9月頃から自動車業界を中心に回復か?
2020年も9月がおわり10月に入りましたが、この9月頃からは自動車業界を中心に業績が戻ってきた、との声も散見される様になりました。
トヨタグループについてはかねてから開発案件が止まっていない、またSUBARUの新型車にからむ動き、スズキの一部車種の動き以外にも、ホンダのN―BOXに関する生産が戻ってくるなど、そうした具体的な話が入ってくる様になりました。
日本の製造業は大半が自動車がらみです。自動車が復調すると全体が戻るという傾向がありますが、この9月はおしなべて前年対比△15~△20%くらい、といったところではないでしょうか。
8月と比較すると9月は明らかに戻ってきていると思います。
ただし長期的に不安材料もあります。例えば前回の本レポートで「世の中がよりEVにシフトする可能性」について言及しましたが、先日、米国カリフォルニア州の知事が「2035年までにカリフォルニア州における名エンジン車の販売禁止」を発表しました。
本当に実行可能なのかどうかは疑問視されている様ですが、米国は大馬力エンジン車の牙城であり、その一大マーケットであるカリフォルニア州知事の判断は世界的に注目を集めています。
ちなみにカリフォルニア州では既に排出ガスクレジットが導入されており、全ての自動車メーカーは販売台数の9.5%をゼロエミッション車にする様に求められており、この比率が2025年には22%に引き上げられます。
つまりカリフォルニア州における販売台数の22%をゼロエミッション車にしなければならないのです。
このノルマをクリアできない会社は、テスラ等の電気自動車メーカーなど、この規制をクリアして余裕のある会社から排出ガスクレジットを買い取ることで、この比率を高めていく必要があります。
当初、プリウスなどのハイブリッド車はこのゼロエミッション車に含まれていましたが、現在ではハイブリッド車はゼロエミッション車として認められていません。
従ってトヨタはテスラ等の電気自動車メーカーから、排出ガスクレジットを買い取ることで規制に対応しているのが現実です。
プリウスに代表されるハイブリッド車は日本のお家芸ともいえる複雑な高度技術です。ところが世界レベルで見ると今やゼロエミッション車(=排気ガスを出さない車)としては認められておらず、このままだと日本国内以外では売れない“ガラパゴス車”になる可能性もあります。
かつて日本の携帯電話がiモードといった日本独自の仕様で発展していきましたが、最後は“ガラパゴス化”してスマートフォンに駆逐されてしまった歴史があります。
このままいくと、トヨタですら将来ガラパゴス化してしまうリスクがあることは直視する必要があると思います。あるいは完成車メーカーのトヨタよりも、世界中のカーメーカーに部品を供給するデンソーの様なティア1メーカーと付き合った方が良いのかもしれません。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現する為のデジタルツール
この様に、現在は産業構造が根本から変わるまさに100年に1度の大変革期であると同時に、今年に入ってからのコロナ禍が加わり、大企業を中心に国を挙げてDX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組んでいる、というのが前回の本レポートでも述べた現在の大きなトレンドです。
いまや新聞や経済誌で「DX」の文字を見ない日はありません。
ちなみに、現在やっている業務をそのままデジタルに置き換えることをDXとはいいません。
DXとは現在行っている業務そのものを見直す、具体的には「ビジネスプロセス」そのものを見直し、デジタルシフトを行うことをDXといいます。
日本よりも先行してDXに取り組んだ国が、米国です。
米国には過去10年にわたり、ほぼ毎年グレートカンパニー視察セミナーの講師として訪れていますが、明らかに日本より10年以上先行してDXに取組んできていました。
その、DXで使用されるデジタルツールの代表格が「Saas(=ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」であり、特に2010年以降、クラウドがIT業界に本格的に登場してから米国では普及が一気に進みました。
Saasは、日本国内では「定額制のソフトウェアサービス」くらいのニュアンスで伝えられていますが、実態は大きく異なります。支払い形態が結果的に「定額制(=サブスクリプション)」なだけであって、その本質は「従来のパッケージソフトは業務プロセスが固定的であるのに対し、Saasはレゴブロックを組み合わせるかのごとく自社に会った最適なソフトウェアを簡単につくることができる」ということです。
ちなみに、「会計」「労務」「勤怠」といった、どこの会社でも似通った業務プロセスにおいては「パッケージソフト」で良いのです。
ところが「顧客回り(=営業管理・顧客管理・マーケティング)」の業務プロセスは1社、1社、その会社によって進め方が全く異なります。
そこで従来は自社に合った形でフルカスタムのソフトウェアを開発する、あるいはパッケージソフトに高額な追加費用を払ってセミカスタムにする、という手法しかありませんでした。
そこに、前述の「Saas」というサービスが登場した結果、ここ10年で欧米企業は一気にDXが加速したといっても過言ではありません。
世界レベルで最も有名なSaasが、米国の「セールスフォースドットコム」社です。
日本でも中堅・大企業を中心にSaasの代表格として広く普及しています。
Saasのポイントは、
- 名刺管理
と連動して
- MA(=マーケティング・オートメーション)
- SFA(=セールス・フォース・オートメーション:営業管理)
- CRM(=クライアント・リレーションシップ・マネジメント:顧客管理)
- BI(=ビジネス・インテリジェントツール:経営コックピット)
