特集 事例研究-変化に対応する メンテナンス会社【株式会社中田エンジン】
産業用エンジンのメンテナンスビジネスで全国へ!
メンテナンスのプロが集うエンジニアリング企業
点検・診断を入り口に、エンジンの整備・メンテナンス案件を獲得し、売上・利益向上を実現するモデル企業
株式会社中田エンジン
中田エンジンは1948年に、石川県金沢市において中田鉄工所として創業され、当時は、機械部品の製作を主な事業とされていました。その後、溶射機などの設備導入に加え、様々な経験を積む中で、1967年ディーゼル機器認定工場となり、総合エンジン完全オーバーホール業務で事業拡大。さらに、1997年大阪支社設立(コージェネ関連総合設備および付帯工事に着手、事業拡大)ならびに、2012年浜松工場設立しています。
同社の特徴は、会社の成り立ちにもある通り、ディーゼルエンジンのメンテナンス・オーバーホールに特化した事業を行っている点が挙げられます。石川県白山市にある本社では、エンジンのメンテナンス・オーバーホールに必要となる各種設備を取り揃え、エンジンのバラシや、組み付け・検査に加え、部品再生・部品加工を行うことができ、溶射機・研磨機など専用機が並んでいます。また、現在では自社工場だけにとどまらず、エンジンのメンテナンスをお客様先で行う、現地整備・オーバーホールも手掛けています。社内にエンジンメンテナンス・オーバーホール関連設備を持ちながら、現地に赴き、点検・メンテナンスの施工も行う、全国的に見ても珍しい、メンテナンスサービス一貫対応のモデル企業です。
産業用エンジンメンテナンスを全国に!ニッチな市場で全国各地のニーズを収集
中田エンジンは、産業用エンジンメンテナンスという稀有な技術・ノウハウを持ち、国内でも非常にニッチな市場でビジネスを展開されています。同社が持つエンジンメンテナンスの技術・ノウハウというのは、製造・加工業がもつ精度を追及する意識を持ちながら、エンジニアリング業がもつ経験・知見に基づく整備・再生業務を行うという複合的な職人技と言えます。その分、技術者に求められるレベルは高く、市場における競合企業は少ないと言えます。
同社では現在、このニッチな技術を原動機を使用する全国各地の企業に対してPRするマーケティング活動を推進しています。その基盤となるのが、右記に掲載しているソリューションサイト「産業用エンジンメンテナンス.com」です。同サイトでは、主にエンジンメンテナンスに関するトラブル対応事例や同社のサービスを掲載しています。中田エンジンという産業用エンジンのメンテナンスのプロが、エンジンを十分に理解した設備担当者から、知見があまりない担当者まで幅広い客層に対してお悩み解決を提案・実行できるコンテンツが豊富に取り揃えられたWebサイトとなっています。実際に本サイト経由で毎月2~3件のお問合せが発生しており、さらなる集客増に向けた取り組みを行われています。
出展: 産業用エンジン メンテナンス.com | 設備原動機・非常用設備原動機のエンジンメンテナンス・オーバーホールの専門会社
https://industrial-engine-maintenance.com/
消防法に伴う点検サービスを“集客商品”とした独自のマーケティング戦略
同社で手掛けるエンジンのメンテナンスは、主に産業用機器の原動機となるエンジンがターゲットとなります。具体的には、水処理施設で使用されるポンプや、発電機・大型製鉄所の構内鉄道・建設機械などで使用されているエンジンです。同社では、これらエンジンに対して、「お客様社内の規定に沿った定期点検」ならびに「消耗部品の交換」「点検時に見つかった重要部品のオーバーホール」といったエンジンのメンテナンスに必要な工程を内製化・一貫対応でき、その点に強みがあります。
現在、同社ではこの一貫対応の強みを活かし、新たな顧客開拓に取り組んでいます。その顧客開拓の1つの手法が、消防法点検を集客商品(=入口商品とも云う)に据えたマーケティング戦略です。
出展: 非常用発電機の消防点検 | 産業用エンジン メンテナンス.com
この非常用発電機 消防法点検というのは、以前より防災対策の1つとして、事業者には義務付けられてたものでした。しかし、多くの事業者で基準をみたす点検が行われていなかった為、平成30年6月に点検方法に関する緩和と共に厳罰化が行われました。そこで、中田エンジンでは浜松の拠点を中心に、この厳罰化された消防法点検のサービスをお客様に提案することで、新たな顧客開拓に結びつけています。
この取り組みは、マーケティング戦略の視点でいうと、「実施頻度が高く・案件単価は低い」消防法により義務化された点検を新規顧客に提案する“集客商品”に据え、点検に伴い見られた修繕箇所を提案することで、「購買頻度が低く・単価が高い」部品交換・オーバーホールを“収益商品”につなげるという同社のメンテナンス一貫対応の強みが活かされた戦略です。これにより、大手製
造業の工場はもちろん、公共の施設や全国展開をしている系列のホテル、介護施設など発電機・原動機の専門家がいないと考えられる施設・設備の開拓にもつながっています。
また、このマーケティング戦略をとることで、これまで新規案件の発生時の常であったエンジントラブル発生に伴う相談だけでなく、点検という緊急対応案件ではないものの、必須の案件を据えることで顧客との納期調整も可能となり、新規顧客の開拓を行う上での受注の確度もあげることも同時に実現されています。
同社の未来を支える評価制度・幹部育成ならびに、ダイレクトリクルーティング
これまで同社の事業内容や、マーケティング戦略についてお伝えしてきましたが、一貫して言えるのが、エンジンメンテナンスに特化した技術とノウハウが同社の強みであるということです。しかし、この技術は理論が確立されているものではなく、過去の経験に裏付けられた“知見”というもので、裏を返せば技術伝承が非常に難しい技術となっています。その為、新たな人材を雇用したとしても離職が定期的に発生してしまう等、課題が残っていました。
そこで、この技術を如何に引き継ぎ、技術を持った社員の定着を図るかと課題に対して、中田社長が中心となり、評価制度の確立・幹部育成をすることで改善を図られています。また、2019年より、船井総研とともに、ダイレクトリクルーティングにも取り組まれ、本社・大阪・浜松各拠点で7~8名の採用に成功されました。この結果、各エリアの幹部育成も進み、新たに入社をした若手人材の定着も実現しました。「数年後には本社・大阪支社・浜松工場の各拠点において、収益性を拠点ごとにとり、組織化を推進していく」ということを中田社長はお話されています。
5月度 生産財商社経営部会で講演決定!不況下でも売れる工場・メンテ商材を提案
今回、5月度定例会において、生産財商社経営部会で同社のメンテナンスサービスについて、浜松工場の臼井部長様よりご講演をいただきます。大手重工メーカーでエンジン部門に所属された同氏より、先に紹介した消防法点検を集客商品とした、エンジンメンテナンスサービスのご提案について紹介をいただきます。また、中田エンジンだからこそ提案可能な顧客メリット・訴求ポイントも御伝えし、会員企業の皆様の不況対策として活かせる商材提案を行います。
会社名 | 株式会社中田エンジン |
事業内容 | ・エンジン完全オーバーホール
・エンジン部品再生 ・溶射加工・研削・研磨加工 ・エンジン部品販売 ・リビルト部品販売 |
従業員数 | 48名 |
創業 | 昭和48年11月 |
代表者 | 中田 利康 |
住所 | 石川県白山市森島町う140番地10 |
電話番号 | (076)272-1500 |
URL | https://nakata-eg.co.jp/ |