1.コロナによって生じた、営業における変化とは?
2020年2月に日本でも発症が確認された新型コロナウイルス。
この世界的パンデミックを機に、日本でも「不要不急の訪問・商談は控えて欲しい」という通達を顧客から受けた営業マンも多かったことでしょう。
これは非常に大きな変化と言えます。これまではとりあえず顧客のところに行けば何らかの案件がもらえ、売上を立てることができたという営業マンは、その手法が通用しなくなったということです。
そもそも営業職は日本で最もポピュラーな職種の一つでした。2016 年の統計によると、国内労働者人口平均6,440 万人のうち、営業職(販売従事者)は約880万人を占めています。つまり労働者数の10%以上の人が営業職として働いていることになるのです。
しかし、年々その割合は減少傾向にあり、また営業不要論を謳う書籍はコロナ以前からも見受けられていました。
つまり、これまでの営業手法が通用しなくなっているというのはコロナ禍以前から見られていた事象だったと言うことができます。
本稿ではそれを受けて、これからの営業マンには何が求められるのか、コロナ禍を打破するためにはどのようなことが必要なのかについて述べたいと思います。
2.これからの営業マンに必須なのはデジタルスキル
コロナウイルスをきっかけに、テレワークを展開せざるを得ない状況が生じました。勿論、営業マンも例外ではありません。
そのような中で欠かせなくなるのが、非接触でコミュニケーションが行えるツール。
それはZoomやMicrosoft Teamsに代表されるようなWeb会議システムだけではありません。マーケティング・オートメーション(MA)のような顧客に対するマーケティング活動やSales Force Automation(SFA)のような社内の営業マネジメントを目的とするものも含まれます。
つまり、これからの営業マンにはこれらデジタルツールを使いこなすためのスキルが求められると言うことができます。
2020年7月現在緊急事態宣言は解除されたものの、県外からの訪問は避けて欲しいという声はまだまだ根強いです。
例えばメーカーだと県外地域へのアプローチ、商社だとこれまでは同行で対応していたメーカー担当者とのPR、これらを今後実現していくためにもデジタルツールは避けて通れません。
3.営業マンに求められるデジタルツールとは
では、これからの営業マンが使いこなすことを求められるデジタルツールについて詳しく述べていきたいと思います。
①オンラインで社外の人とコミュニケーションがとれるWeb商談システム
Web商談システムとは、これまで訪問し対面で行っていた商談をオンラインで行うことができるシステムです。
Web商談システムは大きく次の2種類に分けることができます。
1)こちら側と顧客側、相互にソフトウェアのインストールが必要なもの
2)顧客側のインストールが不要なもの
1)には、コロナウイルスを契機に世界中で普及したZOOMや、Microsoft社が提供しているTeams、Google社が提供しているMeetなどが当てはまります。共通しているのは、もともとは社内会議用のシステムとして端を発していること、何らかの機能制限はあるものの無料で使用が開始できることです。
2)には、ベルフェイスやMeet in、Mee2boxなどが挙げられます。大手の製造業には、会社で使用しているPCにソフトウェアがインストールできないケースもありますが、そのような場合はこちらのタイプを使用することで、オンラインでの商談が実現可能になります。ただし、月額数万円と1)のものに比べると高い費用が発生します。
これらの中で最も画質およびレスポンスが良いのはZOOMです。
ZOOMはコロナウイルスの影響で日本中にテレワークが始まった当初はセキュリティの脆弱性が多く指摘されていましたが、会議に参加するために暗証番号を設けるなど主催者側が十分に対応を行うことで対処可能です。
またZOOM社のほうでもアップデートを頻繁に行っており、ZOOM側でもセキュリティ性向上の施策を頻繁に打っております。
②マーケティングおよび営業活動をサポートするデジタルツール
こちらの代表的なものとしては、
1)MA
2)SFA
3)CRM
という3つが挙げられます。
1)MA(Marketing Automation)
MAとは、Marketing Automationの略です。MAとは、見込み顧客(リード)の情報を管理しながら情報を発信、その反応を数値化して成約の見込み度を評価できるようにすることで、マーケティング部門から営業担当者へ案件を渡すタイミングを図ることができるようになる仕組み、およびそれを効率的に実現できるデジタルツールのことです。
MAの代表的機能としてはメルマガが挙げられますが、中核的機能は、リードの属性と行動を管理することにあります。リードの属性とは、氏名や会社名、部署名、役職などです。一方、リードの行動とは、先に述べたようにMAを使ったメルマガのように何らかの情報を発信することになりますが、それに対するリアクションについいても管理することができます。
例えば、
・Aさんという方がいつ、どのメールマガジンを開封したか
・Bさんが自社のWebサイトのどのページをいつ見たのか
といったようなものです。
2)SFA(Sales Force Automation)
SFAとは、Sales Force Automationの略で「商談管理システム」とも訳されます。その名の通り商談案件の情報や進捗を確認するもので、こちらは営業部門が使用するデジタルツールです。
その商談案件の売上と利益額はいくらで、現状のフェーズと確度はどうか、競合や受注までの課題にはどのようなものがあるかなどを営業部門全体で共通言語で共有できるようにするのに活躍します。
また営業マンごとの受注率や高額案件の商談数など各数値も取得することができるようになります。
3)CRM(Customer Relationship Management)
CRMとはCustomer Relationship Managementの略で「顧客管理システム」のことです。こちらは顧客企業やその担当者の情報や属性、更には過去発生した案件を管理するためのツールです。
顧客企業やその担当者の情報や属性とは、この企業は過去取引があったか否か、この担当者は自社にとってどれだけ重要か、その企業や担当者に対して過去どのような見積を出しているかなどを管理することで、顧客との良好な関係の構築と維持に寄与します。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
コロナウイルスを機に、これからの営業マンに求められるデジタルスキルを述べてまいりました。
なお、これらデジタルツールを活用することにより営業活動の効率化や業績の向上を目指す手法全般のことをセールステック(Sales Tech)と言います。
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