これら全てを包括しており、導入することによって次の様な成果が得られます。
- MAにより商談が創出され、受注率が上がり、
・商談数1.5倍
・受注率5ポイントアップ - SFAで営業が見える化され、全てをKPI(=数字)で語れる様になり、
売上(=KGI)=商談件数(KPI1)×平均単価(KPI2)×受注率(KPI3) - CRMによって業務と営業担当との情報共有、また担当者が交代しても簡単に引き継げる
そして繰り返しになりますが、こうした導入メリットのあるSaasの代表格が
・セールスフォースドットコム
であり、セールスフォースドットコムとほぼ同等の機能を有する
・マイクロソフト ダイナミクスCRM
となります。
ところがセールスフォースドットコムも、マイクロソフト ダイナミクスCRMも、いずれもグローバル展開している従業員1万人クラス以上の大企業が想定顧客です。
従って導入費用・維持費用も高価です。
この、大企業向けに開発されたセールスフォースドットコムや、マイクロソフト ダイナミクスCRMに対して、最初から従業員500名前後未満の中小企業を対象に開発されたSaasが、
・ZOHO(ゾーホー)
です。ZOHOは米国で生まれ、今や全世界で15万件を超えるユーザーを擁します。
セールスフォースドットコムが約10万件、マイクロソフト ダイナミクスCRMが約8万件といわれていますから、世界レベルで実質的にNo1のSaasがZOHOなのです。
同じ性能で圧倒的な価格優勢を誇るZOHO(ゾーホー)
例えば前述のMA(マーケティング・オートメーション)の場合、セールスフォースドットコムのMAとZOHOのMAを比較すると次の様な価格差があります。
<セールスフォースドットコムMA(パードット)>
-月額20万円前後
<ZOHO MA>
-月額1万円前後
※ハウスリスト5000件前後として
つまり1年間でセールスフォースMAだと240万円かかるところが、ZOHOだと12万円程度です。
その価格差はわずか1年で238万円。
しかもセールスフォースドットコムMAができることは、ほぼZOHOでも同じことができます。
またSFAだと次の様な価格差があります。
<セールスフォースドットコムSFA>
-月額2万円前後/人
<ZOHO SFA>
-月額4500円前後/人
例えば営業担当者が20人いた場合、セールスフォースドットコムだと月額40万円に対し、ZOHOであれば月額9万円程度。その価格差はわずか1年で372万円。
もし営業担当者が40人いたら、その価格差はわずか1年で700万円を超えます。
そしてSFAもMA同様、セールスフォースドットコムでできることはZOHOで同じことがほぼ可能です。
私ども、船井総合研究所でもZOHOについての優位性は以前から認識しており、特にマーケティング・オートメーションの分野ではZOHOによる実績を積み上げてきました。
現時点で船井総合研究所のご支援で導入したZOHO MAの実績は、社員数名クラスの中小企業から上場会社クラスの中堅・大手企業まで80社を超えます。
こうした実績が認められ、船井総合研究所はこの度、正式にZOHO認定パートナーになりました。
↓↓↓船井総合研究所がZOHO認定パートナーとなったことへのリリース
今後、我が国においてもデジタル庁が始動します。そして菅内閣では地銀や中小企業においては統廃合を促進し、一気に生産性を高める施策を打ち出そうとしています。
中小企業においても生産性を高めるためにはDXが不可避です。
そしてDXの為には世界標準の間違いの無いSaasが不可欠なのです。こうした背景もあり、従来は特定ベンダーとの個別契約を極力行わない船井総合研究所が、ZOHO社とは正式にパートナー契約を締結したのです。
その狙いはZOHO社からのいち早い最新情報の取得と、日本国内、特に中小企業に対してのDXの促進です。
ちなみに、なぜZOHOがそれだけの高機能でありながら、同業他社のSaasと比較して劇的にローコストなのかというと、そもそも同業他社とはビジネスモデルが全く異なるからです。
まずZOHOには営業部隊がありません。販売は100%インターネット経由で行われます。
また広告宣伝の類は一切行っていません。広告宣伝や営業にかけるべき費用を、全て開発に回しています。
かつ米国のテック企業としては珍しく、株式公開もしませんし資金の外部調達も一切行っていません。
ZOHOは創業したその瞬間から黒字、ほぼ口コミだけで販路を広げてきました。
ZOHOが株式公開も行わず、資金の外部調達を一切行わない理由は、同業他社からの買収を防ぐためです。
そして同社は米国カリフォルニア州に東京ドーム12個分の広大な敷地にリサーチセンターを持ち、また開発の大半をインドで行っています。今や同社はインド最大のソフトウェア会社でもあります。
この様に、ある種従来のIT企業の経営の真逆をいっている会社がZOHOなのです。
DXの成功は、正しいデジタルツールの選定・導入・運用から
この様に世界レベルではDXを実現するツールとしてはSaasがその中心にあり、クラウドテクノロジーを活用することが当然という流れですが、日本は正直かなり遅れていると思います。
いまだに多くのIT企業が「クラウドよりも自社サーバーの方が信頼性は高い」などと言っている時点で、かなり致命的であるといえます。前述のハイブリッド車の様に、日本の大半のITが今や“ガラパゴス化”している様に私には見えます。
こうした危機感から、2020年8月に出版したのが私も著者の1人として執筆した「図解 よくわかるこれからのデジタルマーケティング」です。
Amazonなどからも購入可能となっておりますので、ぜひご一読ください。
また、船井総合研究所ものづくり支援室では、中堅・中小製造業の経営者様向けにオンラインセミナーを開催しております。
是非、ご参加をご検討いただければと思います。
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