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7割経済に対応するためのMAとSFAの活用【中小製造業向け】

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2020年6月の市況

 

先週6月19日(金曜日)、ファクトリビジネス研究会 部品加工業経営部会/セットメーカー経営部会が開催され、全国から90社を超えるご参加者が集まりました。

今回もZoomを活用したオンライン参加です。

 

Zoomにはブレイクアウトルーム機能という機能がついており、90人を超える参加の場合でも、10名前後のグループに分けていわゆるグループディスカッションを行うことが可能となります。その中から得られた現在の市況はおおむね下記の通りです。

 

<2020年6月の市況概況>

・2020年4月、5月と前年対比で大きくマイナスとなったが、6月で底を打った感じはする。

・自動車、工作機械関連は悪い。関連企業は週休4日もあり。前年比半分くらいの状態か?

・ただしやはり5G、半導体関連は良い。具体的に東京エレクトロンやディスコ関係の仕事が忙しい。

・CASE関連も良い。リチウムイオン電池関連の製造装置をつくっている会社の中には受注残2年のケースもあり。

・また省人化・無人化関連も良い。空圧機器メーカーであるSMC関連の仕事はフル稼働で昨年よりも増えている。キーエンスもトヨタに次ぐ国内2番目の時価総額に。

 

 

3年続く?「7割経済」

 

ただし先行きが楽観的な材料というのは全くありません。

 

例えば今月から本格的に緊急事態宣言が解除されました。その結果、船井総合研究所でもセミナーがリアル開催に戻ります。

前述のファクトリービジネス研究会の定例会も次回からはリアル開催です。

 

ただし、「3密」を防ぐため、従来100名を収容していたセミナールームは約半分の60名前後しか収容できません。

また研究会の定例会の場合、従来は午前中からスタートしてお昼にお弁当を出していました。しかしコロナ下の現状では室内でのお弁当は禁止。従って定例会も午後からのスタートとせざるを得ません。もっというとご参加者には全員マスク着用をお願いし、かつ検温を実施して37度以上の方は申し訳ありませんがご参加をご遠慮いただくことになります。

 

つまり、現在のコロナの問題は本質的に何ら解決していないわけです。

現在、この秋に予想されている「コロナ第2波」が心配されていますが、そもそも第2波以前の問題として繰り返しになりますが第1波も何ら解決していない、ということなのです。

 

船井総合研究所のセミナールームの件は1つのわかりやすい例で、おそらく至るところで同じ現象が起きることでしょう。

 

これがいわゆる「7割経済」です。コロナ下で好調な産業がある一方、前述の通り感染拡大を防ぐために様々な制約が設けられることで3割ほどの需要が減り「7割経済」になってしまう。ではこの「7割経済」がどれくらい続くのか?

 

トヨタ自動車は3年続くとにらんでこの4月に1兆円もの運転資金の借り入れを行いました。

私も3年は続くと想定する必要があると思います。なぜなら以前にも述べた1918年のスペイン・インフルエンザの時は丸2年続いたからです。

1918年の時には当時は電子顕微鏡が無かったため原因を特定することができず、「悪性の風邪」くらいの判断だったので2年で終わりましたが、エビデンスの取れる現在となると逆に安全をみて長期化する可能性があります。また仮にワクチンが開発されたとしても、インフルエンザは毎年変異しますから予防接種が効かない年もあります。以前何かの本で「風を本当に完治させる薬が開発できればノーベル賞が取れる」という話を読んだことがありましたが、コロナはそれだけ厄介な疾病なわけです。

 

とにかく話を戻すと、少なくともこの2~3年間は、あらゆる会社が「7割経済」に対処する必要があります。つまり売上が平常時の7割になったとしても、利益を出し続けることができる体制をつくる、ということです。

 

 

7割経済に対処する方法

 

では、この7割経済に対処するためにはどうすれば良いのでしょうか?

それには次の3つの方法があります。

 

1)固定費を下げる

2)利益率を上げる(=値上げ、あるいは商品そのものの見直し)

3)生産性を上げる(=売り方の見直し)

 

まず利益率を上げる為の王道は値上げです。

例えば既存顧客が自社の収益構造を熟知していて、これ以上の値上げの余地が無い、という話であれば新規顧客の開拓が必要になります。

実際、船井総合研究所のWebサイトでもモデル企業として取り上げさせていたしているプラスエンジニアリング(従業員120名)の場合、現社長になられてからの各種施策が効いた結果、何と16.5ポイントもの利益率アップを実現しています。

 

また、特に製造業の場合は従来は「製造プロセス」の生産性アップに注力してきましたが、現在の様な大不況下においては「営業プロセス」の生産性アップを考える必要があります。

営業プロセスの生産性アップとは次の3つです。

 

<営業プロセスの生産性を上げる3つの方法>

①取扱い商品の単価アップ

②受注率のアップ

③商談数のアップ

 

最も手っ取り早い方法は、取扱い商品の単価アップを図ることです。

例えば部品加工を手掛けている会社であればユニット品、治具、装置等の取扱いを検討する。機械工具の取扱いを行っている商社や販売店であれば工事や自動機、あるいは中古工作機械を取り扱う、といった形です。

 

 

御社のSFA、本当に役に立っていますか?

