社長の会社。
共通点2.「凄い技術」ではなく、「普通の技術」を儲けにつなげている
中小企業において、圧倒的に差別化された技術で儲けている、というケースは少ないです。なぜなら“自社しかできない技術”というのは得てしてニッチ技術であり、市場そのものが小さすぎて利益につながりにくいケースが多いのです。それよりも儲けにつながりやすいのは、次の3つです。
a)顧客代行
本来は顧客がやるべきことを、こちらが行うことが顧客代行です。例えば装置を製作する場合には膨大な
数の図面をサプライヤーにばらまく必要がありますが、こうした膨大な図面をワンストップで全て対応する
といった内容も顧客代行になります。
b)工法転換
従来は金属でつくっていた部品を樹脂化したい、といった顧客そのものが持つ工法転換ニーズに対応する、
といった“見えている工法転換”がまず一つ。あるいは通常であれば例えば“旋盤+フライス+マシニング”と
いった多工程で行うべき仕事を、複合機でワンストップ対応するといった“見えない工法転換”があります。
c)ダイレクト販売
例えばネジ業界等は、製造元からエンドユーザーまで多数の仲介業者をはさみます。こうした業界で製造元
自らがネットを使うなどしてダイレクト販売を行えば、おのずと価格優位で競争力があります。
共通点3.自社の真の強みを認識している
前述の共通点2.a)b)c)というのは、結局のところ「自社の強み」ということになります。
つまり従来は自社では気付いていない“潜在的な強み”に、自身が気付いて“顕在化された強み”になっている
状態が、前述の 共通点2.a)b)c) のいずれかの状態だと思います。
共通点4.自社の真の強みを見える化できている
ここで一つ質問ですが、「御社のホームページは、御社の強みが明確に表現されていますか?」
この質問にYesと回答ができた会社は、ホームページ経由で有望な新規案件が継続的にきているはずです。逆にNoと回答した会社は、ホームページからほとんど引合いがきていないはずです。
共通点5.DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取組んでいる
今、業績が好調な会社の社長は、例外なくDXに取組んでいます。なぜなら今は人手不足、あるいはコンプライアンスなど労務対策によって、昔の様な過重労働で何とかする、という業績の上げ方ができないからです。デジタルを活用して、いかに自社の営業の効率化を図るかが死活問題になっています。
もっというと冒頭に述べた忙しい成長している顧客(=バイヤー)ほど、インターネットなどデジタル接点を重視してサプライヤー探しを行っています。
御社の場合はいかがでしょうか?
上記5つのことに取組むことは、足元の業績を上げるだけでなく、これからの不況対策にもつながることだと思います。
今後の見通しは?求められる不況対策と、産業構造変革への対応!
さて、では今後の見通しはどうでしょうか。
歴史的に世界を動かす様な金融資本(大資本)というのは、
・戦争
と
・大不況(大恐慌)
で利益をあげてきている、という歴史があります。
今、映画館では「トップガン マーヴェリック」という映画が封切られて、大ヒットしているそうです。
ちなみに前作の「トップガン」が公開されたのは1986年で、この時期は米ソ冷戦の真っただ中でした。こうした大作の戦争映画というのは米軍の協力なしには当然のことながら制作不可能で、米軍がこうした映画制作に協力する目的の一つが“採用”にあります。米軍もなんとなく映画制作に協力するわけではないわけですから、そう考えると現在のウクライナ紛争というのは、しばらく続くのかと思ってしまいます。
大不況に関していえば、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、先行きが不透明であるため全世界の同社の従業員10%を削減する、と発表しました。
同時にツイッターに「日本はこのままではいずれ消滅する」と投稿して話題をよびましたが、さらなる円安をあおる様な発言にもみてとれます。
今、米国はFRBが金利を上げてインフレ対策を行う中、日銀は金融緩和を継続して金利を上げない方向にふっています。
大恐慌で利益を上げる鉄則は「バーゲン・ハンティング」といわれますが、価値が暴落した不動産や会社を安値で買いあさり、その後価格が平常に戻った際に売り払って莫大な利益を得る、という方法です。
前述のマスク氏の発言もしかり、昨年の銀行法の改正もそうですが、今の円安の流れも近い将来の日本での「バーゲン・ハンティング」を意識してのものかと、完全に私見ですがその様にも感じられます。
いずれにしても今、求められることは不況対策で、不況対策には大きく次の2つが挙げられます。
不況対策1:特定顧客・特定業界への依存から脱却する
不況対策2:入りを計りて出るを制す
「不況対策1」は、不況が来るまでにしておくべきことです。
それに対して「不況対策2」は、不況が来たら行うべきことです。“入りを計りて出るを制す”というのは、いったん不況になると売上を上げることは非常に困難になります。当面見込める売上(=入り)で、自社が存続できる様な収益が確保できる様に支出を合わせる(=出るを制す)、ということです。
したがって今、行うべきことは前述の「不況対策1」であり、一言でいえば顧客の分散、あるいは収益源の分散、リスクヘッジです。
こうした「特定顧客・特定業界への依存から脱却する」ことへの答えが、前述の「DXへの取組み」です。DXに取組むことにより、結果的に「特定顧客・特定業界への依存から脱却する」ことができます。
そして私たち船井総合研究所 ものづくり支援室 では、今月6月末から来月7月初めにかけて、業種別に下記の様なDX経営セミナーを企画いたしました。
【Webセミナー】メーカー向け:DX経営を3ヶ月で導入する方法
・2022年6月24日(金)13時~15時 開催
↓↓↓詳細・お申込みはこちら!
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/087227
【Webセミナー】部品加工業向け:DX経営を3ヶ月で導入する方法
・2022年6月27日(月)13時~15時 開催
↓↓↓詳細・お申込みはこちら!
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/087321
【Webセミナー】生産財商社向け:DX経営を3ヶ月で導入する方法
・2022年7月5日(火)13時~15時 開催
↓↓↓詳細・お申込みはこちら!
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/087454
【Webセミナー】セットメーカー「部品加工事業」参入セミナー>
・2022年7月6日(水曜日)13時~15時
・2022年7月12日(火曜日)13時~15時
↓↓↓詳細・お申込みは、こちらから!
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/087453
上記セミナーにご参加いただければご理解いただけると思いますが、DXへの取組みイコール不況対策であり、またEVシフト等の、産業構造変革への対応でもあります。
ぜひ、上記一連の経営セミナーへのご参加をご検討いただき、不況対策はもとより、現在のピンチをチャンスに変える経営を実現していただきたいと思います。
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