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ビル・ゲイツ氏が予測する未来

最近、出版されたビル・ゲイツ氏の著書「地球の未来のため僕が決断したこと」(早川書房)は、未来予測を考える上で必読の1冊だと思います。なぜならビル・ゲイツ氏の予測は過去においても的中してきているからです。

例えば有名な例でいくと「イベント201」というのがあります。

「イベント201」とは2019年10月18日に、ニューヨークで世界経済フォーラムとビル・ゲイツが主宰する財団であるビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が主催した研究会です。
その内容は

  • 新型の人獣共通感染コロナウイルスによるパンデミックが発生
  • 発生後18ヶ月で6500万人が死亡する

というシミュレーション演習です。

この演習には国連やルフトハンザ航空、ゴールドマン・サックスも参加しました。そして「イベント201」が開催された約1ヶ月後の2019年11月に、中国・武漢発のコロナ・パンデミックが発生しました。

この演習で対策を講じていたのか、ルフトハンザ航空はコロナが発生するといち早く国有化され、ゴールドマン・サックスはその半年後には過去最高の利益をあげています。
ちなみにビル・ゲイツ氏はコロナ・ワクチンを開発したファイザーへの多額の投資をしており、ファイザーは今回のワクチン開発により3.6兆円もの収益を手にする結果となっています。

つまり、ビル・ゲイツ氏が予測する未来は的確に当たる。こうした視点で同書を読むと、おのずと時流が読めて来ると私は思うわけです。

 

極めて困難なカーボン・ニュートラル

具体的に、日本国政府は2050年に「カーボン・ニュートラル(=二酸化炭素ネット排出量0)」をうたっていますが、同書を読むとそれは極めて困難であることにくわえて、よほどの技術的なブレイクスルーを伴わなければ実現困難であることがよくわかります。

まず、いわゆる二酸化炭素に代表される温室効果ガスを発生原因別の割合で示すと、下記の様になります。

  • ものをつくる(セメント・鋼鉄 等) ・・・31%
  • 電気を使う ・・・27%
  • ものを育てる(植物・動物 他) ・・・19%
  • 移動する(飛行機・自動車 他) ・・・16%
  • 冷暖房 ・・・7%

感覚的に最も二酸化炭素を排出しているのはガソリン車である、というイメージがありますが実際には異なります。同書によるとガソリン車も含む「移動」に伴う温室効果ガスの排出の割合は16%にすぎず、最も温室効果ガスを排出するのは「ものをつくる」プロセスです。

例えば1トンのセメントをつくると、つくったセメントとおなじ1トンの二酸化炭素を排出します。
鋼鉄に至っては、1トンの更迭をつくるためには、何と1.8トンもの二酸化炭素を排出します。
つまり工業製品だけでなく建物や建造物も含む「ものづくり」そのものの材料やプロセスを見直さないと、カーボン・ニュートラルは実現できないのです。

 

また、昨今は新聞誌上でも牛肉の代替となる「培養肉」のニュースがよくみられます。
その理由は牛を育てるためには、膨大な温室効果ガスを排出することになるからです。
端的に言えば、1kgの牛肉をつくるためには20kgの穀物(=牛のエサ)が必要とされています。
穀物をつくるためには肥料が必要で、この肥料をつくるプロセスで多大な二酸化炭素が発生します。さらに穀物をつくるために森林を伐採するなどして、二酸化炭素を吸収してくれるはずの森林が激減する原因になっている、というのです。これが昨今、「培養肉」が注意目されている理由です。

 

次世代の主要電源は原子力発電?

同書で述べられている、ビル・ゲイツ氏の主張をまとめると次の様になります。

  1. 可能な限り、全ての工程を電化すべきである。
  2. 電力は原子力がベスト。風力・太陽光だけでは足りない。  風力と太陽光の最大ネックは設置面積をとりすぎること(そもそも土地が足りない)。
  3. 残った排出分は炭素回収を用いる。
  4. 資材をもっと効率的に利用する。
  5. 政府はカーボンゼロに向けて積極的に関わり、あらゆる面でカーボンゼロのインセンティブを高めなければならない。

ちなみに同書の中でも述べられていますが、ビル・ゲイツ氏自身が原子力発電の新興企業のオーナーをつとめています。

いずれにせよ「炭素ゼロの企業や産業をつくった国が、この先数十年の世界経済を牽引することになる」と、いうのがビル・ゲイツ氏の主張なのです。

 

カーボン・ニュートラルは、次世代の巨大なフロンティア市場?

