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コロナ禍・脱炭素だけじゃない!中小製造業が「3倍速の時代」を生き抜くために次世代SFAを活用して業績を伸ばす方法

2021年11月の時流とその対策(2)
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コロナ前には戻れない!「3倍速の時代」を生き抜くポイント

以前のレポートでも述べましたが、「脱炭素」はかつてないスピードで我々の変革を迫っています。

例えば最近の報道でも、佐川急便が7200台ものEVを中国・広西汽車集団から導入することを発表しました。また同様に運送会社であるSBSホールディングスも中国生産のEVトラックを2000台導入することを発表しています。
なぜ中国製のEVトラックを導入するのかというと、一言でいって国産のEVトラックが無いからです。
こうした動きを受けて日野自動車やいすゞがEVトラックの開発を発表していますが、市場(=エンドユーザー)の動きの方が格段に速い、ということです。

また、国内ではあまり報道されていませんが、EUでは「欧州バッテリー同盟(EBA)」が立ち上げられ、EU域内では20を超える巨大バッテリー(ギガファクトリー)建設が進んでいるといいます。
かつ、EUの計画はバッテリーの生産から使用後の回収・リサイクルまでを一連の流れとして、この流れの中に入らない海外製のバッテリーはEU域内で使用させないという、事実上の非関税障壁をつくりあげようとしています。このままでは、気が付くと日本だけが取り残されていた、という状態になるのではと危惧するのは私だけではないでしょう。

明らかに世界は、コロナ前のいわば「3倍速」くらいのスピードで動いていると思います。

例えば、今は「雇用維持」の観点から日本は電動車の中に「ハイブリッド車(=内燃機関を搭載した車)」を入れています。しかし、いかに既存の自動車産業が「雇用の維持」をさけんでも、商品を買うか買わないかを決めるのはエンドユーザーです。
例えば前述の佐川急便にしてもSGSホールディングスにしても、脱炭素を今からやらないと大変なことになることがわかっていて、だからEVトラックを買おうとしたけども国産の商品が無いから中国製のEVトラックを買っているわけです。

売り手の動きよりも買い手の動きは「3倍速」ということができるでしょう。

 

そして「脱炭素」だけではなく、今、業績を伸ばしている会社はみんな「3倍速」ともいえるスピード重視の経営をとっています。

例えば最近、日本電産グループが買収した某社の場合。買収される前はなかずとばずのメーカーでしたが、買収されてからは、いきなり2倍の生産計画になったそうです。それまではアジア中心の営業しかしていなかった某社ですが、日本電産グループは欧米をはじめとして世界中にプロの営業が配備されており、そうした世界中のプロの営業が一斉に販売活動を行った結果、生産計画が2倍になったわけです。
生産計画が2倍になった結果、その某社のサプライヤーに対して「仕事を出す量を2倍にするから、合理化してコストダウンをしてほしい」と、要望をだしました。
この要望に応えることができたサプライヤーは売上を伸ばすことができましたが、応えることができなかったサプライヤーは“切られる”という話です。
この要望に応えるためには「倍増する仕事に対しての設備投資」の意思決定が必要ですし、「その結果、どれくらいのコストダウンなら対応できるのか」というシミュレーションが必要です。

また最近の傾向として、特に従業員が300名未満の中小企業の場合、経営トップが営業の陣頭指揮をとっているケースでは会社の業績があがっているのに対し、経営トップが営業活動に関与していない会社、営業活動を社員に任せてしまっている会社は、いつの間にか大口の仕事が無くなったりして業績不振に見舞われているケースが多いと感じます。

今の時代、チャンスは多いのですが、前述の通り「意思決定」あるいは「緻密な計算(=シミュレーション)」を求められる案件が多く、こうした「負担がかかる」案件は社員では意思決定ができません。

経営者、あるいは経営者マインドを持つ幹部でなければ、今のチャンスはモノにできない様な気がします。

 

 

「3倍速の時代」に対応する営業の「見える化」

とはいえ、大人数の営業部隊を抱えているメーカーあるいは商社にとっては全ての営業を経営者がこなすことは不可能です。そこで求められるのが「営業の見える化」ですが、こうした背景で注目をあつめているのが「次世代SFA(=セールス・フォース・オートメーション)」と呼ばれる仕組みです。

「次世代SFA」の概要を下図に示します。

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SFAというのは「セールス・フォース・オートメーション」のことです。
直訳すれば「営業管理の自動化」という意味になりますが、
具体的には、

  • 行動管理(どの営業担当者が、どの顧客に、いつ、何回くらい訪問する計画か、したか?)
  • 営業日報(その、訪問した先で、営業担当者はどの様な活動をしたのか?)
  • 商談管理(前述の行動の結果、どの様に商談に結び付き、その商談の進捗がどうなっているのか?)