 

また、特に営業部隊を抱えている様な会社の場合は、「受注率」を最重要指標として受注率を上げていかなければいけません。

ところが、多くの会社で、この「受注率」が計測されていません。

 

SFA(セールス・フォース・オートメーション)を導入していない会社であれば仕方にないにせよ、SFAを導入している会社もその多くが受注率を計測することができていません。

特にSFAを導入している会社の場合は、この「受注率」を計測しなければならないのです。

 

ちなみに中小企業で多用されているSFAは大きく次の2つです。

・NIコンサルティング NIコラボ

・ソフトブレーン eセールスマネージャー

これらは歴史のあるSFAパッケージソフトであり、非常に多機能で優れたものです。ところがパッケージソフトであるが故に、逆に言えばあらゆる会社の営業プロセスに対応する様につくられているが故に使い方がきちんと周知されず、その結果、最も重要な指標である「受注率」が計測できていないケースが多々あります。

 

受注率は次の式で表されます。

 

受注率 = 受注した見積り件数(受注した商談)/提出した見積り(商談数)

 

実のところ、SFAの目的は「営業の見える化」にあり、ぶっちゃけSFAを導入したからといって業績は上がりません。ただしSFAを導入すると前述の通り営業が見える化されるため、営業マネジャーが優秀であれば業績は上がります。

具体的に、SFAを導入してまず行うべきことは「受注率」の計測です。例えばSFAを導入して最初の1ヶ月の受注率が20%だったとします。そして半年後の受注率が25%に上がっていたとします。そうするとSFAは導入して成功!と言えることができます。

 

そして営業担当者別の受注率に注目します。受注率の高い営業担当者は普段どの様な動きをしているのか、ということをベンチマークして横展開することでSFAは初めてその機能を発揮します。

 

さらにSFAで重視すべき点は「高額商談の件数」です。例えば見積り100万円以上の高額商談を最も抱えている営業担当者は誰なのか?そしてその営業担当者は普段どの様な動きをしているのか?もっというと営業担当者別の高額商談の数を見える化して、取引単価のアップを促していく必要があります。

 

SFAをまだ導入していない会社の場合は上記のことを考慮するべきですし、既に導入しているけども

・受注率

・営業担当者別 高額商談の件数

が計測できていない会社は、これらの数字を「見える化」するところから見直すべきでしょう。

 

 

7割経済に対応するためのMAとSFAの活用

 

前述の通り、SFAはあくまで営業の現状を「見える化」するツールにすぎませんが、それに対してMA(マーケティング・オートメーション)は前回のコラムでも述べましたが

・受注率を上げ

・商談数を増やす

効果のあるデジタル・ツールです。つまりMAで成果を上げ、SFAでそれを検証する、といった使い方ベターであることがわかります。

 

そして例えば、前述のMAとSFAをきちんと活用して、

・従業員1人あたりの受注額を1割アップする

さらに取扱い商品の見直し、あるいは取引先を精査することによって

・利益率を5ポイントアップする

ことに成功すれば、売上が平常時の7割になったとしても、利益額は平常時と変わらない数字を確保することができます。

 

繰り返しになりますが「商品単価のアップ」と「利益率のアップ」こそが7割経済への対応策であり、その対応策としてすぐにできることがMAの導入とSFAの導入なのです。

 

そしてMAが「商談を創出するツール」であるのに対してSFAは「営業を見える化するツール」であると言えます。

MAもSFAも導入していない会社の場合は、まずはMAを導入するべきでしょう。そしてSFAを導入している会社は、躊躇なくMAを導入するべきなのです。

 

 

確実に伸びる、これから狙うべき成長分野とは?

 

もちろん「魚のいないところに釣り糸をさげていても」成果は上がりません。

これから確実に伸びる巨大マーケットの1つは以前から本コラムでも繰り返しお伝えさせていただいている「CASE(=次世代自動車)」マーケットです。

自動車市場は基本的にクローズドな世界であり、巨大マーケットながら一度プレーヤーが決まってしまうと、そのプレーヤーは中々入れ替えがききません。ところが現在は従来の内燃機関からCASEという100年に1度の技術革新の時期にあり、現在であればそのマーケットに大いに食い込めるチャンスがある、ということなのです。

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