そしてカーボン・ニュートラルは見方を変えると「次世代の巨大なフロンティア市場(=ビッグ・マーケット)」という見方をすることもできます。

例えば「資本主義の終焉と歴史の危機 水野和夫著」(集英社新書)という本があります。
著者の水野氏は三菱UFJモルガン・スタンレー証券でチーフエコノミストを務めた人物です。

水野氏によると1997年までの歴史の中で、最も金利が低かったのは17世紀初頭のイタリア・ジェノバだそうです。当時はスペイン帝国が南米で銀を掘り出し、イタリアの銀行にそれらの銀が集まってきたのでマネーがだぶついていた。

さらに当時の最大の投資先はワインをつくるブドウ畑だったそうですが、16世紀のイタリアではまさに山の頂上までワインのためのブドウ畑になっていて、いわば投資先が無い状態。

その結果、金利が2%を下回る状態がずっと続いたというのです。

水尾氏にいわせれば金利が2%を下回ると、資本側が得るものはほぼゼロで、言い換えればこれは資本主義の危機。この17世紀初頭の時は、世界がその後大航海時代に突入し、オランダが東インド会社をつくるなどして、インドとの貿易やアメリカなど新大陸への投資がブームとなりました。
つまり「新たな投資先」が生まれたため異常な低金利はおわり、資本主義は正常な姿に戻ったといいます。

 

ところが今、世界の主要先進国は金利2%以下という超低金利が20年近く続いており、これも17世紀初頭のイタリアと同じ、「マネーはだぶついているが投資先が無い」という状態が続いています。

つまり今の状態は資本主義の危機といえるわけですが、その中で生まれようとしている新たな巨大投資先が、

カーボン・ニュートラル市場(=脱炭素市場)

と、みることができるわけです。

繰り返しになりますがカーボン・ニュートラルを本当に達成しようとすると、膨大な投資と画期的な技術的ブレイクスルーが必要とされます。
言い換えればそれだけ新たな巨大市場が生まれるわけで、欧米を中心にそうした強力な意図が働いている、とみるべきだと思います。

 

新たな引合いには、それなりの理由がある

例えば最近、私のコンサルティングの機械加工業(従業員30名)に、某大手重工メーカーからWebサイト経由で新規引合いが入り、わずか2週間ほどで新規口座開設にいたりました。

きくところによると、この某大手重工メーカーが手掛けているのはタイヤの製造装置。EV向けにタイヤの製造装置の引合いが増加している、というのです。
EVはガソリン車と比較すると同じ出力でも重量が1.5倍になります。なぜならバッテリーが重たいからです。
従ってEVとガソリン車ではタイヤの構造が大きく異なり、EV用のタイヤはガソリン車用のそれと比較して軽量かつグリップ力が高くなければならないといいます。

この引合いは、いわば「脱炭素(=カーボン・ニュートラル)」関連の引合いといえます。

 

また別の板金加工業(従業員30名)には、某大手建材メーカーから新規引合いが入りました。この某大手建材メーカーによると、ビルの冷暖房費を減らすために建材そのものにヒートポンプ(=熱交換器)の機構を組み込み、冷暖房効率を大幅に高めるための建材の開発をしている、というのです。

この引合いも、やはり「脱炭素」関連の引合いです。

 

この様に、市場は「脱炭素」に向けて動いてます。
そして、大手製造業各社も「脱炭素」に向けて新たなテーマに取組んでおり、「従来やったことがない仕事」「今まで手掛けたことがない仕事」に取組んでいるからこそ、インターネットをつかって新たなサプライヤーを探しているわけです。その結果が上記の成果(=新規取引口座の獲得)につながっています。

では、こうした引合いを従来の「人的営業」でキャッチできるかというと、それはほぼ不可能です。
いわゆる営業担当者が日々面談している相手は「資材部門」あるいは「購買部門」であることが大半で、彼らは既に流れている仕事、既に流れている製品の取りまとめがその範疇だからです。

 

先ほど申し上げた様な、カーボン・ニュートラル(脱炭素)を前提として、

  • 今までやったことがない開発を手掛ける
  • これからの新たな案件に取組む
  • その為に必要な新たなサプライヤーを発掘する

役割のキーマンは、もっと川上工程のキーマンであり、それは通常の人的営業だけではカバーすることができません。従来であれば、こうしたキーマンをつかまえる場が「機械要素展」に代表される「展示会」だったわけですが、コロナ禍の中で展示会そのものの集客が従来の1/3程度に落ちています。
もっというと、「展示会に行かなくても、インターネットとYoutubeで良いサプライヤーを探すことができる」ということにバイヤーも気が付いたため、前述の様にWebサイトが大きな成果を上げる様になっているのです。

 

この様に、ものづくりの根幹が変わる可能性が高い「脱炭素」への取組みは、我々製造業にとっても大きなチャンスになる可能性の高い、我々製造業にとっても新たなビッグ・マーケットです。

そして、この、新たなビッグ・マーケットをものにするために必要なことが前述のデジタル・マーケティング(=営業DX)であり、その最新の成功事例を、

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