といった“3管理”をデジタルにのせて“見える化”してPDCAを回す仕組みがSFAです。

 

そして、SFAのポイントは、SFAを導入する前の「現状の業務プロセス(営業プロセス)の見直し」が最重要である、ということです。
例えば言葉の定義です。具体的に「商談」の定義とは何なのか?

商談とは
B:バジェット 客先の予算
A:オーソリティー その客先担当者に決裁権があるのか、ないのか、どんなポジションなのか?
N:ニーズ なぜそれが必要なのか?客先の動機
T:タイムド 納期
が、明確になったもののことを商談といいます。

ただし、業種業界によっては全てのBANTが明確になる前に「受注」に至るケースもあります。
また1つ1つの商談の金額が非常に細かいため、全てを管理することが不可能なケースもあります。

その場合、例えば、
・BANTのうち、BとTだけ明確なものを入力しよう
・商談金額で20万円以上のものを入力しよう
といった、ルール決めを行う必要があります。

これが、SFAを導入する前の「現状の業務プロセス(営業プロセス)の見直し」の1つの例です。

 

もっというと、経営者として不安なのは、「SFAを導入するのはよいが」「DXに取組むのはよいが」「ウチの社員がきちんと使ってくれるのか?」という問題です。

こうした問題に対処する上で、参考になるのが下記動画です。

 

いきなりコストをかけて大規模なシステムを導入するのではなく、まずは現在、紙帳票やエクセルで運用している部分から、徐々にデジタルに置き換えていく、というやり方が最も望ましいやり方です。

その点、今、テレビコマーシャル等で有名になってきている、
・セールスフォースドットコム
あるいは
・Zoho(ゾーホー)
と、いわれる Saas(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)というサービスを活用すると、月々のわずかな費用で、レゴブロックを組合わせるかのごとく、自社に必要なところからSFAのモジュールを導入することが可能になります。

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前述の動画の株式会社藤浪様の場合、上記Zoho次世代SFAのうち、まずは「モジュールA」を導入し、次に「モジュールB」を導入しました。
同社の営業担当者の平均年齢は45歳以上で、正直、デジタルは苦手な方が多かったのですが、

・まずは紙、エクセル帳票をそのままSFAにのせる
・トップダウンではなく、社内プロジェクトチームをつくって合意形成をとりながら進める
・いきなり全部ではなく、できるところから進める

というやり方で成功し、同社では営業DXを導入することにより、社員数はそのままで売上1.5倍という成果を上げることに成功しています。

 

 

さらに、前回のレポートでも事例をご紹介した総合測定工具メーカーの新潟精機株式会社(従業員250名)の場合、従来は全国の卸商社やユーザーからの見積り依頼が、新潟本社の受注センターに全て集まっていました。
この新潟本社に集まる商談情報を、全国各地の営業担当者に割り振ってそれをフォローする仕組みを構築するのは至難の業ですが、同社の場合はそうした同社特有の業務プロセスをうまくZohoに反映し、わずか1ヶ月ほどでシステムを構築し、運用をスタートしました。

その結果、今までは本社からは中々見えなかった、
・営業担当者ごとの保有商談
・その商談状況の進捗
・どんな業種向けにどんな商談が動いているのか
・その商談のキッカケは何か?販売店からの引合いなのか、自身が主体的に動いた結果なのか?
・その他
と、いったことがリアルタイムで「見える化」され、営業会議そのものの進め方も大きく変わりました。

新潟精機様に関わらず、BtoBの会社は、会社それぞれで営業の進め方、仕事の進め方が全く異なり、1社1社システムを0から考えていく必要があります。

ところが、前述の様に、レゴブロックを組合わせていくかの要領でシステムをつくることができるSaasサービスのZohoの場合、通常のシステムでは考えられない短期間かつローコストに導入が可能になります。

例えば同様にSFAの刷新を検討している従業員130名の某材料商社様の場合、自社の業務プロセスに対応したシステムの構築を行おうとすると数千万円以上の費用がかかると見積りがでましたが、これをZohoで行うとリードタイム3ヶ月で費用は450万円。IT補助金の範疇で十分に実施できることがわかりました。

 

今、世の中の時流は、
・パッケージソフトを自社の業務に合わせて高額な費用を払ってカスタマイズ

・0から高額な費用をかけてフルスクラッチで構築
ではなく、

・Zohoの様なSaasを活用して、できるところから、短期間・ローコストに構築

という進め方が世界的な潮流であり、国内の中小企業でも徐々にそうした事例が増えています。

 

前述の新潟精機様のケースでも、同社の測定工具事業の業績は大きく伸び、従来になかった様な半導体業界やCASEといった成長産業からも引合いが入る様になりました。

新潟精機様を始め、実際に営業DXを導入して成果を上げている具体的な事例と、その導入のポイントと具体的な手法について、わかりやすくお伝えさせていただく場が、弊社が開催するオンラインセミナーです。

ぜひ、ご参加をご検討いただければと思います。

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